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【おべけの館】13話べっちゃん飴その2
前回のお話↓
道化師3兄弟の部屋。
[ク]「ビスマ~テルル~。良いお土産だ。」
少し優しめな声でクロムは部屋に入った
いつも3人が川の字に寝ているトリプルベッドの上で、ビスマがテルルの看病をしていた。
[ク]「ビスマ。あんまり無理すんなよ。」
クロムは2人の顔を覗いて、パンプキンちゃんから貰ったべっちゃん飴を2つにパキッと割った。すごい…力…。
そしてビスマとテルルの顎を軽く掴み、優しく口の中に入れた。
シャリ…。シュワシュワ…。
[ビ]「ズビズビ…。グスッ。クロムっありがとっ。」
ビスマが瞼が腫れぼったような表情で鼻をすすりながら頬張る。
[テ]「けほっ。クロ兄ぃは…くしゅん!!べっちゃん飴食べないの?」
真っ赤な顔にぎこちない動きで、テルルが心配した。
[ク]「ああ。俺はさっき1個食べたよ。」
[テ]「そっかぁ。」
クロムは心配させまいと、微笑んで嘘をついた。
そしてみんなが去った頃、パンプキンちゃんも自分の部屋に帰ることに。
[パ]「べっちゃん飴…。美味しそうだったなぁ…。ん~!!食べてみたい!!」
自室の椅子に腰をかけ、べっちゃん飴について気になって仕方がないパンプキンちゃん。
すると。
ガチャ。
[タ]「ああ、カプ居る?」
ターニップくんがドアを少し開き、顔を覗かせた。
[パ]「?どうしたの、タップくん?」
あまり、ターニップくんが部屋に入って来ることがないので珍しげなパンプキンちゃん。
[タ]「べっちゃん飴いる?」
なんとターニップくんの手のひらには、2つ碧色のべっちゃん飴が。
[パ]「えっっ!?いいの?これ凄く高価って聞いたんだけど…。」
[タ]「いやぁ~さっきキュー太がいつも遊んでくれるからってお礼に貰っちゃって。それで、自分も1個持ってて、1人で2個一人占めするよりかは、カプと食べたいなぁって思って……。」
横目になって気恥ずかしそうなターニップくん。
[パ]「ホント!!やったぁ~!食べよっ食べよっ!」
嬉しそうなパンプキンちゃん。
そうして2人は美味しそうに初めてのべっちゃん飴を嗜んだ。
シャリ…。シュワシュワ…。
何にも例えることのできない、極上の美味しさ。これを食べている時、おべけは最高の至福を感じる不思議なお菓子。
『べっちゃん飴』…。
見た目は宝石のようで、口に入れると一瞬のうちに溶けてしまう。しかし、それ以外のことで溶けることはないため、硬貨としても有効。
館長の死神が満足するようなこと(主におべけ勧誘)をしたおべけのみに、死神が作ってくれる。
材料は、悩みの塊や感謝の塊などらしい。
価値の階級は色で決まる。
一番低いのは、人間の気持ち1~2人分の碧色、次に高いのは、人間の気持ち3~4人分の黄色、そして最も高いのは、人間の気持ち5人以上の橙色。
階級が高いほど美味しいが、まず貰えること事態が凄いから、どんなものよりも圧倒的に価値が高い。
13話終わり。ご愛読いただき、誠にありがとうございました。
また次回のお話で。
作・絵 天乃 つくる Hzk(ツク)
次回のお話↓