聖なるオーバーライト『アルフォース』とデジメンタルを巡る八神タイチ・彩羽レイ・本宮大輔・四ノ宮リナ周りを考察してみた
『デジモンアドベンチャーVテイマー01』のオリジナル設定として「オーバーライト」というものがあります、いわゆる「データの書き換え」なのですが、古代種はこれの消費が現代種よりも激しく燃費が悪いのです。
戦う度にデータを消費するために体を構成するデータの劣化が激しく寿命が極端に短いというリスクがあるのですが、この「オーバーライト」に近いものというと「ドラゴンボール」の界王拳や超サイヤ人がそうでしょうか。
いわゆる「力とエネルギーの前借り」であり、瞬間的に凄まじい力を発揮して現代種を上回る戦闘力で圧倒する代わりに体には無理な負荷をかけているので使用後に反動で一気に疲労が襲いかかるというものです。
実際にブイドラモンやエアロブイドラモンはこの「種族が持ちうる能力の壁」としてのオーバーライトに何度も躓き瀕死からの復活を繰り返しますが、これをクリアするにはいくつかの解決策があります。
1つがそのブイドラモンの最終形態であるアルフォースブイドラモンが持つ聖なるオーバーライト『アルフォース』であり、いうまでもなく「アルティメットフォース(究極の力)」を縮めた造語です。
オーバーライトの「データの書き換え」を「0と1を再生する自然治癒力」へと昇華することでどれだけ強力な力を発揮したとしても瞬時に回復が可能なので寿命を気にせず戦うことができます。
これは超サイヤ人ゴッドやその延長線上にある「身勝手の極意」などに近い「純度の高い気」を常時開放できる仕組みに近く、言うなれば「古代種デジモンの永久機関」がアルフォースブイドラモンなのです。
だからこそ八神タイチとゼロマルが最終形態として辿り着いたアルフォースブイドラモン、そして更に彩羽レイのデジメンタルによって進化したアルフォースブイドラモン・フューチャーモードはあらゆる究極体の中でも別格でした。
2つ目がアニメ『デジモンアドベンチャー02』に出てきたデジメンタルを用いたアーマー進化と後半に出てきたジョグレス進化であり、単独だと成熟期に進化することすら難しい古代種デジモンへの解決策でした。
上に出た彩羽レイが持つデジメンタルとは全くの別物である02のアーマー進化ですが、共通点は「想いを進化の力に変える」ことと「外部の力を使うことで更に上の段階へ進化できる」ことなのです。
そう、デジメンタルは通常であれば「オーバーライト」による寿命の短さというリスクを伴う進化の負担をデジメンタルに肩代わりしてもらうため、大きく影響することはありません。
ジョグレス進化も同様に完全体に進化するのに必要なエネルギーをお互いに負担し合うことによって負担を減らしているわけであって、だから古代デジタルワールドではその存在自体が危険視されていました。
3つ目が『デジモンフロンティア』の伝説の十闘士がやっていた「スピリットエボリューション」ですが、これは人間が直接デジモンに変身することによってオーバーライトの負担を肩代わりしています。
ただし、1つ目の聖なるオーバーライト「アルフォース」や2つ目のアーマー進化・ジョグレス進化に比べると進化に必要な条件や進化のエネルギーの負担が大きいので、拓也たちは戦闘の度に疲弊するめんどくさい仕様です。
その最終形態であるエンシェントスピリットエボリューションは仲間の分も併せて全てのスピリットを集中させることでスサノオモンに進化させるのですが、これはあまりにも燃費が悪すぎます。
しかし、オーバーライトやデジメンタル、ジョグレス進化に頼らない進化をする場合はこれくらいのリスクを支払わないと進化することそれ自体が難しいということを示しているのではないでしょうか。
そして4つ目が『DIGIMONWORLD Re:Digitize Decode』の「策謀の魔王編」でスポット参戦を果たす四ノ宮リナが持つ潜在能力「デコード能力」というものです。
デコード能力とは「データの集合体であるデジモンやデジタルワールドの情報を解読し、正しい形に直したり本来以上の力を引き出す」ことであり、「ドラゴンボール」でいうところのアルティメット悟飯でしょう。
劇中でこの能力を持つ者は男性主人公のタイガと四ノ宮リナの2人だけですが、その中でもリナの持つデコード能力はパートナーが古代種ということもあってか爆発的な数値を叩き出しており、ミレイは最初それを危険視していました。
ブイブイが何故八神タイチのゼロマルと同じアルフォースブイドラモンに到達できるのかといえば、リナがデコード能力によって本来以上の力を引き出すことでアルフォースへの開眼を何とか可能にしているのです。
以上を整理してみましたが、改めて見ると3つ目のスピリットエボリューション以外はどれもチートというか、普通に考えたらバランスブレイカーもいいところな能力のものばかりですよね。
特に「02」のデジメンタルと「デコード」のデコード能力は本編の扱いからは想像がつきにくいでしょうが、大輔のブイモンとリナのブイブイは物語序盤の段階から既に完全体・究極体相当の力を手にしていることになります。
タケルが使っていた希望のデジメンタルを大輔が使ったら完全体相当のサジタリモンに、運命のデジメンタルを使ったらゴールドブイドラモンに、そして奇跡のデジメンタルを使えばマグナモンになれてしまうのです。
