うろ覚えむかしばなし 賢者の贈り物
あやふや度 ★★★☆☆
むかし、(多分)イギリスに貧しい老夫婦がいました。
ふたりは、とても仲睦まじい夫婦でした。
冬の寒い(多分)ロンドンで、ふたりは貧しいながらも幸せに暮らしていました。
ある年のクリスマスに、ふたりはそれぞれ、愛する連れ合いに贈り物を用意しようと思いました。
しかし、ふたりにはお金がありません。
夫は、大切な懐中時計を売って、妻の長い髪に似合いそうな素敵な髪飾りを買いました。
妻は、長い髪を切って売って、夫が大切にしている懐中時計によく合いそうな銀の鎖を買いました。
クリスマスの日、ふたりは贈り物を交換しました。
夫は懐中時計を売ってしまっていたので鎖を使うことはできません。
妻は髪を切ってしまっていたので髪飾りを使うことはできません。
でも、ふたりはお互いの気持ちがとても嬉しかったのです。
ふたりは幸せなクリスマスを過ごしましたとさ。
昔話の好きな子供でした。でも、あの頃読んだ昔話は今や記憶の中でうろ覚えのあやふやになり、混ざり合いごちゃごちゃになっています。
きちんとした話を目にしてしまう前に、うろ覚えの状態の自分の中の物語を書いておこうと思いました。
きちんとしたものを目にしてしまえば、うろ覚えの状態には戻れないのですから。