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ディズニーで読むポピュラー音楽のトレンド

みなさん、こんにちは!
I'chiba'n 音楽事業部のハンです!⭐️

みなさんはディズニー、好きですか?
私はディズニーの映画も好きですが、
「今回の映画にはどんな曲がでるのかな?」と
映画を見る前からサウンドトラックを何回も聞いたりしてしまいます。

ディズニー映画の魅力は
素敵な映像と夢のようなストーリーにもありますが、
映画の収録曲が公開時期のポピュラー音楽のトレンドを反映している点にも
あるのではないかと思います。

音楽がないディズニーは考えられないですからね。

今日は、みなさんにディズニー音楽を通して、
ポピュラー音楽のトレンドの変遷を紹介しようと思います!

(今回の記事は合併後のPixarの作品もディズニーとして書かれています。)


1994年:『ライオンキング』 音楽はメロディーとコード 【Ballad】

Elton John - Can You Feel The Love Tonight

『ライオンキング』が公開された1990年代、
Back Street Boys、WestLife、BLUE など
色々なジャンルのポップアーティストが
素敵な楽曲を発表していました。
この時期は特に
メロディーをとても大事にしていたアーティストが多く、
旋律が綺麗で歌いやすい曲がたくさん世に出ました。

このElton Johnが作曲した「Can You Feel The Love Tonight」。
私にとって、世に出て30年近く経ってもいまだに、
この曲を超えるラブソングはない、と
思える、とても大切な曲です。

簡単なメロディーとコード進行のおかげで
覚えやすい上、『ライオンキング』の成功によって
2023年の今もディズニーの代表曲の一つとして愛されています。

2002年:『リロ・アンド・スティッチ』 新世紀の【Dance Pop】

A*Teens - Can't Help Falling In Love

2002年に公開された『リロ・アンド・スティッチ』では
作品の舞台になったハワイ風の楽曲とともに
Elvis Presley のある名曲に
制作陣のフォーカスが当たりました。

ディズニーはElvis Preslly の「Can't Help Falling In Love」を
当時人気だった【Dance Pop】にリアレンジし、
人気アイドルA*Teensに歌わせたバージョンを
映画のサウンドトラックに正式的に収録しました。

2000年代初期は、SweetBox、Britney Spears など
女性アーティストの明るくて元気なダンスポップが大人気でした。
新世紀に突入した希望感とともに
DTM(パソコンを使った楽曲制作)技術の発展で
多くの作曲家やアーティストたちが
以前より手軽にシンセサイザーサウンドを
使えるようになったことがその理由としてあります。

『リロ・アンド・スティッチ』の「Can't Help Falling In Love」は
明るくて元気だった2000年代初期のムードを
色濃く残したまま、わたしたちに届けてくれているのです。

2012年:『シュガーラッシュ』 力こそパワー 【EDM】

Skrillex - Bug Hunt (Noisia Remix)

Skrillexの登場以後、
マイナーなジャンルに過ぎなかった【Electronic】は
ポピュラーミュージックシーンに編入され
【EDM】になりました。

気持ち悪く感じるぐらいの攻撃的なベースの
【Dubstep】(Skrillex、Knife Party、Excision)、
派手な音色の【Progressive House】(Zedd、Alesso、Avicii)、
感性的なメロディーとサウンドが印象的な
【Future Bass】(Chain Smokers、Honeycomb Bears)など、
とてもパワフルな音圧のエレクトロニックに基づいたジャンルが
ポピュラーになりました。

『シュガーラッシュ』では、
暗い雰囲気のゲームでの戦闘シーンに
NoisiaがリミックスしたSkrillexの「Bug Hunt」を収録、
アーケードゲームのサウンドと雰囲気を十二分に再現しました。
曲のところどころに、
映画の主人公、ラルフの声(I'm gonna Wreck it!)が入っているのも
とても面白いポイントです。

2016年:『モアナ』 【World Music】の始まり

Alessia Cara - How Far I'll Go

少ないコードの変化、うるさいベース、人工的なサウンド。
何年も続いた【EDM】の流行りに、
多くの人が疲労を感じ始めました。
多くのアーティストは「新しいサウンド」を探すため
アメリカ音楽市場から目を離し、
世界の色々な国の音楽からアイディアを探し始めます。

この時期は世界的にも「多様性」を大事にしよう、という声が
高まっていました。

エレクトロニックチーム Major Lazer は
2016年、プエルトリコで生まれた〝Moombaリズム〟を
取り入れた楽曲「Lean On」を発表。
アメリカのポップでは聞いたことのない
新鮮なサウンドが注目を浴びます。

Major Lazer 以外にも
多くのアーティストがさまざまな国の
伝統音楽の音色、リズムから得たアイディアを
アメリカ市場に持ってくるようになり、
ポップシーンの多様性が大きく広がりました。

モアナのテーマ曲「How Far I'll Go」には
ハワイというアニメの舞台や海のイメージ、夏感が反映され
当時の〝Moombaリズム〟が楽曲内に取り入れられています。

