本宮大輔は決してアルフォースブイドラモン系列になるべきではないと思う理由を考察!3人の「V」テイマーの違いとは?
昨日の記事にて、さき姫さんより「エクスブイモンからエアロブイドラモンになってアルフォースブイドラモンになるという大輔のファンがいるが、この意見に賛同できない。あなたはどう思いますか?」というコメントをいただきました。
私はリクエストこそ受け付けていませんが、こういう風にコメントいただいた中から唐突に次の記事のアイデアがひらめくことがあり、それを形にするのは好きだし得意なので、今回はそれを形にしていきましょう。
結論から述べるなら、本宮大輔は決してアルフォースブイドラモン系列に進化させるべきではないと思うし、する必要もないというのが個人的見解です。
デジモンにおける「進化」というのはあくまでもそのテイマーの特徴に合っているものかどうかという「個性」がすごく重要になります。
アズマケイさん曰く「パートナーデジモンはテイマーの潜在意識の具現化」とのことですし、実際に「テイマーズ」でも例えば啓人のギルモンはアグモンをヒントに生み出された「ぼくのかんがえたさいきょうのでじもん」です。
そして最終的にはマトリックスエボリューションでデュークモンというロイヤルナイツの一体を見事に引き当てることに成功しましたが、これこそある意味では最もわかりやすいデジモンとテイマーの関係性でありましょう。
上記を踏まえて本宮大輔とブイモンの関係性を考えると、暗黒進化させたことがなく闇堕ち要素も特にないこのコンビが単独でエクスブイモン以上の進化形態をわざわざ求める理由がありません。
今回はそこに関連して、アルフォースブイドラモンテイマーである「Vテイマー」の八神タイチとゼロマル、そして「Decode」の四ノ宮リナとブイブイの関係性も絡めて考察していきます。
それではどうぞ。
八神タイチとゼロマル(アルフォースブイドラモン)の関係性
まず漫画版『デジモンアドベンチャーVテイマー01』の八神タイチとゼロマル(アルフォースブイドラモン)の関係性について考察しますが、結論からいえばこのコンビが「古代種デジモンの存在意義」も含めて一作で答えを出しています。
それというのも、「Vテイマー」に出てくるのはタイチとゼロマルを除けば全員現代種のデジモンとテイマーだからであり、秀人のオメガモン、マリのロゼモン、シグマのピエモンとほぼ全てのテイマーとデジモンが現代種の究極体ばかりでした。
それらをタイチとゼロマルが古代種の特性である「オーバーライト」をフルに活かして、古代種は進化が難しい代わりにそもそものスペックと戦闘力が現代種以上であるという設定を活かして成熟期で完全体を、そして完全体で究極体を圧倒したのです。
さらにタイチの完璧かつ冷静沈着な戦術眼が合わされば向かう所敵なし、文字通りの勝率100%テイマーであり、ただ逆に言えば彼らはこの世界の中で唯一の古代種だからこそ孤独だったのではないでしょうか。
世界観から考えて、タイチとゼロマルはあの世界に自分たちしかおらず、少なくとも「02」の大輔とブイモンに出会う前までは古代種デジモンをパートナーとしている人には出会ったことがありません。
タイチとゼロマルの明るく前向きなコンビに誤魔化されがちですが、タイチとゼロマルはデジタルワールドに召喚された時から「孤独な古代種デジモンの宿命」というものを背負わされているのです。
そしてたたかう中で「飛行能力が足りない」「古代種はオーバーライトで寿命を縮めがちだから進化が難しい」「そのオーバーライトを消費してしまうと理性を消失してしまいかねない」というリスクがありました。
だからテイマーのタイチが完成されていたとしても、パートナーのゼロマルが不完全だとクリアができず、それぞれのステージで進化していく毎に能力やスペックの壁・欠点が克服されていく仕組みです。
ここはアニメのアドベンチャーシリーズとは真逆のアプローチで作られていて、アニメは「子供達の心」という精神面における未熟さや欠如をクリアしていき、その「心の成長」がクリアするたびにパートナーデジモンが強さを得ていきます。
