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ワイン樽について

ワインを醸造する際に樽を使用することで、ワインの味わいや風味に深みを加えることができます。
樽には様々な種類があり、それぞれ特徴や効果が異なります。
例えば、オークの樽はワインにバニラやスパイスの香りを与えることができます。
樽はワインの醸造過程で重要な役割を果たしています。


ワイナリーで見かける樽が、実際どのように扱われているかについての話です。


ワイナリーでよく見かける樽(たる)ですが、オークで作られています。
オークというのは、和名で楢(なら)の総称で、その中でもワインの熟成に使われるのは「フレンチオーク」や「アメリカンオーク」と呼ばれる種類です。
日本にもミズナラの樽がありますが、コストが高く主にウイスキーに利用されています。
杉は樽よりも桶(おけ)として醤油や味噌蔵で使われています。



樽の大きさ


ワインの樽には各種大きさがあります。
よくワイナリーで見かける人の半分程度の高さの樽には2種類あります。
バリック(Barrique)とピエス(Piece)です。
バリックは主にボルドー地方で使われ容量は225リットル、ピエスはブルゴーニュ地方で使われ容量は228リットルと微妙に容量が違います。
形もピエスの方が少し太った感じです。
バリック樽4つで900リットル、これを1トノーと呼びます。
ワイン1本750mリットルなので、1トノーは瓶1200本、1ケースは12本なので100ケースとなります。
ワイナリーで樽を4つ見かけたら、ワイン1200本分と思ってください。
1本3千円とすると樽に詰まったワインは90万円の価値です。



樽の穴


樽の穴の位置をごぞんじですか。
人間でいうとおなかのおへその位置にあります。
樽を横にして、そこにワインを流し込んでいくわけですが、その穴からのぞきながらワインを入れるのは至難の業なのです。
片手にライトを持ち中の様子を見ながら、もう一つの手でホースを持ち、状況を見ながらワインを樽に入れる流量を調節します。
樽の形状では、中のワインの水面が上がっていくと、水面の面積が急に狭くなります。
その結果、同じ容積のワインでも、水面が上に上がるスピードが急に速くなります。
うまく流量を調節をしないとワイン樽からワインが溢れることになります。
実際にやってみると、白ワインはまだ色が白いので水面がみえるのですが、赤ワインは水面が見えずにとても厄介です。
醸造作業をしながら、穴の位置は樽の両脇にある丸い平面上でも良いのにと思っています。



樽の匂い


樽の内壁を焦がすことで、バニラ、スパイス、ココナッツ、スモーキー、キャラメルのような香りがワインに移ります。
これによりワインの複雑性が増します。
焦がし方も、ライト、ミディアム、ヘビーと使い分けをしています。
でも、樽にいれなくても樽の匂いを付けることができます。
それがオークチップです。
チップは樽と同じ細目の最低18ヶ月自然乾燥した材を使用し、リグニンと多糖類を豊富に含むため、同じような風味を出すことができます。



樽入れ後の作業


ワインを樽にいれたところで、醸造の作業は終わりません。
樽で熟成させていると、水分が蒸発し、量が少し減るので、2週間に1回程度、同じワインを継ぎ足す事があります。
この作業は「ウイヤージュ」といいます。
樽が積んでおいてあるとこのウイヤージュが大変です。
そのため、ワイナリーでは、樽の線を真上にしておくのではなく微妙に数センチ真上からずらして樽を置いています。