学芸会の季節になると、私の中に必ず蘇ってくる担任時代の一コマの映像があります。 私は、学芸会では子どもたちに、自分の役割と責任を果たすこと、協力して劇を創り上げて達成感を味わうことを目標にしてきました。そして劇の中に流れる主題を肌で感じ取らせたいと、舞台監督のような気になって力を入れ、子どもたちに迫真の演技を常に要求していました。そこには、成功体験や達成感、充実感を、行事を通して子どもたちの中に育てたいという思いがありました。 ある年に選んだ六年生の演目は芥川龍之介の『蜘