動物業界で働いていた僕が物申す『ドクター・ドリトル』
やあ、僕だよ。飽き性ちゃんだよ。
昨日の選択ミスを引きずって今日は映画以外にしとこうと思ったのだけれど、『ドクター・ドリトル』(二〇二〇版)の吹き替えの声優が豪華すぎてついつい再生してしまったよね。
そういえば僕って、表題通りの経歴があるんだよ。楽しそうってお客様に言っていただけることも多かった。そんな時僕はふふふって笑ってごまかしたけれどね。ふふふ。
今日も君が楽しんでくれると嬉しいな。さあ、始めようか。
映画あらすじと感想。
『ドクター・ドリトル』 スティーブン・ギャガン
アマプラで視聴。『ドクター・ドリトル』と聞くとエディーマーフィー主演の一九九八年公開版が思い浮かびがちだが、こちらはロバートダウニーJr.主演の二〇二〇版である。そもそも「ドリトル先生」シリーズはイギリスの児童文学だそうで、一九九八年版は「動物と話せる」という設定だけを借りた別物になっている(でも大好きな映画の一つだ)。
一方でこちらの二〇二〇版は比較的原作に忠実で、王族に命じられて大きな船で冒険に出るところなんかファンタジー感満載。伝説の果実を守るドラゴンやエキゾチックな異国情緒あふれる街並み、そして何より動物たちである。めっちゃ出てくる。しかも日本語吹き替えを担当するのは後述する豪華声優たち。これだけで僕は結構楽しめた。
ちなみに映画批評のなにやらを見ると最低の評価を受けている映画です。シナリオが稚拙で退屈、ロバートダウニーJr.のウェールズ訛りが最低云々とこき下ろされている。
しかし、僕は思うのだ。夢と魔法とファンタジーは子どもたちのために存在するのだと。だから、動物と話したいって現在進行形で思っている子どもたちにこの映画は観てほしい、と。
出てくる動物の紹介(時系列順)
動物業界と一口に言っても幾度も訪れたペットブームで市場規模は膨らむばかりで、業種も幅広い。
僕はというとアクア系ペットショップを二軒経験していて、エキゾチックアニマルの飼育を担当していた。その中でも特に得意なのは鳥類の飼育である。猛禽もやっていたのでウズラやヒヨコ、マウスを捌くスピードはわりと自信がある(逆にそれしか取り柄はない)。
家では先天性白内障を患ったフクロモモンガ(オス四歳)とPBFD(小鳥のエイズと呼ばれている病気)の陰転経験のあるセキセイインコ(メス五歳)を飼育している。どちらも前の職場で引き取った動物である。
大型動物の飼育を経験していない、素人に毛が生えたような経歴ではあるが、『ドクタードリトル』に出てきた動物を僕なりに紹介していきたい。
ポリー (石田ゆり子)
ルリコンゴウインコ。鳥飼いとして大型は永遠の憧れ。実際に飼育するとなると生体代が四十万程度で、ケージはステンレス製の受注生産品、住環境によっては防音空調設備が必要となるため金銭的な覚悟が必要。また、いざお迎えしても寿命が五十年にも及ぶため、そういった意味でも覚悟が必要。
あと日本で飼育すると専用フードを実店舗で購入するのに苦労したり、大型鳥類を見てくれる病院がなかったり、預け先がなかったりするので本当ハードルが高い。でも可愛いし、憧れる。宝くじが当たったらルリコンゴウインコを完璧な設備で飼育して、食いつきのいいオリジナル専用フードも調合できるエキゾチックアニマル専門病院を経営しよう。
チーチー(小野大輔)
ゴリラ。飼育も販売も経験がないので何も語れない。
ほとんどの血液型がB型ってことだけ知ってる。ちなみに僕はAB型なんだけど、ウシガエルもAB型が多いらしい。だから血液型性格診断的には僕はカエルみたいな性格と言えなくもない。
ヨシ(中村悠一)
ホッキョクグマ。こちらも飼育も販売も経験なし。
しかし「しろくまラルス」シリーズのファンなのでホッキョクグマが白く見えるのは体毛一本一本の空洞が反射するからというのは知っている。海水で水分補給すると思いきや、雪で水分補給するそうで腎臓はそんなに強くないのかもしれない。今度調べてみよう。
プリンプトン(八嶋智人)
