29日目

親友の家に居候してから約6日目。

rTMS治療を始めてから確実に何かが変わった。「歯車が動きだした」なのか「目が覚めた」なのか、もしくは人格が変わったのか、分からないけど。

rTMS治療を始めてから、まずは自分のいまの状況と自分の持てるカード、自分ってどんな人だっけ?の整理から始めた。

obsidianというメモアプリを利用して、構造的に自分の内省のメモを管理し始めた。その中で、自分だけのための日報を付けようと思った。相互監視のために帯金さんとグループLINEで報告し合うようにした。

兎にも角にもまずはお金を稼がねば、と思いAIと一緒に金策を考えた。「今の自分ができること」という当たり前だが今の僕にはなかなかに厳しい制約のもと、自分の強みであるAIをフル活用した金策を考えた。

その道中で、FANZA同人に上げられた一つのAIイラスト集が4000万円ほどの売り上げがあったのを見て金槌で頭をぶっ叩かれたような衝撃があった。今まで10数万、数十万を稼ぐのに必死になって、心を壊してまでチャレンジしてたものが、こんな、そんな手段で遥かに凌駕する金額を稼げるのか...今までのオレの努力とはいったい...となって、脳が破壊された。

それを受けて金策のためなら手段を選ばないと決め、「法的には問題ないが倫理的に問題がある」金策を探すようになった。

10数個出たアイデアを机上の空論で評価し、いくつか実践しようとした。その手法のための下準備と下調べを入念にして、販売の手前までやったがその引き金が引けない。何故だ。

「YouTubeをやりたい」という自分の中の欲求に気づき、どんなテーマなら伸びるか、伸びるために必要なことは、と、海外の掲示板まで探した。そのノウハウとネタ帳もメモに残した。撮る準備もした。が、撮れなかった。何故だ。

これらの原因を「自己効力感の低下」であると仮置きしてみた。自己効力感とは言い換えれば「自信」であり、「自分が何か行ったことが誰かや組織、世間に対して影響を与えることができると思える」能力のことである。

自分は「無気力の心理学」という本を中学生の頃に読んだ。自己効力感を検証するためのラット実験や、子供の自己効力感を育むor抑制する子育てとは。について書いてあった。実際にこの本を自分のために活用したり、友人の悩みの解決にも使った。

自分が何かをやり切れない理由は、自己効力感が著しく低下しており、「実行しても通用しない」という半ば強迫観念的な呪いが自分についているからではないのか、と思った。

無気力の心理学やWEB上の自己効力感に関するページを読む中で、今までの生活が自己効力感を損ねる要因に満ちていたことを知った。

「渦中にいると人は盲目になる」

これは僕の大事な言葉メモに書いてある言葉。多分だれかからの引用では無く自分の言葉。

親友がモラハラ男に洗脳されて酷い目に会ってたとき、とても思った。どんなに頑張っても自分を客観視し続けることは難しい。

「あれー?自分モラハラ受けて自己効力感損なったんじゃねー?」

このような疑念が無視できないほど湧いてきて、「どうにかせねば」と強く思った。

まずは物理的に距離を離して、自分と相手の境界線を作らないとダメだと思った。

その事を周りに話して行くなかで「一週間家出する」という行動計画が自分の中で進み、その衝動が膨らんで、もう後戻りできなくなった。

悶着あり、

6日前に親友の家に居候することになった。

何をしてでも自己効力感を上げるぞ。YouTubeも撮ってみるし、色んな人にも会うぞ。

と意気込んだけど、結局親友たち以外に会ったのは一人で、これまでの人生で関わった人たちにLINEをしてみたが自己嫌悪に陥りストップし、予定の組み方が余裕なく、高校時代からの友人を一人失った。

唯一にして最大の収穫は、「なんて素敵な親友を持ったのだろうか」だ。

変な正義感で僕を責めることなく、それぞれの視点で話を聞いてくれる。時にはガス抜きもしてくれる。メリットあるなしではない付き合いをしてくれる。

本当に感謝した。

「この一週間はきっと忘れられない一週間になるね。昔のことを思い出す時のアルバムの1ページに楔になるよ。」

自分が予定をドタキャンされてひどく落ち込んだ時も、「そういう日にしよう」とカラオケに誘ってくれた。

rTMS治療を始めてから、着実に何かが動き出している気がする。

この衝動は無視できないほどだし、無視するべきではない。

賽は投げられた。だ。

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