そりゃあタイチがベタ褒めするわけですよ、同じ古代種デジモン持ちとして進化の壁に苦労しながらやっとエアロブイドラモン到達したのにそれに匹敵するトンデモ能力を大輔は当たり前に使っているわけですから。
リナに関しても同じでもし大輔やタイチがリナに出会ったら彼女の持つデコード能力の恐ろしさに気づいて褒めたはずです、だってゼロマルが死のリスクと引き換えに到達したアルフォースに己の潜在能力だけで到達できるのですから。
「ボコボコにしてあげた仲」とか言ってましたが、なぜそんなリナがランク外なのかというとタイチのゼロマルと同じで存在が規格外過ぎて運営側から出禁を食らったことは想像に難くありませんし、だからバルバモンら暗黒側が目をつけるわけです。
ネットワークの守護神たるロイヤルナイツはデジタルワールド最大の危機の時に訪れると言われますが、思えばオメガモンもそうですしインペリアルドラモンファイターモードもそうですが、本当にここぞという時にしかロイヤルナイツは現れません。
まあ「フロンティア」「セイバーズ」みたいに敵として出てきてポンポン安売りするような消費の仕方はノーカンですが、少なくとも主人公側がロイヤルナイツやロイヤルナイツ相当のデジモンへ進化するときは例外なくデジタルワールドや現実世界の危機でした。
だからこそ私は思うのですが、もし「Vテイマー」で共演した大輔とタイチがそのまま戻ることなくずっと最後まで一緒に冒険していたら、それこそマグナモンとアルフォースブイドラモンの夢の共演というのもあり得たかもしれません。
基本的に大輔は存在自体が奇跡の塊でハッピーエンドフラグ建築士でもあるので、それこそエイリアス3と和解するのももっと簡単でしょうし(何せあのデジモンカイザーだった賢を口説き落としましたから)、彼らのパートナーデジモンも生存した可能性もあります。
そしてまた、大輔がそれこそ「デコード」の「策謀の魔王編」に出張していたらもっとリナとブイブイもスムーズに活躍できて、アルフォースブイドラモンとマグナモンの夢の共演という世界線が見られたかもしれないのです。
ただ、どちらの世界線にしても考え得るのは八神タイチ・本宮大輔・四ノ宮リナはデジタルワールド側からしたらいざという時以外に滅多なことで呼び出してはならない救世主にして最大のバグでもあるということでしょう。
そしてその中でも本宮大輔とブイモンはD-3によっていつでもデジタルゲートを開くことができ、あちこちの並行世界に出張できる存在になっていますが、実はデーモンもこの能力を持ってるんですよね。
第45話「暗黒のゲート」にてこんなことをデーモンは言っていました。
そう、七大魔王レベルになるといつでも自由自在にゲートを開くことができるものですし、そもそもD-3のデジタルゲートオープン自体が暗黒の海にデジヴァイスをつけてD-3に変質させたことで得た能力なのでしょう。
デーモンが現れた目的は賢の中にある暗黒の種でしたが、それはあくまでも「過程の1つ」であって真の目的は八神タイチとゼロマルのアルフォースに匹敵する「奇跡の力」を持つ大輔とブイモンが狙いだったと思われます。
キメラモン戦からこっち3度もロイヤルナイツを自在に召喚していますしタイチとゼロマルにも影響を与えていることをデーモンが把握していないとは思えないので、どう考えてもあのデーモンは「Vテイマー」と同一としか思えません。
そもそも02組が全員古代種持ちという時点でとんでもなくやばい集団ですが、分けても大輔とブイモンに関してはその中でも聖なるオーバーライト『アルフォース』に匹敵する「奇跡=想いの力」を持った生粋の戦闘種族です。
アズマケイさんの解釈によると「「ごめんっていったら、おわりだろ」というたった一言の魔法の言葉で、それを病気ではなく癒しに変えてしまった」のが大輔自身の持つ「奇跡=想いの力」の本質とのこと。
一昨日のRPGステータス化の記事で大輔の会話力が5という結果になったのは大輔のいうたった一言が詰み寸前の状況をひっくり返す奇跡に繋がっていることが多いからです。
これに匹敵する言葉の魔法を持っているのは同じ「想いの力」を進化に変換可能なデジメンタル持ちの彩羽レイのみであり、タイチもリナも会話力は十分に高いのですが、大輔やレイほどの言霊はありません。
そう考えたら、もしかすると彩羽レイにパートナーデジモンがいたらおそらく大輔と同じブイモンであり、同じく「奇跡の輝き」であるマグナモンにアーマー進化できる可能性は十分にあります。
ということで聖なる力『アルフォース』とそれに匹敵する「奇跡=想いの力」に関して更に突っ込んだ考察をしてみましたが、考えれば考えるほどとんでもない代物をブイモンテイマーは割り当てられているものですね。
その中でも本宮大輔は上にも書いたように存在自体がバランスブレイカーにしてハッピーフラグ建築士ですから「02」はそう考えると実は歴代屈指の「強くてニューゲーム」というチート状態でスタートしているんですよね。
だって「Vテイマー」でいえば最初から彩羽レイとデジメンタルがタイチとゼロマルのそばにいるようなものですし、だからこそ「デコード」では意図的にその枠を削除してタイチとゼロマル枠のみが残っているのでしょう。