社長になった元NMB48アイドルの本音「日本酒に出会う前はすべてが中途半端だった」
2011年から2015年まで、アイドルグループ・NMB48の2期生として活動。卒業後はソロタレントとして活動を続け、2021年10月の所属事務所退社後に経営者へ転身した高野祐衣さん(28・@yuipooon12_06)。
笑顔でインタビューに応じてくれた高野さんは現在、タレント活動中に出会った日本酒の魅力を伝えるべく、独自の日本酒専門ECサイト「ゆい酒店」の開業や新潟県の老舗酒蔵・阿部酒造とタッグを組みオリジナル日本酒づくりに取り組んでいる。
一念発起で芸能界から別の世界へ。今では日夜、情熱をそそぐ日本酒に対してどんな思いがあるのか。経営者になった理由を明かした前編に続き、胸の内を聞いた。
タレント時代の迷いから「日本酒」と出会う
現在は、日本酒専門ECサイト「ゆい酒店」の開業準備のため酒蔵への営業に奔走。クラウドファンディング(2022年3月6日まで)を通したオリジナル日本酒づくりにも励む高野さん。情熱をそそぐ日本酒との出会いは、タレント活動時に担当した冠番組『ゆいぽんしゅ』がきっかけだったという。
「NMB48を卒業してから『元NMB48』の肩書きだけでは上手く行かず、得意な運動を活かして『スポーツ系タレントとして活躍しよう』とか、自分の武器を探している中で出会ったのが日本酒でした。日本酒の魅力を知るまでは、すべてが中途半端で終わっていたんです。迷っていた中、お酒をテーマにした『ゆいぽんしゅ』のお話をいただいて。新潟県の酒蔵で日本酒と出会ってから、人生が変わりました。
ロケでいろいろな酒蔵の方からお話を伺い、全国的に有名な新潟県の大きなイベント『にいがた酒の陣』にも参加しました。それから、日本酒を100種類以上置いているなじみのお店と出会ったのも、さらに深く日本酒にハマっていったきっかけです。明大前駅にある『佳酒旬肴のすけ』さんで、今では店主さんとも親しくさせていただいています」
ツウ好みな日本酒も揃えたい
独自の日本酒専門ECサイト「ゆい酒店」開業への準備に勤しむ日々。販売のため、こだわりを持って日本酒を選んでいるという。
「自分が好きな銘柄を置きたい気持ちはあります。でも、ビジネスとなると私の趣味を出すだけではダメですし、バランスは難しいです。サイトの軸としては、若手の杜氏(とうじ)さんや女性の杜氏さんの作る銘柄をメインに取り揃えたいと思っています。
誰もが知っている銘柄だけでなく、知る人ぞ知る、ツウ好みな日本酒も揃えたいんですよ。私自身も認知度を高めなければいけないですし、知る人ぞ知る銘柄と一緒により多くの人に知っていただけるようになればと思います」
日々の研究成果を「日本酒ノート」に記録
研究熱心な高野さんは、記録のために「日本酒ノート」を付け続けている。出会った銘柄に関わる内容を詳細に、項目は容量や価格、産地のみながら、酒蔵、原料米、精米歩合、度数、自身の感想と、その細かさからはかなりのこだわりも感じられる。
「3年ぐらい前から付けていて、現在は4冊目になりました。おいしい日本酒に出会ったとき、その場で『フルーティーかも』『メロンっぽい』とか感想を抱いても、味を忘れてしまうので記録し始めたんです。言葉として記録していくようになってから、感想を伝えるときのボキャブラリーも充実してきた気がします。日本酒を本格的に楽しみはじめた当初は『甘口』『辛口』『フルーティー』と、片手で数えられるほどの表現しかなかったけど、だいぶ成長した気はします」
ただ、コロナ禍で生活も変わった。以前は「日本酒ノート」を片手に日本酒を研究するべく飲み屋へ足を運んでいた高野さん。自宅で過ごす時間が増えるにつれて、新たな楽しみ方にも目覚めたという。
コロナ禍で気づいた“宅飲みの楽しさ”
コロナ禍では「近所の酒屋で日本酒を購入する機会が増えた」と語る。
「じつは、その楽しさに気が付いたのが、ECサイト立ち上げの思いにもつながっています。酒屋さんで購入するとリーズナブルで。飲食店では1合1000円の銘柄も、4合1800円で楽しめるんですよ。
もちろん居酒屋さんであったり外で飲むお酒も楽しいけど、自分の経験もあって『自宅で日本酒を飲む習慣が広まれば』とも思うようになりました。
ビールや酎ハイを自宅で飲むとはよく聞きますけど、晩酌で日本酒を楽しむ人たちは少ない印象もあって。そもそも日本のお酒なのに『なぜハードルが高く思えるのか』は疑問ですし、もっと楽しむ人たちが増えればいいなと思います」
30歳までにセカンドキャリアを固めたい
独自の日本酒専門ECサイト開業と共に、新潟県の老舗酒造・阿部酒造とのコラボレーションによるオリジナル日本酒づくりにも尽力。芸能界から離れて、経営者へと転身した今。好きなことを仕事にしながら、将来を想像する高野さんの表情は明るい。
「好きなものを仕事につなげられたのは、幸せだなと思っています。2021年10月1日に所属事務所を辞めて、日本酒に関する仕事一本に絞ろうと決意しての今があって。経営者になってからの2022年は“変化”と“挑戦”の年だと感じています。2021年12月6日で28歳になりましたがが、30歳になるまでにはセカンドキャリアをしっかり固めていきたいと考えています。
ECサイト『ゆい酒店』のブランドを日本酒業界はもちろん、世間的にも確立していくのが軸となる目標です。その先で、日本酒販売の実店舗も展開していきたいですし、日本酒に対するイメージも変えられる存在になれればと思います。私が日本酒と出会った当時に自分の中にあった“日本酒の概念”を覆してくれた銘柄もたくさんあって。同じ感動をたくさんの人に届けていきたいです」