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自立支援施設でのキャリアコンサルタントの役割①

自立支援という言葉を聞かれたことがありますか。最近この分野でキャリアコンサルタントが求められています。まずは自立支援の背景からご紹介します。これまでの経験からこの分野の特徴を知ることで、キャリアコンサルタントが求められている理由をご理解ください。

平成25年12月に『生活困窮者自立支援法』が成立し、平成27年4月から全国で新しい制度が実施されることになりました。この制度は社会の変化に伴い『生活保護受給者以外の生活困窮者への支援』を強化するものとして創設されました。

これまで右肩上がりの経済成長で守られていた終身雇用が崩壊した1990年代以降景気が低迷し、事業縮小によるリストラ、人材の採用の縮小が続きました。その結果非正規雇用などの不安定な労働環境で就業する方が増えています。一般の正規雇用の労働者に比べ賃金が低い、能力の開発の機会が十分に提供されていない。そのため社会経験の割に十分な職業経験が積まれていません。その日その日の生活を保つため長期でのキャリアを考えられない方々が多く見受けられます。また貯蓄もできていないため、いったん仕事を離れるとすぐに生活に影響が出てくる可能性が高いかたがたです。

はじめてキャリアコンサルタントとしてかかわりをもったとき、これからどんな生活を送りたいのか、これまでどんな仕事をしてきたのか、そんなところからお話を聴くことから取り組みました。
キャリアコンサルティングもしくはキャリアカウンセリングは、
話しながらご本人が自分に向き合うことです。
そのために、被支援者の役割は話を聴くことからはじまります。
過去を振り返ることが中心ではなく、
これからの将来について考える『訓練』をしてもらうために、
傾聴しています。

『訓練』という言葉は適切ではないかもしれませんが、
自分の将来について考えた経験がない方に、
ほんの数か月先のことでも考えることが難しいようです。

しかしながら、制約のある生活には苦痛をかんじている方が多く、
とにかく施設をでることのみを考えている方が多いです。
『寮がある仕事につく』
病気を抱えているにもかかわらず
『建設の仕事の経験があるのでそれをする』
『探せばあるはずだから、施設を出てから探す』

それでも力不足で、ある日突然
『自主退去』ーいつの間にかいなくなる
される方もいます。

自立を目指す施設ですが
福祉の世界では自立にも
「生活生活自立」 簡単に言えば身の回りのことができる
「社会生活自立」 社会の一員として地域で生活できる
「経済的自立」  経済的に自立している

この3つの場面があり、小さな環境から大きな環境へ
ステップごとに自立しなければ、経済的自立の土台が、
不安定だと再び生活困窮に陥ってしまうことが考えられます。

日常生活自立 
食事をとる。身体を清潔に保つ。規則正しく生活することができない方も多くみられます。
何らかの本人の課題(障害など)から、できない方も多いのですが、これまで経験してこなかったために、
すっかりできなくなっている方もいます。
これができないと、
社会で受け入れてもらうことも難しくなってきます。
社会の一員として周囲とかかわりながら、
生活することはとてもできないように思います。

日常生活自立の中には体の不調なときに、
病院を受診し適切な治療をうけること、
治療の一環として服薬を適切にできない方も、
多くみられます。

このような日常生活自立ができていない状態で、
就労して経済的自立を目指しても、
長期就労がかなわず再び生活困窮に陥ってしまいます。
そのためにも、日常生活自立をすることはとても大切なのです。

どんな『日常』生活を送りたいのか、
そんな小さなことから、
自分の希望に気が付いてほしいのです。
そのためにも、信頼関係を結び、
傾聴することその後の支援に大きく影響します。



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