うろ覚えむかしばなし ラプンツェル
あやふや度 ★★☆☆☆
あるところ(外国)に、若い夫婦が住んでいました。
妻は妊娠しており、つわりにより食べられるものが限定されていました。
ある日、妻は言いました。「隣の魔女の庭に生えているラプンツェルが食べたい」。
ラプンツェルとは、野ぢしゃのことであり、レタス的な食用植物です。
夫は悩みましたが、妻が苦しんでいるのを見かねて魔女にラプンツェルを分けてくれるよう頼みました。
魔女は言いました。「良いだろう、ラプンツェルを分けてあげる。そのかわり、生まれた赤ん坊は私がもらうよ」。
夫は妻の苦しみを軽減したい一心で、条件を飲みました。
妻は女の子を産みました。夫婦は女の子をラプンツェルと名付けました。
そこに魔女がやってきて言いました。「約束通り、その赤ん坊はいただいていくよ」。
夫婦は泣く泣く赤ん坊を渡しました。
魔女は意外ときちんと子育てをしましたが、過保護・過干渉の気がありました。
そのため、ラプンツェルは塔のてっぺんの部屋に閉じ込められて育ちました。
部屋には扉がありませんでした。魔女が出入りする時にはラプンツェルが長い髪を窓から垂らし、髪を上り下りしました。人間の髪は意外と丈夫です。
ラプンツェルは、暇のあまり窓から外を眺めて暮らしました。
ある日、通りすがりの男がラプンツェルに目を付けました。
男はうまいことを言って、ラプンツェルに髪を垂らさせました。
ラプンツェルと男は魔女の目を盗み、何度も逢瀬を重ねました。
ある日、ラプンツェルは言いました。「おばあさん、服がきつくて着られないの」。
妊娠の遠回しな表現です。魔女が悪い。魔女が性教育をちゃんとしなかったから。男はもっと悪い。
魔女は怒り、ラプンツェルを塔から追い出しました。
男も見つけ出し、記憶を奪い目をつぶしました。尚、男はどこかの国の王子でした。
ラプンツェルと男はそれぞれ荒野をさまよいました。
さまよった末、ふたりは再び出会いました。
ふたりが出会うと、男の記憶はよみがえり、目も見えるようになりました。
男は王子としてラプンツェルを妻に迎えました。
めでたしめでたし。
ラプンツェルのおなかの子供がどうなっていたのかは、ちょっと思い出せません。
子連れで荒野をさまよっていたような気もします。
昔話の好きな子供でした。でも、あの頃読んだ昔話は今や記憶の中でうろ覚えのあやふやになり、混ざり合いごちゃごちゃになっています。
きちんとした話を目にしてしまう前に、うろ覚えの状態の自分の中の物語を書いておこうと思いました。
きちんとしたものを目にしてしまえば、うろ覚えの状態には戻れないのですから。