ゆるしあうプロポーズ
夏の向日葵の、太陽に向かって背筋を伸ばし顔を上げて育つさまがすき
夢を目指した探究心の塊の君を彷彿させる向日葵
黄色に弾ける花弁がうっすら青空を写して美しく咲き誇っている
ああ、
君が 君で 君を 君は 君に 君だ って向日葵が話している。
向日葵が 誰が植えたかも知れないただの向日葵が
君の事を話していて、僕と君が2人で見た向日葵の事を話していて、君も僕もこの向日葵を忘れる事を話している。
どうせいつか忘れちゃうのに、まるで約束は永遠だよって言うみたいに そんな無責任な言葉でくるめちゃう思い出みたいに、只の向日葵一輪が話している。
夏の向日葵の、太陽から目を逸らすように頭を垂れて薄暗い顔をするさまがすき
眩しい愛情を受け過ぎてひとりで生きることも素直に愛情を受け取ることもままならず枯れた向日葵
水分が抜けて光を通せなくなった花弁の死骸が一枚一枚と約束を落としている
ああ、
ひまわりは 死んだんだね。
あの日って、もう、肩を寄せあって思い出し笑いをしたり大事に育てた花が落とした種を撫でることも出来ないんだね。ああ 僕は向日葵が怖い。生命の廻りを模したような黄色の海があの日、ひとつの悲鳴を響かせた青色のインクがあの日、写真ばかりのこして大切な大切な大切な横顔を攫っていった。だいじにしたかったのに。
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ああ 僕はひまわりをずっと抱いているのに。
ああ 君は僕の事なんか思い出しさえしない。
僕は あなただけをずっと ずっと 見つめています。
僕が 死んだ時はきっと もっと 二人、愛し合えるね。
【<br >】――――ゆるしあうプロポーズ