主務日記 #エピローグ
2023年12月31日
凍てつくような寒さのつくばで、
まもなく年の瀬を迎える。
4年間を思い返すといろんな思い出が一瞬でフラッシュバックするのに、
明治に負けたあの日だけは遥か昔のことのように感じる。
負けることなんて1ミリも考えていなかったが、
中村草太のあの一振りによって僕の大学サッカーは呆気なく幕を閉じた。
翌日夜、チームの解団式が行われた。
我々がサッカーをやっても、世の中はほとんど何も変わらない。
筑波大学が負けて、日本中が悲しむわけでもない。
第一サッカー場の2,000人だって、満員の国立には到底敵わない。
それでも、
足を運んでくれた子供達、全力で応援してくれる仲間・サポーター、
本当に小さなことかもしれないけど
その1人をサッカーで笑顔にできたなら、
そんな幸せな経験はないだろう。
小井土さんはそう言った。
元日、インカレ決勝。
国立競技場に集まった5万人を超える観衆の前で
筑波大学蹴球部が日本一になる。
そんな夢を何度見ただろうか。
我先にと動員の学生たちが帰路につき、
閑散としたカシマスタジアムで行われた表彰式。
フェアプレー賞を受け取る山内翔をスタンドから見ていたら、
すべてが悔しくてたまらなくなった。
俺が日本のサッカーを変える。
サッカーで人を笑顔にする。
サッカーで日本中を熱狂させる。
俺にしかできない「何か」で。
日本開催のワールドカップ。
決勝、国立競技場。
日本中がひとつになり、サムライブルーが世界の頂を獲る。
そんな瞬間を想像しながら、2023年を終えようと思う。
物語はすでに始まっている。
またいつか、どこかでお会いしましょう。
1年間、本当にありがとうございました。
皆様、良いお年をお迎えください。
林田息吹
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?