だから、太一が勇気を出して行けば行くほどグレイモンはどんどん勇敢な戦士へ、そしてヤマトが友や仲間を大切にすればするほどガルルモンはどんどんソリッドな冷たさを持った存在へと進化していくのです。
無印自体のことは私は今でも大嫌いですが、Vテイマーと違っていたのはVテイマーはデジモン側の「能力不足」が壁となり、それが進化するこ毎にクリアされたのに対して、アニメの無印はそのデジモンが抱える課題をテイマーの心の方に置いています。
だから、漫画版の八神タイチはアニメ版のすごくに癇癪を起こしがちな太一とは違って隙のないテイマーとして完成されていた理由もそこにあって、パートナーデジモンが壁をクリアしていくことで強くなっていくのです。
だからエアロブイドラモンに進化することで元々持っていた爆発的な戦闘力はそのままに「飛行能力」という課題をクリアされることで力を得ますが、「オーバーライト故の寿命の短さ」「高い知性」「鉄壁の防御」が足りないものでした。
その壁を最終的にクリアしたのが究極体のアルフォースブイドラモンであり、ここで「アルフォース」によって寿命の短さを克服し、更に究極体になったことで高い知性とテンセグレートシールドという最強の防御力を得ています。
これぞまさに「究極体」という言葉が相応しいデジモンであり、最後のデーモン超究極体以外は苦戦すらする気配が全くなく倒せている為に、このアルフォースブイドラモンへの進化が物凄くロマンがあるし尊いものでした。
まあそんなロマンですらも台無しにしてしまうのが「デジモンフロンティア」「デジモンセイバーズ」で敵として出てきたロイヤルナイツですけどね(笑)
四ノ宮リナとブイブイ(アルフォースブイドラモン)の関係性
タイチとゼロマルの関係性を踏まえて、今度は2人目のアルフォースブイドラモンテイマーである『デジモンワールド Re:Digitize Decode』を見ていきます。
ブイドラモン系列の進化がブイモンの進化の系譜に正式に収められたのが本作ですが、実はこの作品の世界観・物語・設定は「Vテイマー」に近いものになっているのです。
というのも、この世界でリナとブイブイは唯一の古代種デジモンとテイマーであり、残りのタイガをはじめとする主人公たちはみなほとんど現代種のデジモンとテイマーでした。
だからタイチとゼロマルのように、リナとブイブイもまた古代種が抱える孤独という宿命を背負ってこの世界に生まれてきたのだといえますし、見方を変えればタイチとゼロマルの転生体であるともいえそうです。
この世界ではアニメシリーズの「02」や「フロンティア」と違って古代種の技術である「アーマー進化」「ジョグレス進化」というシステムがほとんどロストテクノロジーとなっています。
元々アーマー進化自体が古代デジタルワールド期において危険なオーパーツであると見做されていて、ジョグレス進化もそれをできる優秀なテイマーがほとんどいなくなったのでしょう。
だから本宮大輔とブイモンが客演で出た時以外ではアーマー進化やジョグレス進化の技術はほとんどなく、誰もリナとブイブイの本質的な孤独を共有できるものがいないのです。
リナはそういう宿命を最初から背負っていたのですが、彼女の場合はタイガと同じで「Decode(デジモン本来の潜在能力を引き出す力)」の持ち主として描かれていました。
この2人はタイチとゼロマルとは違い古代種の進化の壁にはさほど苦しまなかったのでしょう、何故ならばリナがおそらく進化のエネルギーを負担していたからです。
その分リナはアニメシリーズの選ばれし子供と同じように「心の成長」が課題として求められており、その上で器が未熟であったが為にその力を制御し切れません。
タイチとゼロマルとはそこが逆であり、タイチとゼロマルはタイチが完璧に知性でコントロールしていたので、あとはそこに能力の壁をゼロマルがクリアすれば良かったのです。
リナとブイブイはその逆で、ブイブイが物凄く慎重な知性派として描かれており、リナが幾分直情的な子として描かれていたので一番負担がかかるのはリナの方でした。
つまり、タイチとゼロマルと同じアルフォースブイドラモンテイマーに選ばれていたのは「そもそも周囲には古代種デジモンがいない」「アーマー進化もジョグレス進化も失われている」という似た世界観だからでした。
