映画『ミスティック・リバー』に漂う排他性
クリント・イーストウッド監督の映画『ミスティック・リバー』(2003)。
主役級の三人が渋い演技を見せている。
しかし、ストーリーの端々に感じられる排他的なニュアンスが私は受けつけなかった。
登場人物に同性愛者が出てくるが、いずれも誘拐、性暴力、買春といったネガティヴな場面でしか描かれていない。
障害者の描き方も気になった。
発語に障害のある人物に向けられた「本当は喋れるくせに」という言いがかり的な台詞が、言いっ放しのまま終わっていて釈然としなかった。
オチも要するに、「障害者は陰で何やってるか分からない」という偏見を前提とするものと言える。
マイノリティを描く場合、その属性ばかりをネガティヴな形で強調するのではなく、一人の人物として描いてほしいものだ。