うろ覚えむかしばなし 小坊主が水飴を食べる話
あやふや度 ★★☆☆☆
むかし、あるところに和尚と小坊主のいる寺がありました。
和尚は無類の甘いもの好きで、水飴の壺を大切に隠しておき、時々こっそり取り出してなめていました。
小坊主には、「これは『ぶす』という毒の入った壺なので、けして触ってはいけないよ」と言いつけてありました。
甘いものの少ない時代だったので、小僧に見つかって食べられてしまってはたまらないと思っていたのです。
ある日、和尚はどうしても外せない用事で一日寺を空けることになりました。
和尚が留守になったとたん、小坊主は水飴の壺を取り出し、あっという間に中身をすっかり食べてしまいました。
和尚が隠していても、中身が水飴だということはばれていたのです。
しかし、和尚が帰ってきて空になった壺を見たら何というでしょう。きっと怒られるに違いありません。
小坊主は悩みました。
和尚が用事を終えて寺に戻ると、水飴の壺が空になっていました。
おまけに、和尚の大切な花瓶が粉々に割れています。
和尚は激怒しました。
そこに小坊主が来て、泣きながら言いました。
「和尚様、私は和尚様の大切な壺を割ってしまいました。
死んで償おうと思い、毒のつぼを空けて全て飲みましたが、おいしいばかりで死ぬこともできません。
私はどうやって償えば良いのでしょう」
和尚は、小坊主を許すしかありませんでした。
おしまい。