【MBTI考察】全16タイプにおけるステレオタイプと現実の違い (番人・SJ型編)
まえがき
これまで分析家(NT型)、外交官(NF型)におけるステレオタイプと現実の違いについてまとめてきた。
今回はシリーズ3作目。SJ型編である。
前回の投稿からしばらく間が空いてしまった。楽しみにしてくれた方々、大変申し訳ない。せめてもの償いとして結構ボリューミーに書いたので、ぜひ楽しんでいただきたい。
①管理者型(ISTJ)
一般イメージ:「真面目でコツコツ努力する規則の鬼 ロボット」
ロボットは言い過ぎだが、他は大体正しいのではないだろうか。
ISTJはかなり生真面目だ。規則があれば何も言わずに従うし、与えられた仕事や命令は律儀にこなす。その姿勢は基本ブレることはなく、常に平均点を切らない動きをする。STJは必殺仕事人であり、軍人チックなのである。
自分自身にも金銭面や体作り等でシビアな規則を課している場合が多く、たとえ急に飲み会のようなイベントに誘われたとしても、刹那的な欲求に駆られる事なく普通に断る。
ただし、仕事上問題があってはいけないし、人間関係に支障をきたすのは彼らのポリシーに反するので、「すまないが、本日は予定があってね。また今度誘ってくれ」みたいな定型文で乗り切る。
ISTJはそこそこ社交的で、冗談もたまに飛ばすような人間なのだが、いざオフラインになると真っ先に帰宅してしまう。
彼らのスケジュールは凡そ既に決まっている場合が多く、そんな中で遊びに誘った所で「もうこっちはこっちで予定やら計画やらがあるし、準備の時間も必要なんだから.....」と思われて終わる。
INTJよりはノリが良いとは思われるが、彼らの予定を害さない程度に前々から誘っておかないと、普通に突き放されるだろう。
努力家具合は群を抜いている。目標を設定したら逆算して1日あたりのタスクを割り出し、それを日々のルーティンに組み込む。そしてその目標は実際に達成される。彼らは地に足がついているタイプで、実現不可能な目標は設定しない。
ロボットに関しては言い過ぎである。これを本人に言ったらきっと傷つく。
確かになかなか規則から離れられない性質を持ち、堅物であることには違いない。ルール違反を犯した者に感情を爆発させ、信じられないほどに説教したりする。
しかし、そこには彼らなりの信念が含まれていることに留意しなくてはならない。
「真面目にやっている人間が損をするのは正しくない」「秩序を守るためには規則は必要不可欠である」これはNP型からすると耳の痛い話だが、学校や職場、果てには国家運営においてこの考え方は一種の正義であり、否定する所は見当たらない。
もちろん改善の余地は残すべきであるし、柔軟に動けた方が良いのは違いないが、基盤や原則を破壊してしまったら何も残らない。そういった確固たる信念に基づき規則に従っているのだから、そんな彼らに対してロボットは失礼だろう。
それに、彼らはそれなりに人間らしい一面を持っている。
当然ながら、自己の考えと規則が乖離する場合もあり、その際は心の中で悶々としている。自問自答を繰り返しながら、何とか納得させようと頑張っている。結局は従うのだが、何も考えずに受け入れる訳ではないのである。
また、彼らは人並みに趣味を持っている。色々な文化に触れ、思い出作りをすることが大好きなので、大抵の場合一人旅なんかに熱中している。また、意外とグルメな一面や、オタクな一面もあったりする。昔ながらのロボットアニメだったり戦隊ヒーローなんかに興味を持ったりするし、実はアニメ好きであったりする。ひょっとしたらXなんかでぶつぶつと呟いているかもしれない。
SJに共通する「帰属意識」の高さに由来して、何らかのスポーツチームを応援している事も多い。SJは基本的に皆どこかのチームのサポーターだが、ISTJの熱狂度合いは常軌を逸していると思う。自身が応援しているチームが勝利した週は露骨にテンションが高くなる。普段の堅物スタイルとのギャップが凄い。
それに彼らは割と人が好きだ。先ほども述べたが、予定を崩さない範囲であれば友人との交流も行うし、陽キャかどうかは置いといて社交的な側面は持っている。ESPのようなウェーイ系のノリとは程遠いが、友人だけでなく家族や上司、後輩も大切にするし、その姿勢からは温情すら感じられる。
ちなみに、ISTJがよく見られる業種として教師が挙げられる。彼らは人をより良い方向に導くことは不思議と嫌いではないのだ。複雑な内容を単純明快に教えるまとまりの良さと、雑談時に滲み出る人間性が割と生徒から好評だったりする(尚正論マシンなので好き嫌いは分かれる)。部活に対しても生粋の軍人気質を活かし、休日を捧げてまで指導することもしばしばである。ブラックな教育ビジネスに順応できる人材として、かなり適職なのではないかと思う。
