【随想】消費生活センター条例化の課題#6−消費者行政における県の役割の再定義(6/10)

 「神奈川方式」後、神奈川県消費者行政の当面の課題は、近年の国主導による消費者関連法規(たとえば、消費者基本法、消費者安全法や消費者教育推進法)の強化、また消費者庁設置につづく予算措置(いわゆる「地方消費者行政活性化基金」)による消費者行政の充実がすすむなか、まず県民が「神奈川方式」以前と実質的に変わらない行政サービスを享受できる体制を回復していくことである。その際検討しておくべきは、これまで県の消費生活センターが担ってきた機能の市町村への適切な移管・移譲であり、県の立場から見れば、求められている自らの役割の再定義とそれを担うための適切な体制の構築である。
 消費者安全法は、都道府県ないし都道府県に設置を義務づける消費生活センターの役割として、市町村が行なう①消費生活相談・あっ旋、②消費者の安全確保に関する情報収集と提供、③消費者事故等の発生に関する都道府県との情報交換、④関係機関との連絡調整および⑤これらの附帯事務などの実施に関し、これら市町村相互間の連絡調整に加え、市町村に対する助言、協力、情報の提供その他の援助を行うこと(同法8条1項1号)、また、都道府県ないし都道府県に設置を義務づける消費生活センター自らが行う消費生活相談・あっ旋の事務については、「各市町村の区域を超えた広域的な見地」からの対応・実施(同法8条1項2号イ・ロ)および同様の見地からの情報収集と提供(同法8条1項2号ニ)、さらには、消費者事故等の状況・動向把握のための調査・分析のなかで専門的な知識・技術を要するものの実施(同法8条1項2号ハ)、その他消費者事故等の発生に関する市町村との情報交換、関係機関との連絡調整やこれらの附帯事務など(同法8条1項3号・4号・5号)の実施が求められている(同法10条1項柱書)。
 このように、消費者安全法が求める都道府県ないしその消費生活センターの役割には、市町村などが行う消費生活相談等にとどまらず、市町村間の連絡調整やこれらへの援助、消費生活相談・あっ旋等の広域的な見地からの対応・実施、さらには専門性・技術性を有する調査分析等々が含まれることになる(2015年2月5日記)。

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