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Weekend log vol.3/DJ YUTO-POP YOURS HIPHOP SET

2022年5月24日、DJ YUTOの新MIX「POP YOURS HIPHOP SET」がyoutubeにてリリースされた。

youtube上でアップされる彼のMIXは、ATTOUTEKI HIPHOP SET、NOUDOUTEKI HIPHOP SETに次いで3作目となる。日本語の楽曲をメインとして組まれている本シリーズの最大の特徴は、曲間のつなぎの巧みさにある。

歌詞繋ぎ、サンプリング繋ぎ、プロデューサー繋ぎと、楽曲にまつわるありとあらゆる伏線を張り巡らせて楽曲を繋いでいく。日本語の楽曲では、リスナーは歌詞の意味まで容易に理解「できてしまう」ため、当然耳は敏感になるはずで、楽曲をつなぐことの難易度はかなり上がっているように思うのだが、DJ YUTOのMIXはそれを全く感じさせない。スクラッチもふんだんに盛り込まれ、若くしてDMC WORLD FINAL, Goldie Awards Dj Battle, Redbull 3style japanの3冠を達成したスキルを存分に楽しむことができる。こういうMIXが聴きたかったんだよ!と心からワクワクできるMIXだ。

今回はPOP YOURS MIXということで、5月21,22日に幕張にて行われたHIPHOPイベント「POP YOURS」に出演したアーティストで主に組んだMIXとなっている。

今回特にくらったのはKEIJUの1stシングルLet Me Knowから、KEIJUがクルーのグループKANDYTOWNの楽曲R.T.Nまでの流れである。(17:02~19:30)

Let me knowのサビ「Let Me Know(教えて)」から、往年のファンクバンドMidnight Starの「Curious」のサビ「I'm curious(知りたい)」へリリックで繋ぎ、そこからRyo Kobayakawa,田我流の「LAID BACK 」にスイッチする。(田我流のリリック「俺のドツボあの頃のファンク」の通りに時代をレイドバックする繋ぎ方になっている。)そこから再びMidnight Starの「I've Been Watching You」へつなぎ、同楽曲をサンプリングしたKANDYTOWN「R.T.N」へ。ここで一連の流れが完成する。

年代を行ったり来たりしながら、最終的に辻褄があうようなつなぎとなっているのだ。完成度が高すぎる...。

Hideyoshi「Jitsuryoku」のralphバースに合わせてスクラッチするところでは、それこそDJ YUTOの実力が光るパフォーマンスだったし、最後にSkaaiの「period」で締めるのも洒落が効いていた。

「〇〇な時に聞くMIX」のようなMIXはyoutubeにも数多く投稿されているが、その多くが雰囲気のマッチした楽曲をクロスフェードでシンプルに繋いだ作品である。たいていのリスナーは主に、作業用BGMとして、もしくはお気に入りの曲を探すプレイリストとしてそれらを消費している。

しかし、それだけではDJがなぜすごいのか一向に理解できない。DJが人々を熱狂させるのは、曲を順番に再生するだけでは得られない、MIXでしか味わえない衝撃や感動を生み出せるからである。DJ YUTOのMIXにはそれが明らかに存在している。それも、難しいはずである日本語の楽曲で。

DJ YUTOはCUT TOKYOのインタビューの中で「creepy nutsのDJ松永さんがお茶の間にDJの存在をだいぶ広めてくれたが、もっと深いところに落ちていく動線を作る人がいない。その部分には貢献していきたい。」と語る。この発言を踏まえると、日本語でまとめられた本シリーズもその意図が強く感じられる。

DJもまたアーティスト。そのことが日本人にも伝わりやすく、DJの魅力を伝えるのにこれ以上ない作品となっていると思う。もし仮にDJ松永の功績が「DJとは何か」をお茶の間に知らしめたことだとすれば、DJ YUTOは「DJのかっこよさ」を知らしめ得るアーティストなのではないか、とまで思う。次回作も楽しみである。

個人的には2作目NOUDOUTEKI HIPHOP SETから見るのがオススメ。HIPHOP以外にも、おなじみのポップスが随所に散りばめられ、より多くの人が楽しめるMIXとなっている。


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