一見、上に言われたことを鵜呑みにし、規則を振りかざす融通の効かない機械のように見えるが、そこには彼らなりの信念と、人間らしい一面が隠されている。実際に会ってみたらだいぶ印象は違うのではなかろうか。
②擁護者型(ISFJ)
一般イメージ:「愛のあるお人好しな THE・日本人 お母さん」
うん。だいたいこのイメージで合ってると思う。
ISFJはFJ型だけあってかなりお人よしである。第一印象は「控えめないい奴」これに尽きる。人の相談には真剣に向き合ってくれるし、改善策やアドバイスもくれる。
サポート役に回ることも多いが、自ら企画を進める胆力もあり、稀にグループの中でリーダーシップを発揮することがある。ただし、基本はESFJの「それとなく皆に呼びかけるタイプのサポート」に対し、「陰から一人に向き合うタイプのサポート」を行う。裏方に関してはSFJの右に出るものは居ないのだ。
THE・日本人とあるが、これは文章そのものよりもさらに深い意味で合致する。
ISFJの考えは多数派迎合的なものである。基本的に大多数の意見を鵜呑みにし、それに独自の理論を後付けで加える傾向にある。テレビやSNSで入手した情報を元に行動し、それを広める。真贋性チェックに難ありで、騙されがちである。この辺は日本人的だ。
その上、ISFJは規則人であり、SJ型の例に漏れずかなり体育会系である。ストイックさは凄まじく、基本的に努力家な側面を持つ。機会があればISJに1日のスケジュールを聞いてみて欲しい。かなり詰め詰めである。NP型がISJの生活を一週間したら多分倒れる。ESFJが対人の範囲外で怠惰になったりするのと対照的である。
ただし、ISTJやESTJが「規則を受容し、それをふりかざす」のに対し、ISFJは割と規則に対し違和感を抱えたまま、「受け入れたということにする」傾向にある。普通に不満を愚痴ったりするし、仲間と飲酒して誤魔化したりする。このあたりも凄く日本人的である。
また、表では優しい顔を持つものの、裏ではかなりシビアな側面を持つところも日本人的だ。
ISFJは全てを曝け出す優しい奴のように見えて、しっかりとIJ型特有の秘匿的な性質を持ち合わせている。「優しさ」は計画されて作られたものである事もしばしばあるし、当然のように見返りを求める。目的のためならほんのりと嘘もついたりする。保身にも走る。TP型程ではないが、そこそこ狡猾だったりする訳である。
ただし、この「狡猾さ」は精神的なバランスをとるために動いていることが多い。
彼らISFJは、FJ型に共通するように人間関係で悩みがちである。NFJ程ではないが、周りの人間のことで考え込み、段々と体力を消耗して神経衰弱に陥る。そうなると次は自己に目が向くようになり「自分の不憫さ」に勘づく。そして自然と保身に走るようになり、今までと打って変わって冷たさを感じさせるような理屈をつけて自分を正当化する。これは優しさの裏返しでもあるのだ。キャパを超えたら自己中になるのはムーブとして正しいものの、ISFJは普段が優しい分目立ってしまうのだろう。
感情的に突き動かされた時の排他性も凄まじい。SJ型に共通するが、「仲間意識」「常識」「上下関係」を大事にするため、仲間でない・常識がないと認識した相手にはかなり厳しく当たったりする。愚痴るだけに止まらず、自然と裏で干したりすることもある。この裏で全てを行う感じも日本人的だと言えそうだ。
そして「お母さん」とあるが、実際に母親的であり、SFJの特性である「お節介な側面」を持っている。世話焼きなのである。ただし、ESFJの方が「人は人」と割り切って一部自由放任だったりするのに対し、ISFJは割としっかり管理したがる。これは恋愛に対しても発揮されるため、ISFJは独占欲が結構強かったりする。
また、責められるとヒステリックになりがちなのも母親的である。ESFJもヒスるが、ISFJの方が気の使い方が下手な分よくヒスる。こうなったISFJは、先ほど述べたように自己の非を認めず、変な自己正当化理論を展開して人の話を聞き入れないため、時間を置く必要がある。ただし、時間を置くと割とすんなり話が通じたりする。「ISFJと揉めたら時間を置く」念頭において行動しよう。
そして、この説明文には忘れられている側面があるので補足する。ISFJは、SF型の例に漏れずかなりパリピな側面を持ち合わせている。趣味を聞いてみると結構陽キャムーブをしていたりする。流行り物に乗るのは大得意な上、フェスやライブは大好きだし、頭抜けた異性への理解を活かして恋愛も嗜む。
