賞を逃したところからデビューするまでの道のり〜「恋する図書室」1巻が世に出るまで〜
↑こちらは担当様が作ってくれた、「恋する図書室」のADです。
すごくわかりやすいし、とっても可愛い……♡(アップ許可済みです)
あまり知られていませんが、恋図書はオムニバス形式なのでどの巻からでも読めるんです!4巻も先月発売したばかりなので、ぜひチェックしてみてくださいね♪
◎さて、先日、東北ゆかりの先生方が立ち上げた文学賞「みちのく童話賞」にメッセージエールを送らせていただきました。お声がけいただきとても嬉しかったです。ありがとうございました……!
そこにチラッと「受賞してのデビューではない」ということを書いたのですが、おおぎやなぎちか先生に「受賞していないのにデビューできたのはすごいですね」と言っていただいて。思い返すと、あの時自分が粘らなかったら作家デビューできていなかったのだなと、しみじみ……。笑
それぞれいろいろなデビューの形があるのだと思いますが、わたしは「最終選考止まりで担当さんについていただいて、一年かけて何とか書籍化」という形でした。
公募からのデビューを狙っている方の参考になるかな、という思いと、「あの時の初心を忘れたくない」という気持ちで、「恋する図書室 放課後、あこがれの先輩と」でデビューに至るまでのことを書いてみます。
◎2017年・秋……図書館で購入したみらい文庫のチラシを見て、第7回みらい文庫大賞に応募することを決心。
◎2018年・1月半ば……1月31日締め切りなのに、どう考えても間に合わない状況に。応募を諦めかける。
◎2018年1月末……友人(講談社デザートの高渕アスミ先生✨)の漫画家デビュー作が雑誌に掲載される。読む。
「自分はいつも『やる』と思うだけで最後まで書ききれない。今年も応募しなかったら、絶対後悔する」と思う。
月末に仕事を3日間休む(笑)
◎1月31日(当日消印有効)午後7時55分ごろ……郵便局のゆうゆう窓口に駆け込み、無事投稿。ゆうゆう窓口の営業は午後8時まででした。車の中で封筒に宛名を書きました……。
◎2月〜4月は燃え尽きたように過ごす。
◎一次審査を通っていることに気づき、喜ぶ。二次審査の結果を見逃す。
◎2018年5月上旬……図書館に出勤してエプロンをつけている最中に知らない番号から着信が。三次に残ったとの知らせと、電話をくれたYさんが担当になるとのこと。パニックになり、聞かれてもいない図書館の勤務時間を話す。
◎2018年6月某日……審査の結果が出る。やっぱりというか何というか……残念。
しかし近々編集部に行けることに!
◎2018年7月某日……はじめて集英社に。担当様と編集長様と美味しい中華を食べる。テンパりよくわからないことを話す。今思い出しても恥ずかしい。
わたしが元々ティーンズ向けの恋愛ものを書いていたことと、担当さんが恋愛ものをたくさん立ち上げていたことから、投稿作(男子バレー部の話)ではなく新たな恋愛もので行くことに。わたしのネタ帳に書いてあった「図書室で本好き女子と人気者男子とか」という文字を見た担当さんに「これが気になったのでこんな感じのも考えてみてください」と言われる。
◎7月末までにプロットを5本提出する。
①図書室で地味めの先輩(本当はかっこいい)に勉強を教えてもらう話……先輩のキャラがカッコよくないとボツ
②図書室でキラキラ先輩と知り合う話……これが一番五十嵐さんっぽいと言われる
③ツンデレ転校生と恋する小学生の話……ツンデレのセリフを褒められる
④ピアノ女子とギター男子の話……他とかぶるのでボツ
⑤陸上部内での恋……うーん
かろうじて②が生き残り、これをベースに進めていくことになる。
◎8月……プロットを直す。いろいろ修正し、プロットが通る。ここまではおそらく順調。
◎9月……最初の3章だけ書いて見てもらう。
「児童書っぽくない表現」がたくさんあり、根本の「小説の書き方」から直すことに。
◎10月……第1稿を提出。いろいろ直される。
◎11月……2稿、3稿と出していくも、担当さんを通らず戸惑う。
4稿でついに「これでは書籍化は難しい」と言われ、落ち込む。