しかし、勝率100%コンビとは真逆でパートナーデジモンが慎重派である代わりにテイマーの方が暴走機関車になってしまいがちで器も未熟というのがリナとブイブイの関係性です。
その意味ではリナとブイブイの方が「心の成長」という課題を抱えているという意味ではアニメのアドベンチャーシリーズに近い方向性を持ったキャラであるといえます。
本宮大輔とブイモンがアルフォースブイドラモン系列に進化する必要がない理由
ここまで2人のアルフォースブイドラモンテイマーの関係性を考察してきましたが、ここまで言語化して改めて大輔とブイモンがアルフォースブイドラモン系列に進化する必要がない理由がわかります。
一番の理由は大輔以外にも京・伊織・賢という純粋古代種デジモンとテイマーがいる為に、「古代種持ちが自分しかいない」という孤独はクリアしてしまっているからです。
しかもエクスブイモンに進化した段階で成熟期のデジモンが抱えがちな欠点をほとんど克服しており、なおかつ空中戦の専門家として京のアクィラモンも、そして地中戦にはアンキロモンがいます。
さらに情報収拾や索敵なども含めた裏方や駆け引きなどは一乗寺賢とワームモンというエリートコンビがいるので、大輔に足りないものを仲間たちがほぼ補ってしまえるのです。
そりゃあ49話で「ああ、持ってないね。オレは、今がいちばん幸せなんだ!家族がいて、仲間がいて……デジモンたちがいる!何の不満も悩みもない!」と言うわけですよね。
「ラスエボ」でも京が出てきたときに「お!来たからにはしっかり役立って来れよ!」と言ってましたし、「THE BEGINNING」でも当たり前に仲間たちのことを信頼していましたから。
ここがまとまりの悪い無印組との対比でもあるのですが、特に後半からの「02」は大輔って賢もしくは京などのようにセットで動くことが多く、単独で動く時ってよっぽどなんですよね。
そもそも自分以外にも古代種デジモン持ちがいてそれぞれの長所も短所も距離感もできていて、さらにはアーマー進化で勇気・友情・奇跡があってエクスブイモンは完全体や究極体相手でもいい勝負ができています。
そして、どうにもならないことがあればパイルドラモンにジョグレス進化してインペリアルドラモンへ究極進化、さらにファイターフォームもあるのですから手持ちの駒としては十分すぎるくらいでしょう。
タイチ・リナとは違い大輔は、というか02組は「仲間に恵まれているから孤独を抱える必要がない」し、だからその中で大輔とブイモンがアルフォースブイドラモンへの進化を目指す理由もありません。
普通はデジモンってテイマーかパートナーデジモンのどちらかに「克服すべき弱点」というものを抱えていてそれが物語の縦軸になりますが、大輔とブイモンはそういう「克服すべき弱点」が最初からないんですよね。
知性や勉強苦手というところは賢がカバーしてますし、前半が空回り気味だったのも自分の本質から外れて八神太一っぽく動こうとしたからああなっただけで、大輔自身は最初から結構大人な一面ありましたから。
「THE BEGINING」になるともはや自分の進路も明確に決まっていてキャラとしても完成されすぎているからか、精神レベルが3から4(人外魔境)の領域になっていましたが、あの頃よりインペリアルドラモン・マグナモンが似合う男になりましたね。
そりゃあ彼でなければ大和田ルイとウッコモンは救済できなかったはずですよ、タイチやリナでもできなくはないでしょうけど、下手すると孤独を抱えたもの同士の悪循環でバッドエンドになりかねませんし。
だからブイモンテイマーが3人もいながら、その中で原種のエクスブイモンを引き当てて、なおかつインペリアルドラモンとマグナモンを支えるのが大輔とブイモンだけである理由がわかりますね。
そして同時に、仲間に恵まれているからこそわざわざ単独でアルフォースブイドラモン系列を目指す必要もない理由がこうして言語化してみて明らかになりました。
多分タイチとリナからしても大輔とブイモンって憧れ・羨望の眼差しを向けられる人ではないでしょうか。