「恋する図書室」について 〜きみの“いちばん“になりたい〜」
9月18日(金)に、集英社みらい文庫より「恋する図書室 きみの“いちばん“になりたい」が発売されました。
「恋図書」シリーズ、まさかの4作目……! 嬉しいです。
今回も、桜井みわ先生にとっても可愛いイラストを描いていただきました!
表紙の女の子たち三人・それぞれの視点で物語が展開します。
この物語のテーマは「見た目」と「中身」です。
「結局見た目がいい子がモテるの?」「“本当の自分“っていったい何?」
恋をする中で、そんな思春期女子ならではの悩みに直面した女の子たちのお話を書きました。
本の雰囲気からはそんなふうに見えないかも……?
あらすじやアオリなどは、担当さんが頑張って胸キュン要素を引っ張り出してくれました(笑)感謝!( ; ; )
山口希美(表紙左)は、しっかり者で周りに好かれているけれど、自分の容姿には自信のない女の子。幼なじみの男子・一樹(いつき)のことが好きだけれど、気持ちを伝える勇気はない。その間に一樹は他の子と初恋を経験したり、希美の親友の千紗(表紙中央)から興味を持たれたり(?)してしまう。
岩橋千紗は、明るくて容姿も華やか・男子からもモテていて、一見すると完璧な女の子。だけど、転校してきたばかりの彼女には、女友達にも秘密のある悩みがあって……。一樹に近づいたのも、どうやら理由がある様子。作中で一番悩んでいるのはこの子かもしれません。
鈴木澪(表紙右)は、ボーイッシュ美人だけどまだ恋を知らない女の子。少し口下手で、クールに見られがち。希美と千紗との友情をすごく大事にしていて、一樹をめぐって二人の関係に亀裂が入ってしまうのでは……と心配している。
このお話を書くにあたり、自分が希美たちと同じ中学二年生だった時のことを何度も思い返しました。
当時のわたしは、赤ら顔で、肌荒れも酷くて。
それがすごくコンプレックスで、好きな子と話すときはいつも口元に手を当てて、顔を隠していました。
肌が綺麗で目がぱっちりなクラスメイトは、学年問わずいろいろな人から告白されていて、それをちょっぴり羨ましく思ったり……。今思うと完全に「ないものねだり」なんですけど、その時は真剣に悩んでいたんですよね。思春期って、ちょっとした出来事や言葉で傷ついたり苦しんだりしますから。
実は、原稿を書きながら、泣きそうになった箇所があります。
千紗が自分の思いを親友二人にに話す場面なのですが、あの頃の自分と重ねて感情移入してしまいました。自分で生み出した登場人物たちはみんな大切ですが、千紗は特に思い入れのあるキャラクターになったような気がします。
……暗い感じの説明になってしまいましたが、もちろん胸キュンシーンもあります! 黒髪メガネ男子・一樹くんが頑張ってくれます。
一樹はシリーズ3作目「おれとあいつのハツコイ」でもメインキャラとして登場しましたが、図書委員としていろいろな本に触れ、ぐっと大人っぽくなりました。もちろんそれぞれ独立したお話なので、3作目を読んでいなくても楽しめます♪
そして今回も、作中で3冊の本を紹介させていただきました。
「こんな私が大嫌い!」(よりみちパン!セシリーズ)中村うさぎ/理論社
「自分の顔が好きですか?」かづきれいこ/理論社
「ラブリィ!」吉田桃子/講談社
どれも恋図書読者の世代におすすめしたい本です。ありがとうございました。
恋図書のお話を考えるときは、まず図書館に行ってキーアイテムとなる書籍を見繕うところからはじまります。いつも助けてくださる図書館職員の皆様にも、感謝の気持ちでいっぱいです。
「恋する図書室 放課後あこがれの先輩と」でデビューしてから、一年。
まさか4作目まで書かせてもらえるなんて……! 一年前のわたしが知ったらびっくりするでしょう(笑)
さらにみらい文庫恋愛アンソロジーにも混ぜてもらいました。すごい。
2作目を出せたらラッキー、どんなに長くても3作目までだろう、と思っていたのですから。1作目でたくさん鍛えてくれた初代担当さん・3作目以降のお話を一緒に絞り出してくれた二代目担当さんに感謝です。
そして何より、応援してくださった読者様のおかげですね……! いつもありがとうございます。
祝・1周年ということで、とても嬉しいです。決してここで満足せず、これからもたくさんのお話を届けることができるように頑張ります!(^^)
「きみの“いちばん“になりたい」も、多くの人に手にとっていただけますように!
2020.9.18 五十嵐 美怜