うろ覚えむかしばなし 眠り姫
あやふや度 ★★☆☆☆
むかしむかし、あるところに王様とお妃様が住んでいました。
ふたりにはかわいらしい女の子の赤ちゃんが生まれたところでした。
ふたりは、お城で姫のお披露目のための盛大なパーティーをすることにしました。
パーティーには、国中から12人の立派な魔女を呼びました。
魔女たちは、それぞれ赤ちゃんに素敵な贈り物をくれました。
しかし、11人目の魔女が贈り物を終えたところで、パーティーに13人目の魔女があらわれました。
13人目の魔女は言いました。
「おまえたちの娘は、つむに刺されて死んでしまうよ!」
つむというのは、糸をつむぐときに使う道具です(※「紡錘形」というときの「紡錘」はこのつむのことをあらわしています)。
王様とお妃様は、驚き、恐れました。かわいい姫が、呪われてしまったのです。魔女の言うことは必ず本当になります。
そこで、まだ贈り物をしていなかった12人目の魔女があわてて言いました。
「つむに刺されても、姫は眠るだけです。死ぬまではしません」
王様とお妃様は、それから、姫がつむに触らないよう気を付けて暮らしました。
城中の糸つむぎを捨てました。
姫が大きくなったある日、姫はお城を探検して遊んでいました。
すると、使われていない塔の上の部屋で、糸をつむいでいる老婆がおりました。
姫は、糸つむぎを初めて見たのでうれしくなってそばに寄り、ついついつむを触ってしまいました。
つむは姫の指を刺し、姫は倒れてしまいました。
老婆は13人目の魔女に姿を変え、
「ざまあみろ!お前は、お前を愛する者のキスでしか目覚めない!」
と言って逃げて行きました。
城中が眠りました。家来も、召使も、犬も、猫も眠りました。
茨(いばら)が生え、城を包み込みました。
話を聞きつけた何人もの挑戦者が城に入ろうとしましたが、茨に阻まれて諦めました。
そうして100年が経ちました。
ある日、王子が白の近くを通りました。王子は家来に聞きました。
「あの、茨に包まれた建物は何だろうか」
家来は、100年前の呪われた姫の話をしました。
すると、王子はその姫の顔を見たいと良い、城に向かいました。
王子が近づくと、茨は自然に分かれて道を作りました。
城の中では、猫も、犬も、召使も、家来も眠っていました。
王子は静かな城の中で、眠る姫を見つけました。あまりに美しい姫に、王子はキスをしました。
すると、たちまち姫は目を覚まし、王子のことが好きになりました。
城中が目を覚ましました。
王子も姫のことを一目見た時から好きだったので、ふたりは結婚し、末永く幸せに暮らしました。
めでたしめでたし。
昔話の好きな子供でした。でも、あの頃読んだ昔話は今や記憶の中でうろ覚えのあやふやになり、混ざり合いごちゃごちゃになっています。
きちんとした話を目にしてしまう前に、うろ覚えの状態の自分の中の物語を書いておこうと思いました。
きちんとしたものを目にしてしまえば、うろ覚えの状態には戻れないのですから。
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