蛍の光

橋の上を歩いていると、一匹のホタルが飛んできた。
今日もいるよって教えてくれるみたいに。

まあただ気まぐれに
橋の上まで上がってきただけかもしれないけど、
暗い道で
突然目の前に小さな光がふわっと飛んでくる光景は
なんだか幻想的な気がした。

蛍は車道に出かかって戻ってくる。
とまるところを探しているのか
近くに寄ってきた。
手を伸ばせば触れそうなほど、
本体の姿が見えるほどまで近づいて、
ふわっと上昇して近くの木の葉にとまった。

橋の下をのぞくと
複数の蛍の光が見えた。
連続で光ったりしばらく消えたり
強く光ってみたりぼんやり光ってみたり。
蛍にもリズムがあるのかななんて考えてみる。

ほわっと光ってすうっと消えて。
不思議なゆっくりとした感覚に少しだけひたる。

そろそろ行かなければと現実に戻って
道へと目をやる。
橋の上まできた蛍が止まった枝を見て、
車や人に気を付けなよ、と内心つぶやいた。
なんだか、そんな気分だった。

（余談）
しばらく歩くと、今度は小さなヤモリがいた。
突然地面を走るから少し驚いた。
最近よく小さな生き物と出会う気がするのは
自分の意識がそちらに向いているからなのかな。