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ビール工房探検&失敗から生まれたビール「ペルツェン」

普段は中に入れない石川酒造のビール工房に潜入します!
失敗から生まれた奇跡の香りのビール「ペルツェン」の誕生裏話も聞いてきました。ドキドキハラハラの失敗談。今だから笑って話せる、ある意味コワイ話です。

石川酒造 向蔵ビール工房はこんな場所

明治29年に建築された国登録有形文化財でもある「向蔵(むこうぐら)」の1階部分をリノベした工房。明治20年に1度、ビール造りに挑戦したことのある石川酒造が1998年よりビール醸造を行っている場所の外観がこちらです。

表からは仕込みタンクと貯蔵タンクが見られます

さて、工房の中はと言えば、、、。
ビール醸造についてや各設備の詳細に触れると長くなりますので、コチラは後日あらためて。設備や機器の名称だけご紹介するので、どんな用途か想像しながら次回の更新をお待ちくださいね。笑

仕込み~醸造を行う機器など

(1)麦芽の破砕機
(2)仕込み室 左から糖化釜、リカー、煮沸釜が並びます。
(3)仕込みタンク 下部が三角錐型になっているのが特徴。
(4)熟成タンク
そして下の画像がビン詰め機です。

ビン詰め機

ビン詰め機にはラベルを貼る機械も一緒についていて、稼働している写真が次のもの。いや、でも、機械の雰囲気より、ブルワー土屋くんの笑顔の方が気になりますね。

醸造主任の土屋くん

ビン詰め機に瓶をセットするのも、仕上がった商品を取り出し検品して梱包するのも人の手で行います。こうしてここで、「多摩の恵」「TOKYO BLUES」2つのシリーズのビールが出来上がるのです。

ペルツェン誕生につながった“失敗”とは

ラベルにある「Failure is success in progress.」は失敗にまつわる有名な言葉

2021年の年の瀬、それは普段なら絶対にあり得ないことですが、不幸な事柄が重なったことにより、この事件は起こってしまったのです。

12月に入りお酒の出荷量が増え始めた頃、ビン詰め機が故障。
部品交換を行えば動くとのことでしたが、すぐに届くはずの部品は海外からの取り寄せとなるため、感染症対策の影響でいつ入ってくるのかわからないという状況に。
しばらくの期間は1本1本、手詰めでビン詰めを行うことになりました。
機械で行うビン詰めを手で行うと、どれほどの時間がかかることでしょう。
増える出荷量と仕込み作業、他部署からの応援はあれどいつまでこの状況が続くのか。
醸造主任を務める土屋くんも心労が蓄積していたに違いないのです。
ペールエールの仕込みを行っていた時、とうとう前代未聞の恐ろしいミスを犯してしまいました。

実は失敗が発覚したのは後になってから。
「その違和感に気がついたのは発酵が少し進んで来た頃でした。」
と、当時を思い出して教えてくれた土屋くん。
「この香り、ペールエールと何か違うな」と不審に思った土屋くんは、思い当たること確かめて行く中で、恐ろしい事実にぶつかります。
「ペールエールの仕込み時は、袋2つ分のペールエール用酵母を投入しているはずでしたが、酵母の在庫数が合ってないんです。
残った酵母を確認してたどり着いた結論は、ペールエールとヴァイツェンの酵母を1袋ずつ投入してしまった!という、あってはならない大失敗でした。」

多摩の恵 ペールエールは石川酒造のフラッグシップビール。
醸造する量が多いため、仕込みも他の倍量で行われます。
このままだと、最悪は全て破棄しなければならないかもしれない!事態はかなり深刻でした。(ちなみに2つの酵母の見た目はすごく似ています。)
「すぐに製造部部長である杜氏に相談しました。
私も杜氏も、できれば破棄はしたくないという想いが共通で。このまま経過を見ながら、引き続きタンクの管理を行っていこうと決めました。」

酵母は生き物。普段の発酵管理とは異なり、温度や糖分などいろいろな数値を手探りで確かめながら行うことになります。(ここが、ペルツェンをもう一度仕込めない理由でもあります。)
「仕上がり目前に杜氏とテイスティングを行った時、美味しいビールが出来上がったことに、たくさんの感情が溢れて、どうしようもない気持ちになりました。」
その後は、社長や営業部長を含めて試飲を行い、失敗は社内中の知るところになります。どう責任をとったら良いのか悩みは深まるばかりの土屋くんでしたが、最終的には社内全体が「こんなに香りが良くて飲みやすく仕上がったのだから、しっかり商品にしてお客様にも喜んでもらおう!」という雰囲気となり、新たなビール「ペルツェン」が誕生したのです。
「ペルツェンを商品として販売してくれることを後押ししてくれた皆にとても感謝しています。今ではどんなに忙しくても酵母投入前は緊張してますし、工場スタッフにも何度も確認してもらっています。同じ過ちは絶対繰り返しません。」
再び気合いの入った土屋くんは、ペルツェン販売のためならなんでもする!と誓っていて、ビアフェスなどの外部イベントにも積極的に参加してくれています。

ちなみにペルツェンの名前は、失敗を知った事務方の社員が放った「ペールエールとヴァイツェンを混ぜちゃったのならもうペルツェンで良いんじゃない?」というセリフから。
気が抜けるふざけた名前だね、と盛り上がったとかそうでないとか。

失敗した土屋くんを慰める石川酒造代表取締役社長

多摩の恵「Pel-zen(ペルツェン)」

おかげさまで敷地レストランやイベント等で人気のビールとなりました!

多摩の恵のフラッグシップ「ペールエール」と人気の季節ビール「ヴァイツェン」が出会い、奇跡の香りが生み出されました。
ペールエール仕込み中に起きたブルワーの失敗が、美味しい香りの組合せの発見につながり、出来上がった限定醸造ビールです。(2022年夏商品)
最初に誘うような甘い香りがふわり、後から柑橘の爽やかな風味が広がります。全体的にやさしい印象のビールでお食事とも合わせやすい味わいです。

ペルツェンが気になる方はこちらからご購入いただけます!
限定品のため売り切れの際はご容赦ください。
▼▼▼
石川酒造オンラインショップ

結局、ペルツェンって美味しいよ!っていう宣伝になっちゃいましたね。
すみません。
次回は本当にビール醸造についてを細かくご紹介できたら良いなと思っています。どのビールが、どんなお料理に合うかとかも面白そうですね♪

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*石川酒造DATA*

石川酒造公式サイト
https://www.tamajiman.co.jp/

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