その日はふてくされ、翌日から火がつく。
5稿で少し褒められる。
「こうなったら何が何でもこの話でデビューしてやる」と思う。
◎12月……担当さんを通っても編集長が通らない。
8稿ぐらいで「これ以上どう直しても無理なんじゃないか、担当さんたちももう無理だって思ってるけど気を遣って言えないのでは」とマイナスなことを考え、「図書当番になり同級生の男子と再会」という別のプロットをさりげなく提出する。(この話が恋図書2巻になる)
◎2019年1月……先輩との恋を修正し続けるも通らず、「通らない」ことに慣れてしまう。修正しすぎてよくわからない状況に。
◎2月……家族の病気をきっかけに少し書くのをやめる。
◎3月……改めて「恋愛の軸」「主人公の成長の軸」から紙に書き出すことに。
今思うと、煮詰まったら頭を冷やすことも大事かもしれません。
◎4月……担当様から「嬉しいお知らせです!」という題のメールがくる。
開くと「まだ修正はありますが、刊行決定しました!」との文字が。仕事中、職場で泣く。おそらくこのとき12稿ぐらい。
9月〜翌年4月まで、ずっと修正し続けての刊行決定でした。
第1稿と実際に書籍になったもの、話の筋こそ同じですが全く違う物語になっていると思います。ある意味「全部やり直し」です。
これが短いのか長いのか……他の方と比べたことがないのでわからないのですが、素人だったわたしにはとても長く、先の見えないものに感じました。
もしかしたらすごくラッキーだったのかもしれないし、10稿ぐらいで自分で折れて諦めちゃってたかもしれない。
刊行が決まってから担当さんには「負けず嫌い」だと言われました。
でも、負けず嫌いな性格でよかったなと思います。
(ちなみにこの時の担当様は、みらい文庫で人気の恋愛シリーズの「あの作品」や「あの作品」などを立ち上げたとてもすごい方です。その手腕を持ってしてもこんなに時間をかけさせてしまった……! 見捨てずとことん付き合ってくださったことに感謝しています)
◎5月……イラストレーターさんが決まる。サブタイトルを決める。あとがきや本紹介などを書く。
◎6月……はじめての著者校に戸惑う。タイトルが決まる。
◎7月8月……そわそわする。期間が空いたので実感がなくなる。
◎2019年9月……「恋する図書室 放課後、あこがれの先輩と」が発売される!
本屋に自分の書いた本が並んでいるのを見て感動。読者の反応や売り上げやらでドキドキする。おかげさまで重版し、急いで2巻を書く。
……と、こんな感じでした。
ほとんど自分の日記のようになってしまってすみません。
正直、最初は「担当さんについてもらったらなんやかんやでデビューできる」と思ってたんですよね。でも、全くそんなことはなかった。箇条書きにするとあっさりですが、実際は粘って、すがりついて……という感じでした。
ほとんどは素人同然のわたしに「小説の書き方」から教えてくださった担当様のおかげだと思っています。
それから「実在する書籍が出てくる」ので、協力していただいた図書館の皆さんや素晴らしい本の作者様にも感謝です。
ありがたいことに「恋する図書室」は現在シリーズ4作目まで出していただきました。
「3巻ぐらいまで出せればいいな」と思っていたので、嬉しい&びっくりです。
特に3巻以降は現担当様にたくさんアイデアをもらいました……。そのぶん自分の未熟さを痛感しました。図書館通い・資料集めなど大変だったけれど、このシリーズを書いてよかったです。
デビューまでのことを振り返ってみましたが、もちろんデビューは「入口」であって「ゴール」ではないんですよね。
もっとたくさんの物語を読んでもらいたい。もう少しお姉さん向けやスポーツもの、YAも書きたい。
……それから、やっぱり賞をとってみたい。
今日ここに書いたことを忘れず、これからも頑張るつもりです。
結局自分語りで申し訳ありません……! ここまで読んでくださって、ありがとうございました!(^^)
五十嵐 美怜
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