よく見る悪夢の話:毒親のお話

定期的に見る夢がある。

必死に母親と祖母から逃げる夢だ。


先日見た夢は、母親の虐待が原因で弟が衰弱し始め、私がその弟の看病をしているが

さすがに「えっ、これはヤバい」と思った私は

家から逃げ出し、必死に走って近所中の扉を叩く。

児童相談所に行こうとするんだけれど、何度も追われて、そのたびに隠れながら逃げるの繰り返し。

だいたいこの夢は、逃げ切れた覚えがない。


色んなパターンがある。

母親や祖母は大概は1階のリビングにいるので、2階の窓から飛び降りて逃げる夢もよく見る。


いつも追われていて、私は逃げようとしているのだ。

逃げる準備はできている。あとは様子をうかがうだけ。

来る、見つかる、早く飛び降りないとって。


私の実家では、母親がキチガイだったんだけれど

母親は常識人の仮面をかぶるのが上手だった。

家の外では「自分なんてそんな、自信ないです」「でも任せてくれるんですね!わかりました!やってみます」ってかんじ。

誠実で嘘をつけない、弱い存在。

看護師だったし、神経質なほど外の世界の人々との接触を慎重に行っていた。

だけれど家ではキチガイだし、暴力、洗脳みたいなのは当たり前だし

子どもにナイフを突き刺して「こいつ震えて言うこと聞くようになったわ(笑)」って言うような人間だ。

多重人格ではない。全て「ママ」だった。

「ママ」という人間だった。


この家まじで逃げれへんなって思った出来事が小学校高学年の時にあった。

母親が家の物を投げまくって、破壊しまくって、暴れて包丁を持っていたことがあった。

確か父親に怒っていたと覚えているんだけれど、見ている側も本当に気が狂いそうだった。

あの時、初めて自分が泣き叫んでパニックになって呼吸ができなくなって「あ、私死ぬのかな」って思った。

私の中であの日、「これはさすがに限界値やろ」ってなった。


私はリビングの大きな窓を開けて、事前に妹に「何かあったときには近所の人に助けてって言いに行ってな」と伝えてあったから

上着を持たせて「今だよ。ほかのところに逃げて」と合図した。

妹もさすがに「包丁」が出てきた異常さを感じていたから、家を飛び出していった。

私はそのまま家に残った。

すると今まで暴君の限りを尽くしていた母親の口からこう出てきたのだ。

「あ、出ていったわ。近所のところに行ったんちゃうん。はよう、おっかけて」

そう祖母に命令した。

この時、心の底から冷え切ったのを覚えている。

「この人たち、まじで怖い人たちや」って。

あれ、これって映画の中の人のセリフちゃうんかなって。

それまで虐待のドラマとか映画も見てきたから、「その世界」と私は違うと思っていた。

でも映画の中の人みたいな、恐ろしい人達がそこにいた。

祖母は妹を連れ戻した「近所の人のところに行っとったわよ」

妹が帰って来たのを聞いて私は「ここから逃げられへん」って悟った。


これはそういう恐ろしいコミュニティで、私たちはそういう場所で生きているんだって実感した。


この場面が、この感覚が毎回夢でフラッシュバックする。

この出来事の数年後、私は母親の異常な行動を映す動画、それから自分にあったことを書いたレポートを持って児童相談所に保護される。

その時も一時的な保護だけで、結局家に帰されてしまった。

この時の逃げられなかった感覚を何度も夢で繰り返してしまう。


私がいつかちゃんと逃げきったら、この悪夢は見なくなるようになるんだろうか。

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