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わたしと歯医者
最近歯医者に行き始めた。
少し前までうつ病人生を送っていたこともあり、思えば最後に歯医者に行ったのはもう10年以上前のことになっていた。
仕事が安定して1年半経とうとすると「そろそろ行かなきゃダメだよな」と思うくらいの心の余裕が生まれてきてはいたものの、絶対怒られるだろうな怒られるの嫌だななんて考え始めて結局後回しにしていた。
◼️口が痛いって一番落ち込む
そんな風にやり過ごしていながらもある日突然どうしようもない口の中の痛みに襲われた。
しかも痛むのは歯ではなく歯茎。右下の親知らずを覆っている歯茎を右上の親知らずが刺激した結果炎症を起こしており、二進も三進もいかず歯医者の当日予約をした。
退っ引きならない状況の中もはや歯医者に怒られるとかそういうのはどうでもよくなっていた。この状況が少しでもマシになるのであれば多少痛かろうが苦しかろうが構わない。
最悪な状態になって初めて決まった覚悟のおかげで、診察から10分足らずで右上の親知らずを抜いた。
十分に麻酔をしてもらったので一切痛くなかったし、普段自分の身体から絶対にしないであろうめりめりめりという音がすることがちょっと面白かった。
わたしの親知らずをさっさと引っこ抜いてくれた歯医者がうつ病人生の結晶にまみれた口の中を見て、今後人並みの歯として運用できるようにするための治療プランをざっくりと立ててくれた。
最後に炎症を起こした歯茎を消毒し(正直これが一番痛かった)、抗生物質をもらって家に帰った。生まれて初めて口の右半分がめちゃくちゃなことになっていたので帰ってからそれはもう落ち込んだ。
口がまともに開かないので、レンジでチンして10分ほど放置したグラタンを食べてしばらくの間は暮らしていた。
◼️薄く、小さい、歯
翌週、炎症と抜歯窩の経過を見てもらうために再び歯医者へ行った。
どちらも順調そうですねと言われ少し安心した。
その後歯科衛生士さんに歯のクリーニングをしてもらった。
なんせ10年以上歯医者を忌避していたため、口の中は自分が思っていた以上に最悪なことになっていたらしい。超音波の洗浄機だけではどうにもならずごついかぎ針のようなものが出てきてガリガリゴリゴリと歯石を削られた。
諸々の処置が終わり口をゆすいだら何だか歯が薄く小さくなっていてびっくりした。わたしが歯だと思ってたところって歯じゃなかったんだ。
ここまででやっと自分が自分の口腔にこれまで全く気を遣えていなかったことに羞恥心を感じてきた。
羞恥心を覚えたついでに歯科衛生士さんにフロスはどんなものがいいか聞いて、お勧めされたフロスや歯磨き粉を買いながら家に帰った。
オーラルケアのことを考えながら買い物をするのはかなり自分を大事にできているようで少し嬉しかった。
その日から、歯磨きをする時に必ずフロスを通すようにした。
歯科衛生士さんがおすすめしてくれたY字のフロスは、口腔リテラシーの低いわたしでも扱いやすく、何って目に見えて汚れが掻き出せるので習慣になるのに時間はかからなかった。少し面倒だな…と思う日があっても、鏡の前に立つと成果を思い出してやらずにはいられなくなる。
オーラルケアをちゃんとしている人らが口を揃えて「必ずフロスはしろ」と言うのがよく分かる。歯を磨くだけじゃどうやってもこの汚れは出てこないはずだ。しかも場所によっては信じられないほど臭う。
これが習慣になったらやらないという選択肢はまずなくなると思う。
歯に挟まりやすい繊維質なものを食べた日なんかは本当にすごい。このうちの何割かは歯磨きをする時に歯ブラシで掻き出せているんだろうけど、これを放置していたらそりゃあ虫歯にもなるだろうと思う。
いつか糸だけのフロスを上手に扱えるようになりたい。
フロスマスターの友人は軒並み糸だけのフロスを使用しているらしい。
わたしも早くそのステージに行きたい。
◼️口の中と向き合うことすなわち
こんな生活を始めてもうすぐ1ヶ月が経とうとしている。
歯医者もこの間3回目の通院を終え、右下の親知らずを抜歯した。
痛いには痛いが特に腫れもせず、抜歯後の過ごし方もだいぶ慣れてきた。
歯磨きに時間をかけるようになって、自分の口の中をまじまじと見れるようになってきた。ここが虫歯になりやすいだろうなと思うところを特別丁寧に磨けるようになってきた。途中で発狂せず仕事を淡々と続けられていることよりも、こうして自分の身体に向き合い、よりよい状態に向けて時間や手間をかけられるようになったことの方が精神状態の回復を実感できる。
気になってはいたけど今更やってもなあと思っていた歯列矯正も現実的に考えられるようになってきた。まだまだそれを選択肢に含められる状態ではないけど、選択できる日が来るようこれまでおざなりにしてきた己の身体を少しずつよい状態にしていきたい。
続く。