ただしクラブやナンパといった陽キャランク最高峰の遊びには適性を持たず、そこには辿り着くには努力を要する。限界があるわけである。
人間関係も実はかなり広い。ESFJが「仲良い奴らで毎日つるめばOK」みたいな風に満足してある程度腰を据えがちな一方で、ISFJは精力的に人間関係を広げがちである。インスタのフォロワーはESFJよりもISFJの方が多かったりする。ただし、ISFJは中々心を開かない性質を持つが故に、薄く広くの関係になってしまったりする。ESFJが「濃く広く」なのと対照的だ。
③幹部型(ESTJ)
一般イメージ:「成績優秀エリート 責任感の王様 自分が絶対正しいマン」
これは正しい。
ESTJは基本的に成績優秀である。組織の中での評価・肩書きと言ったものに執着するため、試験や試合といったものにめっぽう強い。
苦手科目に苦戦することはあっても、得意科目では他の追随を許さないか、もしくはライバルと鎬を削りあっている。これはENTJにも見られる傾向ではあるが、ENTJが「自分の未来にとって必要でない」科目を易々と捨てる一方で、ESTJは一応満遍なく手を出しがちである。
筋金入りの体育会系なので、スポーツにおいてコツを掴むのも凄まじく早く、上下関係に適応するのも上手い。どんなスポーツでも上手にこなすし、どんな組織にもすぐに順応する。根っからの軍人気質である。
そして責任感も凄まじい。基本的になんらかの役職に就いている場合が多く、『組織のために、自分がやらなければ』という強迫観念に近いものを抱えていたりする。
この点が嫌われる一因にはなってしまうのだが、何か問題が発生した際にはその責任感に基づき、感情を排除した迅速かつ的確な判断を行う。これは時に冷酷に見える程であり、恐怖心すら感じさせる。
ENTJが少々狡猾な手段を使ったり根回ししたりする一方で、ESTJは事実に基づいてありありと行動をする。そのため、パワー全開の説教を開始する場合があり、これは多くの人間(主にNP型)にとって畏怖の対象となる。
この説教は同組織に適応する人間に対しては時と場所を選ばず繰り広げられる為、仕事や部活の時間でなくても、日常会話に説教を織り交ぜてくる事がある。そしてその説教にはEXFJのような譲歩・メンケアが含まれておらず、破竹の勢いで理詰めした後、申し訳程度の飴を与えて違う話題に移る。はっきりいってえぐい。
それに説教タイム中は主観や可能性を基本無視するため、こちら側の事情に対し聞く耳は持たない。経験と実例に基づいた『客観的な正しさ』の前に、我々は平伏するしかないのだ。自分が絶対正しいと思い込んでいる例の気質はここに由来する。
そしてプライドも無茶苦茶高い。「〜〜のくせに」とか言ってよくこき下ろしてくる。おそらく学校では一軍であり、いじめグループに属していることもありそうだ。
会話している内に、薄らと内容に自慢が含まれている事に気づく。ENTJ程ではないが、自己の肩書き・成績と言ったものを小出しにしてくるあたりは流石ETJといった感じだ。
ただし、こき下ろしようがなく褒めるべきところは素直に賞賛する。これはET型に共通するが、ESTJから褒められたら自信を持って良いだろう。
この責任感の強さと、それに付随するプライドの高さから、「ESTJは融通の効かないやべえ奴」のようにインターネット上だと捉えられがちだが、意外とオフの時はフランクである点に留意しなくてはならないだろう。
TJ型とはいえ、結局は外向型なので、人との付き合いは好む方である。やるべきことが終わり次第街に繰り出して遊び呆けたりする。もちろん大事な期間は集中するのだけれども、ITJ型に比べるとそういった余暇時間に対する姿勢は緩めであり、暇があればなんかしらのイベントに参加している。
そして何故か恋愛気質である。先程も述べた『責任感』と、ET特有の我の強さが作用し、特に男性の場合は割とモテる場合がある。
SJの対極に位置するNP型からすると魅力はあまり伝わらないかもしれないが、意外と交友関係も広く、人気者であったりする。好き嫌いをはっきりと伝える傾向にあるESTJは、一部の層からは猛烈に嫌われているものの、そんなに全体からの評判は悪くなかったりする。
普段の行動がユーモラスなタイプではないが、何故かお笑いにハマっている場合が多く、形式的なボケとツッコミで場を和ませたりする事がある。そういった部分から普段の真面目な姿とのギャップが感じられ、魅力的に思われるのだろう。
④領事型(ESFJ)
一般イメージ:「親しみやすくて人望の厚い世話焼き 隠れメンヘラ」
概ね正しい。
