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エビフライのこと

 エビフライなんてものを自分の食生活の中で忘れていました。

 そうだなあどれぐらい忘れていたかと言うと10年は完全に忘れていたと思う。それがある時急に思い出したかのようにエビフライが無性に食べたくなってしまった。

 そんな話を行きつけのスナックでママさんとしていた。

「だけどね小さいエビフライは食べたくないんだ」
「大きなエビフライが食べたいんだ」

 そうしたらママさんが「あのお客さんがあそこのエビフライは大きいよって教えてくれたから、行ってみたらどうですか」て言われた。

  別段隠すようなことではないのでその店の名前は八王子市役所近くにある『定食ケンちゃん』という店である。

 場所的には八王子市役所から西八王子駅方面に向かって最初の信号、いわゆる八王子市役所前通りの信号を右に曲がって南浅川の方に向かってったところの橋に向かう左側にその店はある。

 実はその店は、前から一度行ってみたいと思っていた店なのであるが、いつやっているのかよく分からなくて通るたんびに店が閉まっているので行きそびれていた店である。

 いつやっているのかわからなかったのは、お昼の時間帯とと夕方の時間帯に店が開店するからである。

 その店を知っている人から直接ではなくて、スナックのママを通して間接的にこの店の事を聞いたわけである。
 それでそうなのかと思って一度行ってみようと決心をしていた。

 最初行ったときは店が閉まっていたので、やっぱりいつ開くのかわからん店だなぁと思っていたのだけど、書いてある張り紙などを見ると先に言ったようにランチタイムとディナータイムに店が開くようであった。
ランチタイムの時間も普通の食堂のように長い間開くのではなくて1時半を過ぎたら閉めてしまうような感じであった。
ランチタイムの時間は自分にはあまり関係ないので正確には覚えていないので違っていいたとしたら申し訳ない。

 なるほど昔の八王子の街は定休日が水曜日で決まっていた。
  床屋は月曜日定休で、パーマ屋が火曜日定休。
 食べ物屋商店は水曜日が定休日そんな感じに決め方みたいにしてあった。
 だから古くからやってる店は今でも水曜日が定休日というところが多い。

 そうか水曜日か、だからここは休んでるんだ。なかなかに相性が悪いかもしれないなと思いながらも、もう頭の中は太めの大きなエビフライでいっぱいになっていたので確か次の日に再度行ってみた。

定食ケンちゃんの店に入るとカウンターの壁の上側に色々とメニューが書いてある。
そのメニューを目で追っていると左側の方に大きく特製エビフライ定食というのがあった。今でもその特性エビフライ定食の値段はしっかりとは覚えていないが3000円を超えるのである。
う~む、定食で3000円は自分が好きで栽培している東洋蘭の一種の富貴蘭というものに対して何万何十万は少々気にしないでも使うことができるが、夕食の定食として3000を超える金額は払えない。
 しかもこの店は消費税が別だ。
 一瞬、目的のエビフライは食べれないのかと思ったけれど、その横に普通のメニューの大きさでエビフライ定食というのがあった。
 このエビフライ定食は1700円税別である。
 1700円の夕食だって相当効果であることには違いないんだけど、それでもこのぐらいなら3000円という特性エビフライの金額を見ているから、そこでなんとなくホッとして注文することができた。

 出来上がるまでどんなエビフライ定食が来るのかとワクワクしていた。
 特製ではないけれどそれでも税別で1700円もするんだから、多分結構大きなエビフライが来るんじゃないかと楽しみにしていたのだ。

 そのエビフライがタイトル画像のエビフライである。
 十分に太くてカリッと揚がっていてとても美味しくて満足できる。
 これなら1700円でも、消費税は別でも文句は言わない。

 さてこんな大きなエビフライを食べた話を、西八王子駅近くの別のスナックでママにしました。そうしたら「近くにもっと安くていい店があるわよ」と、スマホで画像を見せながら教えてくれたのでそこの店にも行ってみることにした。

 本当にすぐ近くにその店はあったが踏切を越えて少し歩くところにあった。
 そこの店には数日後に入ったのであるが、 定食ケンちゃんの7歳の大きさには遠く及ばないが、それでもやや大きめのエビフライがが4本出てきた。そして値段も千数百円とリーズナブルでもあった。
 ここの店にも何回か通ってエビフライを2回カキフライを2回定食で食べた。
 値段はリーズナブルでエビフライもカキフライの量もそれなりに多いのであるが、残念なことに若干揚げる温度が低いのでちょっと油っぽい感じがする。もう少し温度を上げてカリッと揚げてくれたらリーズナブルかつ最高に良いなと思うのだ。
  そこがちょっと残念な店だ。

 そして夜散歩でとあるとんかつ屋を見つけ、そこのメニューを見てエビフライが1300円とあったのでここもリーズナブルそうだなと思い、いつの日か夕食を食べていない時に通ったら入ってみようと思っていた。

 ある時の散歩でその店の1300円のエビフライ定食を注文して、これまでの2軒がエビフライ定食で十分成功であったので、ここも大いに期待して待った。

 期待して待っていたのだが、それはとても残念なエビフライ定食であった。
 まるで今は昭和中期かというような小さなエビフライが3本あるだけ。
 大きく口を開けて食べれば1本のエビフライが二口で終わってしまうようなエビフライ3本で、茶碗一杯のご飯をどうやって食べるというのだ。

 この店のエビフライが小洒落たセットだったけど、その内容は貧相そのもの。
  まるで昭和の中期に世の中の景気が良くなって各家庭にテレビが入り、そのテレビもだんだんとカラーテレビ化してきだした時代は、町の食堂や洋食屋さんあるいはデパートなどのレストランで注文した980円から1280円程度のエビフライ定食なのである。
 昔のエビフライであればこのサイズで十分ご馳走だったかもしれないが、今は昭和から平成となりさらに令和となった時代である。この程度の小さなエビフライはスーパーのお惣菜コーナーでも売ってそうなものである。まぁ若干スーパーのエビフライよりは程度は良いが、値段から比較したらとんでもなく程度が悪い。

 その店を出るときに次回使える100円のサービス券を渡された。
 宝くじ10枚買った時のお釣りのあと返しみたいな100円券で、あのエビフライは1200円で食べれたということになるのだろうけど、残念ながらこんな店は二度と行かない。

 散歩のたびにその店の前を通るとちょっと胸糞が悪くなる。
 それでいつ日かに店が閉まっている時にメニューの価格を見ると、トンカツ定食でさえも1000円を軽く超えるものばかりで、その割にはよく客が入っているので、一体全体世の中というものは不思議なものだなあと思うしかない。


 住宅街の中なので飲食店などというものを回りないからという関係もあるのかもしれないけれど、よくこんな馬鹿高い値段のとんかつ屋に通っているものだと思う。私の住む町の中の780円のトンカツ定食の方が遥かに美味しいと思う。


 こんなものとんかつ屋どころかポンコツ屋ってもんだ 。

 そう言って期待外れの落ち込んだ残念無念感の留飲を下げざるをえなかったという次第だ。

 期待、三度目の店で外れた食い物の恨みは恐ろしいぞ…(笑)

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