AIが当たり前な時代ではUXデザインではなくAIXデザインを考えないといけない?
こんにちは。manoです。
私はリクルートの新規事業開発室でPdMとして働いていましたが、今年2024年7月で卒業することにしました。5年間在籍させていただき、いろいろ学ばせてもらったので良い会社でした。
この先については特にやることも決まっているわけではないので、とりあえずはインターネットが始まった以来の大変革期である「生成AI(LLM)」について学びつつ、自分なりの意見を書き連なれることとします。よろしくお願いします。
少し先の未来のAIとの関わり方を想像してみる
2022年11月にchatGPTがリリースされて大騒ぎになってから約1年と半年が経とうとしていることに驚きを隠せない。その間にGPT-4が半年でリリース(2023年3月14日)され、Claude3がGPTより賢いと言われたら数日後にGPT-4 Turboが抜き返したり、目まぐるしい。今後さらに進化のスピードは早まっていくのではないかと思う。
アプリ操作方法を学習するAppAgentの登場
とりわけ、注目すべきは人間に変わってアプリ/ソフトウェアを操作するAppAgentの登場(2023/12)だ。AppAgentは自律的にアプリ画面を観察することで学習し、自己用のマニュアル(知識ベース)を作成する。そして、それ以後はマニュアルベースでAIがアプリを操作する。例えば、Lightroomで画像編集もこなすそうだ。まだ複雑なマルチタッチやジェスチャー操作には対応していないそうだが、今後は操作できるアプリは爆発的に増えるだろうし、Agentに依頼してアプリを操作する未来は近いと思う。
UX設計→AIX設計にシフトしていく?
AppAgentの登場から少し考えを飛躍させてみようと思う。
操作できるアプリが増え、AppAgentのようなAIを人々が日常的に使うことになると、ほぼほぼ人が目にする・触れるのはAIエージェントとのチャット画面だ。こうなってくると、「人が使いやすいように」画面設計を考えることが意味がなくなってくるのではないかと思う。
もちろん、"人"がアプリを使う現在では、ユーザーのことを考えて画面設計するのが重要なことは理解している。(リクルートではSaaSやメディアを担当していたが、常にユーザーにとってどうあるべきかのUXを考えて仕事をしてきた)
ただ、アプリを操作するのが、"人"→"AI"に変わるのであれば、「人が使いやすいように」ではなく「AIが理解しやすいように」画面設計する時代がやってくるのではないかと思う。
AIエージェントの登場により新しいインターフェースが必要?
いつも大好きで聞いているPodcastのOff TopicでMiyatakeさんとLindy社のFloさん(AIアシスタントの開発者)が面白い会話をしていた。
Floさんいわく、「アプリケーションは今後AIのためにデザインされるようになり、APIは人間のためではなくAIのためになる。みんなは30年ほどUX(ユーザーエクスペリエンス)デザインについて考えているが今後はAIX(AIエクスペリエンス)デザインが流行ると思う。」だそうだ。
AIXという言葉は非常に面白いと思う。すぐにUXデザインが不要になることは無いと思うが、1~2年で徐々にAIXデザインにシフトしていくのだと思う。
「まだ人間のためにデザインを考えているの?」と言われるような時代が来るのだろうか。
確かにユーザーは人間ではなくAIに変わるのであれば、人間のためにデザイン設計をしても意味がなくなってしまう。Floさんは「人間はソフトウェアを使いたいのではなくて本当は仕事がしたいんだよ」とも話していて、確かになと思った。仕事(Job)を解決する手段はソフトウェアでなくても良い、エージェントが代わりに行ってくれるのであれば、ソフトウェアの多岐にわたる機能を覚えなくても良いのだ。
SaaSは衰退する?それとも逆に増える?
AIエージェントがアプリを利用するようになると、既存のSaaSソフトウェアはどうなるのだろうか。
今のSaaSのほとんどに言えることは、機能が多すぎて特定のプロでないとほとんどの機能を使えこなせないということだ。特にAdobeとかの製品は触っていて機能が多すぎて辟易する。やりたきことを実現するのに目的の機能の使い方をググって目的達成するには数時間掛かってしまうことがほとんどだ。
AIエージェントがアプリを利用する時代を想像してみると、最適なAIXはどのような形になるのだろうか。なんとなくだが、ミニAPIやミニSaaSのような小さい機能の塊がいくつも誕生するのではないかと思う。請求書発行だけ行うミニSaaS、給与計算だけ行うミニSaaS、それらのアウトプット結果を保存・呼び出しするAPIのような形だ。
一方で、超多機能なSaaSは衰退する、もしくはリストラクトされるのではないかと思う。今後のSaaSの動きには注目だ。
最後に
今回、リクルートの新規事業開発室を辞めるにあたって、AI技術を継続的に学びつつ、リクルートで学んだ新規事業立ち上げのノウハウとLLMなどの最新技術を組み合わせて、まずは生成AI(LLM)系の受託開発・コンサルティングを仕事にしていこうと思っています!
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