2019年:『アラジン』 【HipHop】の復活

Will Smith - Friend Like Me (End Title)

 ASAP Rocky、Travis Scott、Kendrik Lamarなど
独特なスタイルのHipHopミュージシャンの登場が続き、
【HipHop】が再び世界的に流行るジャンルとなりました。

『アラジン』のエンディング曲に使われ
ジニー役のWill Smithがラップを
有名プロデューサーDJ Khalidがプロデュースをした
「Friend Like Me (End Title)」は、
アニメバージョン『アラジン』の同名曲を
サンプリングして作られました。

2020年:『アナと雪の女王2』 【Hybrid Rock】の誕生

Panic! At The Disco - In to the Unknown

【HipHop】が復権するも、長くは続かずその光明に陰りが見え始めた頃、
各音楽配信サイトのチャートから
エレキギターの音が頻繁に聞こえるようになりました。

【HipHop】に聞き飽きた人々が、
AC/DCのような大手アーティストのカムバックや
Machine Gun Kelly、YUNGBLUDのような
【Funk】【Rock】アーティストのデビューをきっかけに、
【Rock】サウンドにまた新鮮さを
感じるようになったのでしょう。

ただし、この時期から始まった【Rock】は、
私たちが知っていた【Rock】とは少し違う道を歩んでいます。
Machine Gun Kelly、YUNGBLUD、Avril Lavigneなど
さまざまな【Rock】アーティストが、
【Pop】や【HipHop】、
また他の【Rock】アーティストなどとコラボし、
新しいサウンドの【Rock】を生み出したのです。

Panic! At The Disco が歌った「In to the Unknown」は
ディズニー特有の壮大なストリングスと
繊細なロックサウンドをハイブリッドし、
ポピュラージャンルとしての【Rock】としても
ディズニーのサウンドトラックとしても
存在感のある曲になりました。

2023年:『マイ・エレメンタル』 何も考えたくない 【Easy Listening】

Lauv - Steal The Show

去年公開された『マイ・エレメンタル』は
火・水・風・土の四元素を主人公にした独特な世界観と
科学的理論、ストーリーテリングの良いバランスで愛された作品です。

Lauvが担当した『マイ・エレメンタル』の
テーマソング「Steal The Show」は、
映画のオリエンタルな雰囲気と相まって
【Easy Listening】のお手本のような曲となりました。

さて、【Easy Listening】とはなんでしょうか。
【Easy Listening】は
その言葉通り「頭を使わずに聞ける音楽」を意味します。
ダイナミックさよりもチルさを重視し、
おそらく【Lofi HipHop】などのジャンルも含まれる、
とても広い範囲のジャンルです。

2019年から世界で始まったコロナ禍、
各種テロと事故、戦争など、
最近は心痛いニュースが多い反動もあってか
音楽だけでも何も考えないで
ゆっくりと楽しみたいという人々の気持ちが
反映されているのかな、と思います。

2024年 : 『ウィッシュ』 ジャンルの多様性

Ariana DeBose - This Wish

2020年代に入って、
その前の年代と一番大きく変わったのは
「その時代を代表する特定のジャンル」がなくなったことです。

もちろん【Phonk】【HyperPop】【JerseyClub】【AmaPiano】など
特定ジャンルが注目されたり、
姿を変えて新しい形として流行ることはありました。
それでも、特定のジャンルが音楽市場をわかりやすく占領する傾向は
どんどん減っています。

2010年にチャート上の曲が
【EDM】【Hiphop】一色に染まっていたのと比べると
この傾向はよりはっきりと分かります。
最近のチャートには【Ballad】から【Rock】、
普通の【Pop】から【Disco】まで
色々なジャンルが入っていることを確認できます。

その分、音楽好きの人々たちも
より細分化され始めています。
【HipHop】が好きな人は【HipHop】だけを、
【K-Pop】が好きな人は【K-Pop】だけを、
消費する傾向が見えてきています。
いわゆる「ジャンルファン」が増えているのです。

SpotifyやAppleMusicなどのサブスクリプションサービスが
提供するAIプレイリストなどの発展で、
自分が好きな曲とその類似の曲に
とても簡単にアクセスできるようになったことが大きな理由でしょう。 

2023年11月22日(アメリカ基準)に公開された
ディズニーの新しい映画『ウィッシュ』は、
3拍子のリズムがとても魅力的な
典型的ディズニースタイルの曲です。

この曲が今の、もしくは来年の
ポピュラー音楽のトレンドを反映しているかはまだわかりませんが、
これまでのディズニー映画音楽の傾向を鑑みるに
”ディズニーの映画音楽として表現された”
その事実自体が、
今のポピュラー音楽の傾向を反映していると思います。

特定ジャンルばかりが力を持つのではなく
良い曲であれば色々なジャンルの曲が
幅広く同時に注目されるようになった今、
「This Wish」が来年のトレンド、第二の「Let it go」になれるか、
楽しみにしていきたいと思います。


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