ダチョウ。多くの鳥類が飛行、泳力にステータスを割り振っている中、ダチョウは陸上を走ることに特化した珍しい鳥類だ。その走力は時速六十キロ。しかも一時間程度走ることが出来る!そんな世界最大級の鳥類だが、目玉より脳が小さく、記憶力がほぼないと『ざんねんないきもの事典』で取り上げられていた。ダチョウはかなり力が強く、加減できない個体が多いので給餌する時は怪我をしないよう素早く給餌するべし。
ダブダブ(朴璐美)
サイズ的にアヒルか。十年ぐらい前に一時コールダックブームになったことがある。ある程度の広さと水鳥専用フード、刻み野菜で飼育できるが、現在は入手難度が非常に高い。前職でもよく問い合わせがあったが、実はアヒル類は家禽にあたるので仕入れ先が十羽単位でしか譲ってくれない(十羽でも嫌な顔をされるので現実にはもっとたくさん仕入れることになる)。相場は一万~二万円だが、ルリコンゴウインコよりよっぽどお金にならない。また、見た目は可愛いのだが、前述した事情があるので売れ残ることも多く、ショップから購入する時はほぼ成体の気性が荒い個体も多いのでそこも気を付けたい。
ジップ(斉藤壮馬)
犬。犬種わからん。
僕、実家でトイプードルとヨークシャーテリア飼ってただけだからなぁ。
犬種が分かったら追記いたします。
そういえば僕、大型犬に小さい頃噛まれて今も傷が残っているんだよね。全然犬好きだけれど。
ケヴィン(黒田崇矢)
アカリス。飼育、販売経験なし。
ヨーロッパやアメリカの映画で出てくるリスはたいていアカリスだと思うのだけれど、最近絶滅危惧されているらしい。
シマリスは販売していたことがある。ベビーの頃は最高可愛い。モモンガミルクをスポイトあげている時、小さな両手でスポイトを掴んでくる。ショップに出回るのは三月後半から四月頃。それを過ぎると荒い個体が売れ残っているので飼育難度が急にあがる。
小型リスはとにかく速い。エサ皿を入れるために扉を全開にした同僚が店内で逃がした時は残業三時間して見つけた(ハムスター餌の在庫にそいつは転がっていた、もちろんその餌はスタッフが各々買い取った)。僕は絶対にシマリスを飼わない。
バリー(池田秀一)
ベンガルトラか。飼育、販売経験なし。
ついでに言うとネコ科の動物と触れ合った経験すらほとんどない。父方の祖母が遠い昔に猫を飼っていたが、妹かいとこ(あるいは両方)が軽い猫アレルギーだったので全然会わせてもらえなかった。
最近猫可愛いって思うようになったけど、やっぱり鳥派だなぁ。
ベッツィ(花澤香菜)
キリン。飼育、販売経験なし。給餌経験はある。
とあるふれあい動物園で野菜のおやつをあげた。優しく食べてくれてとてもいい子だった。そこの動物園のスタッフの顔が皆一様に絶望していて、動物業界に入る前の僕はお客様が少ないからかなとのんきなことを思っていた。
チュチュ(沢城みゆき)
Wikiにはアカメギツネって書いてあるのだけれど、これアカギツネのこと?
こちらも飼育、販売経験なし。
飼育できるキツネで昨今人気なのはフェネックかと思うが、気性が荒く、個体によってはかなり噛み癖があったりする(出血だけで済めばいいが)。イヌ科ではあるものの、イヌのような従順さを求めているなら絶対にやめた方がいい。飼育難度は高め。
特定動物ではないので飼育に際しての届け出や免許は不要だが、安易な飼育はおすすめしない動物である。
ミニー(茅野愛衣)
フクロモモンガ。作中に出てきたミニーはサイズ感的にベビー個体かと思われたが、他の個体より体が小さいからミニーなんだろうか。もしも成体だったらメス。
日本で飼育しやすい最も身近な有袋類といえばフクロモモンガである。コールダックと同様にブームが来た後、細々と販売されている。が、最近またブームの兆しがあり、フクロモモンガオーナーとしては嬉しい限り。
臭い、給餌面倒、爪痛いの飼いづらい動物のようだが、飼育に手間がかかる分返してくれるのがフクロモモンガの特徴。
最初は神経質そうに鳴き喚いていても、適切な距離と時期を見誤らなければきっとあなたのパートナーになってくれる。いつかフクロモモンガについてはぜひ別記事にしたい。
ジェームズ(杉田智和)
シオカラトンボか。実は飼育したことがない。
カブトムシとコオロギの飼育がすごく楽しかった(特にコオロギの繁殖)ので昆虫飼いたいと夫に進言したら絶対嫌だと断られた。