ESFJの親しみやすさは外向型の中でもかなり上位に位置する。
瞬間最大風速はEFPにその座を譲るものの、彼らは時に自我を全面に出して融通が効かなくなる場合があり、その点がぱっと見では見受けられないESFJは、中長期的な視野において「E型の中では最も親睦を深めやすい人物」となる。
同じクラス・同じ部活・同じサークル・同僚、何らかの組織にESFJと共に属すると、気付かないうちに自然と友人になっている。EFPとの出会いが鮮烈な印象を与え、急激に距離が縮まるのと対照的に、ESFJとの関係性は平凡な始まりではあるものの着実と関係値は溜まっていく。
そんな具合で組織全員と顔馴染みになっていく。対人性能トップクラスの社会適合マンである。
それにFJ型に由来するギバー精神が根付いている為、縁の下でチームを支える有能ロールをいつも担ってくれる。運転や料理、片付けや日程決めなど、彼らが得意とするサポートの数は枚挙に暇がない。
その上、彼らは感謝さえ貰えれば見返りを求めない。しかも稀にユーモアある発言やイタズラで場を和ませてくれる。組織に一人は欲しい存在であろう。
この人当たりの良さが故に当然人望も厚くなる。友人やクラスメイト、先輩や後輩、どの層からも満遍なく慕われる。友人の母や友達の友達にも好印象を与えていたりする。
恐ろしいのは、彼らの真骨頂は学生時代でない所である。ESFJはそのギバー精神と遺伝子に裏打ちされた規律性で体育会系への適応力が凄まじく、JTCにおいて凄まじい効力を発揮する。
「仲間たちと共に頑張れればそれで良い」みたいな宗教じみたメンタルの元堅実に生きていく為、年功序列型システムとの相性がすこぶる良い。
これはSJ型に共通するが何故かフィジカルギフテッドがやたら多く、深夜まで飲みニケーションを行ったと思ったら翌日平気な顔で出社していたりする。
STJがその鋭い合理で敵を作ってしまい、ISFJが選り好みしがちな凝り性であるのに比べ、彼らはどの層にも受けるロールプレイを常に維持し続ける。これが社会適合の極地ことESFJである。
ただし、現代社会において遥かに優秀なESFJにおいてでさえも、当然ながら懸念点が存在する。
まず彼らはスペックによって特に差が出やすいタイプである。ESFJはENFJと同様、他者から見た自分を明確に意識して行動しているため、他者から見て見下される対象となるといきなりおかしくなる。そうなると論理もクソもない、圧倒的な他責思考に陥り始める。
元々若干他責気味で都合の良い部分があるのだが、その絶妙なバランスが完全に崩れ、徹底した被害者意識を振り回し始める。
ただし正常状態であれば常識や経験に基づいた批判的思考を展開できる。落ち着いていれば劣勢Tiに補助で誤魔化しが効くのがEFJなのである。
また、学生時代顕著に現れる姿勢として排他性が挙げられる。特に男性社会においてだが、仲間でない、もしくはイジる対象 であるとみなした相手には陰湿ないじめを行う場合がある。
なお、その内実は調和の裏に隠されている為、多くの場合最初は露見しない。仮に露見したとしても特有の危機察知で逃げるか、日頃の行いと相殺されて何事もなかったかのように帰ってくる。
排他性自体に関してはSJ型に共通する特徴だが、普段優しいイメージがある分、このESFJの二面性はかなり強烈であり、一部のいじめ被害者はESFJを毛嫌いしていたりする。
補足するが、ESFJはかなり独特な距離の取り方を行う。外向型にしては必要以上に他者に対する干渉を行わないドライなところがあるのだ。
これはEN型の自他境界が薄いことに由来する相対的な評価である節があるが、ESFJは何か問題が起きる前にしれっと距離をとって「我関せず」を徹底する。“問題を起こさないようにする ”というよりも “問題に関わらないようにする” のが彼らである。
しかし、恋愛相手に対してはこのスタンスがブレる。何故か恋愛となると自他境界が曖昧になり、急にメンヘラチックになる場合がある。あれこれと可能性を考えて変な病み方をする。この点が隠れメンヘラと評される所以であろう。
まとめ
今回は「SJ型におけるステレオタイプと現実の違い」についてまとめた。
実社会でよく観察されるだけあって、SJ型のステレオタイプ的認識はかなり的を得ていたと感じられる。
規則に生きる社会的な集団、SJ型。
彼らの特徴を理解しておけば、これから先のワーキングライフを快適に過ごすことができるようになるだろう。
次回は最終回。探検家(SP型)についてまとめる。乞うご期待。
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