うろ覚えむかしばなし 男がふすまを開けた話
あやふや度 ★★★★★
むかし、あるところに男(おじいさんかも)がいました。
男は何かのきっかけで、大きなお屋敷に招かれ、もてなされていました。
お屋敷の主は言いました。
「これから席を外しますが、ここにある5つのふすまのうち、4つは開けて結構です。
でも、一番奥のふすまはけして開けてはいけませんよ」
主が席を外すと、さっそく男は最初のふすまを開けました。
そこは春の景色で、梅の良い香りがし、鶯の鳴き声がしました。
男は嬉しくなりました。
男は春のふすまを閉め、次のふすまを開けました。
そこは夏の景色でした。男は嬉しくなりました。
男は秋と冬のふすまも開け、景色や香りを楽しみました。
男はどうしても、最後のふすまも開けたい気持ちになりました。
男がふすまを開けると、…ちょっとどうなったのかは覚えていませんが、良いことは起こらなかったと思います。
昔話の好きな子供でした。でも、あの頃読んだ昔話は今や記憶の中でうろ覚えのあやふやになり、混ざり合いごちゃごちゃになっています。
きちんとした話を目にしてしまう前に、うろ覚えの状態の自分の中の物語を書いておこうと思いました。
きちんとしたものを目にしてしまえば、うろ覚えの状態には戻れないのですから。