そんな夫もミルワームが冷蔵庫に置いてあっても何も言わなくなってきた。そろそろもう一度頼んでみる頃合いかもしれない。
モブマフィア(霜降り明星せいや、粗品)
ドン・カーペンテリノ(井上和彦)
どちらも同じ種類のアリだと思うのだけれど、種類不明。
アリの有識者がいれば教えてほしいです。調べがついたらこちらでも追記予定。
ウサギ (諏訪部順一)
ノウサギかと思ったが、サイズ感的にフレミッシュジャイアントか。
フレミッシュジャイアントはカイウサギ最大の種類。元々は食用として開発されたウサギだそうだが、ペットとして飼育が盛ん。
ギネス級のフレミッシュジャイアントは重さ二〇キロを超えるというからウサギの常識がひっくり返される種類でもある。
大型な分、実は通常のカイウサギに比べると心臓が弱い個体が多く、平均寿命が約五年と少し短い。もし飼育に挑戦するなら牧場で自由に放牧させてあげたい動物だ。
アーサー(増田俊樹)
アーサーなんて動物出てきていただろうか。作品冒頭にドリトル先生の部屋でうろちょろしていたネズミはハツカネズミである。
ネズミ科のペットとして江戸時代以前よりポピュラーな種類だが、現代日本ではカラーバリエーションのせいでハムスターの人気の方が高い。
僕は声を大にして言いたい。ハムスターは飼育難度は決して低くない、と。子どもの最初のペットは絶対にハツカネズミの方がいい。ハムスターは慣れない。いや、慣れるのだけれどあまりに個体差がありすぎるし、子どもの飼い方で慣れることが少なすぎるのだ。しかも荒い個体に当たった時の噛み方が尋常じゃなく痛い。流血事故で一番痛かったのはハムスターだ。やつらの前歯は僕の肉をそぎ落とす。マジでボールパイソンより痛い。
その点、ハツカネズミはよっぽどのことがない限り慣れてくれる個体が多く、飼育もハムスターより匂いが少なく(個人の感想)、ハムスター用フードで文句も言わない。あと調子を落とした時も復活する根性があるのはハツカネズミの方が多かった気がする。
とまあ、すごく個人的な見解ばかり述べてしまったが、僕はハムちゃん達がジャンボミルワームをわしわし食べてる姿、結構好きですよ。ハツカネズミ派ですけれど。
ハンフリー(武内駿輔)
これ何クジラなんだろう。ザトウクジラかなぁ。
飼育経験ありません。販売?あるわけないでしょう!
海獣ってどうやって販売するんだろうね。ライオンとか陸上の大型獣は動物園同士で取引するみたいだけれど。有識者ぜひコメントください。
レオナ(泊明日菜)
たぶんミズダコ。飼育販売経験ともになし。
タコ飼育してみたい。知能が高くてすごい慣れるらしい。たこ焼き食べられなくなりそう。
ちなみにピラニアとチョウザメも慣れる。というか肉食の水生生物は結構慣れる率高い。でも毛のある動物と違って、給餌する人を覚えるって感じ。
どう覚えているんだろう。前職で飼育していたピラニアは店舗のエプロン外すと全く寄ってきてくれなくなったからやはり色なんだろうか。
クライド(宮崎敦吉)
オランウータン。飼育、販売経験なし。
動物園で見るオランウータンはかけられた言葉を理解している(という研究を昔どこかで見た)そうなので下手なことを言わないようにしましょう。
ドラゴン (高島雅羅)
会ってみたいなぁ。メイドラのトールみたいに大きいのがいいよね。
作中のドラゴンはナルガクルガのフワフワを全部うろこにして、頭部を爬虫類にした感じ。
そういえば作中でも排便にまつわるトラブルに遭遇していたが、爬虫類は確かに多い。排便の良しあしで健康状態が分かるのはすべての動物に当てはまることだけれど、特に様子の分かりづらい爬虫類がそのトラブルに遭遇した時、解決できなければ死に繋がる。
爬虫類を診察してくれる動物病院が広がってきているものの、まだまだオーナーが解決しなければならない局面が大いにある。だからこそ爬虫類飼育は面白いのかもしれない。
やばい!あと二分だ!
多いと思ったけど本当にすごく多かったし、語ることが多すぎて五千文字超えたことに震えている。
もう間もなく明日になる。僕のフクロモモンガが金網を両手でつかみ、洋画で主人公が牢屋に入れられた時ありがちなモブ囚人のような目つきで僕を見てくるのでそろそろ終わりにしよう。では。