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【おべけの館】12話べっちゃん飴その1

前回のお話↓

皆さん。人間にサービスをしたおべけって何か貰えたりするの?って…思ったことないか(笑)。

まぁ本館にはちゃんと報酬構成はありますよ。

さらに、貰った報酬はおべけ関で硬貨としても使えます。基本的には物々交換ですが。

今回は高価なものについてお話ししましょうか。


それでは、ごゆっくり…。



[パ]「へっくしゅん!!寒!!」

[ホ]「ウウ…。確カニ寒イデスネ…。」

[パ]「なんでだろう…。」

何故か今日は館内がとても冷えている。まるで真冬のようだ。

なのでパンプキンちゃんは、各おべけの部屋に毛布や暖炉の燃料を運んでいた。ホックもお手伝い。

[ホ]「イヤァ~生キテイタ頃ハ誰トモ会話ヲ真面ニシテイナカッタカラ、ココニ来テヨカッタデス。」

[パ]「そうなんだぁ。私も友達いなかったし、似た者同士だね。けど今は、館にいるおべけみーんな友達!!ホント良いところだよね~。」

2人は世間話をしていると。


[パ]「わっっっ!!」


パンプキンちゃんは躓いてしまい、運んでいたに荷物が宙に浮いた。

[ホ]「危ナイデス!!!」

そして、パンプキンちゃんの頭上に落ちそうになった瞬間。


パシッッッ!!


何処からかまるで生きているような包帯が迅速に現れ、荷物を勢いよく掴んだ。

[パ]「え?」

[ホ]「ホッ?」

前を向くと、ダンが包帯をうにょうにょと動かして、先ほどの荷物をキャッチしていた。

[パ]「あっ!ダンくん!ありがとう!!」

[ホ]「ダンサンナイスキャッチデス!」

[ダ]「……。」

無口なダン。

パンプキンちゃんに手を差しのべて起こすのを促してくれた。

そのままダンは荷物を運んでくれた。手伝ってくれる様子。

[パ]「ありがとう。ダンくん。まだまだ、他のおべけのところにも、運ばないと行けないから頑張ろう!」


すると、そこへ。

[ク]「おお!南瓜娘じゃん!不審者骸骨と、無口ミイラも!!」

クロムがやって来た。

[パ]「あっクロムくん!って…あれ?ビスマくんとテルルくんは?」

必ずいつも3人の道化師兄弟。今日は長男のクロムのみ。そんな状況に疑問を持ったパンプキンちゃん。

クロムは少し暗い顔に。

[ク]「ああ。2人は風邪を引いちまったんだ。」

[パ]「えっ?おべけって風邪引くの?」

[ク]「不思議なもんだ。だって、

"感情以外にも体調まで死神と連動している"

なんて。」

[パ]「体調も!?本当に不思議な館だね。それじゃあ、死神さんも風邪を引いてるってことだよね?」

[ク]「そうだな。んで、俺暇だから手伝ってやるよ。」

そうしてクロムも加わって、4人で館中に防寒荷物を運び回った。


[パ]「ふぅ~。終わった~!」

回り終え、息つくパンプキンちゃん。

するとホックはごそごそと、いつも身に付けているボディバックをいじった。

中からは何か、小さく、薄く、輝く"コイン"のようなものを1枚取り出した。

そしてダンに向けて差し出した。

[ホ]「今日ハ、アリガトウゴザイマシタ。オ礼ニドウゾ。」

[ダ]「!!」

ホックはダンの手を軽く支え、手のひらに碧色に輝くコインのようなものを乗せた。

ダンは目を開き驚いて、不思議そうに眺めている。

それを見てパンプキンちゃんは、


あっ!私も同じようなものを死神さんからおべけ勧誘の後貰ったような。

確か、ポケットに…。


と頭に浮かび、ポケットから同じものを取り出した。

パンプキンちゃんは、クロムにもお礼がしたいと思い、クロムに渡した。

[パ]「あっ!クロムくん!今日は手伝ってくれてありがとう。お礼に…。」

するとその瞬間。

[ク]「えぇえええぇぇ!?!?ほっ本当に…良いのか!?!?」

急に瞳をキラキラと満ちた色に変え、大喜びするクロム。

[パ]「えっ?うん、いいよ。」

何故そんなに喜ぶのかよく分からないパンプキンちゃん。

[ク]「やっっったああああああああ!!!こんな貴重なもの…。南瓜娘!ありがとう!」

高価なものが大好きで、目がないクロム。目を輝かせて、それを天井の照明にかざし嬉しそうに見つめる。

そんなクロムに困惑するパンプキンちゃん。

[パ]「え?それってそんなに高価なものなの?」

[ク]「ああ!そうだぜ!これは"べっちゃん飴"って言うんだ。簡単に人間で言うところのお金だ。

けどべっちゃん飴は、"飴"っていうから食えるんだ。しかも普通の飴じゃない!外はカリカリの飴で、中はシュワシュワと弾けるラムネって感じだぜ!

さらに、これにも3つ階級があるんだけど、碧は一番低いが、まず貰えること事態がすげぇんだよ。」

テンションが上がって長々と"べっちゃん飴"について語るクロム。

それを聞いてダンが、口元の包帯を捌けてクワッと口開きギラッと鋭いキザ歯を輝かせて、口の中にホックから貰ったべっちゃん飴を放り込んだ。


シャリ…。


そうすると固そうな見た目とは反して、簡単に飴が砕けた音がした。

[ダ]「!?!?」

ダンは美味しかったのか、トロけた顔になってホックに「ありがとう。」と1礼し、嬉しそうな顔で帰って行った。

[ホ]「ホッ。喜ンデモラエテ、ヨカッタデス。」

ホッと安心したホック。

ホックも「ソレデハ。」とその場を去った。

[ク]「それじゃあ、俺も帰るわ。ありがとな南瓜娘!またな!」

クロムも駆け足で去って行った。何か急いでいる様子。

12話終わり。ご愛読いただき、誠にありがとうございました。

また次回のお話で。


作・絵 天乃 つくる Hzk(ヘルツク)

次回のお話↓


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