火星の別件逮捕 (毎週ショートショートnote)
「罪状はわかってるな。」
「逃亡っすよね。」
「違う罪状も浮上したぞ。」
「理科系の教員、教科書や図鑑の出版社、天文学同好会とかが戻ってこいって言うのはわかるんすけど。」
「聞こえねぇか?」
「デケェ音とか声なら。」
「見てみな。」
警官はブラインドの端を少しめくり、俺に外を見せた。
3階の取調室の窓からは、白衣やスーツ、制服に加え、舞台人なのか衣装を着た人やマイクを持つ人も見える。
「横書きで名前書いてみろ。」
言われた通り「火星」と書くと、警官はその横に「煌」と書いた。
「違うが似てるだろ。
お前そのものという声から、「火星」を「煌」と同じように読んでよいことになってな。
歌詞や台本の脱字、公演ができない・観られないとの訴えもある。」
「冤罪じゃね?ってなりましたけど、無知って怖いっすね。
高額な損害賠償請求に応じろと。」
「芸名の自分が殺されたとして殺人罪も。」
「ウイルスよりも責任問われるんすね。」
「人類よりはるかに年上だろ。」
(410字)
たらはかにさんの企画、毎週ショートショートnote 参加記事です。
既に締切は過ぎてしまったのですが…。
大好きな宝塚歌劇の公演を観劇し、ブルーレイも鑑賞できたことで思いつき
せっかくなので、投稿することにしました。
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