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歴代最高のカリスマ船長・ゼイハブの魅力を徹底解説!圧倒的な強さの奥底に隠されたバルバンの「悪」の本質とは?不死身ながら敗北した理由も考察

さあ、昨日は心機一転、遠慮・忌憚・忖度なしで言いたいことや語りたことをどんどん言っていくと誓い、早速「悪とは何か?」について書きました。
そしてその具体例として『星獣戦隊ギンガマン』の宇宙海賊バルバンについて語り、その中で「ゼイハブの圧倒的なカリスマ性と戦闘力」についても触れています。
今回はそこを更にピックアップしてゼイハブというキャラそのものの魅力を徹底的に語っていこうではありませんか。
歴代戦隊には様々な悪の首領がいるわけですが、私の中で「ボスとしての完成度」という意味でゼイハブを超える名キャラはいないと思うのです。

前回の記事の「船長ゼイハブの圧倒的なカリスマ性と戦闘力」という項目で、彼の人となりや悪としての魅力に関してはある程度書きました。
それを受けて今回の記事ではそんなゼイハブの魅力を更に具体的に深掘りしていき、よりその魅力を言語化してみようという試みです。
『星獣戦隊ギンガマン』という作品の中で、ヒーロー側のギンガマンとは対照的に宇宙海賊バルバン、わけてもその首領であるゼイハブには一切の人間性がありません。
しかしその一貫した冷徹で残忍な言動と行動が数々のインパクトを視聴者に与え、歴代屈指のラスボスとして語り草となっているわけです。

そんなゼイハブの圧倒的なキャラ立ち・悪としての魅力を今回は外見と内面の両方から迫っていきましょう。
また有料ですが、ゼイハブを通して見えてくるバルバンの「悪」の本質と彼が不死身と言われる理由も併せて考察します。
申し訳ないですが、見たい方は「ギンガマン」という作品をご覧いただきご自身でお考え頂くか、お金をお支払いください。

ゼイハブの外面的な魅力

さて、まずは船長・ゼイハブの外面的な魅力、すなわちデザイン・言動・行動・戦闘力といった部分について語ってみましょう。
歴代屈指の強さと完成度を誇る船長ですが、視聴者が作品を通して伺えるゼイハブとはまずどのような人物なのか?

大物の風格が漂うキャラクターデザイン

まずはなんといっても大物の風格が漂うガタイのいいキャラクターデザインであり、誰がどう見ても「ボス」とわかる風貌が視聴者の注目を集めます。
見た目はおそらく「ピーターパン」のフック船長をモデルにガレオン船の横向きのデザインであり、野蛮さと厳つさが前面に押し出されたデザインです。
しかも演じるのは声優の大御所・柴田秀勝であり、近い時期の作品だと『忍者戦隊カクレンジャー』の妖怪大魔王や『ドラゴンボールGT』の一神龍を演じています。
とにかくその見た目から醸し出されるカリスマ性は半端ではなく、彼が後ろでドンと構えているだけで「こいつはヤバイ!」と思わせるわけです。

宇宙海賊バルバンは星を荒らし回っていたならず者が徒党を組んでいるわけですが、あまりにも個性が強すぎて寄ると触ると直ぐに仲間割れを起こします。
しかし、それを「野郎ども!静かにしろ!」と一喝し黙らせる鶴の一声は強力なものであり、物語開始時点でから最後まで凄まじいカリスマ性があるのです。
それが物語を支える柱にもなっているからこそ、努力や友情・絆といったものを大事にしながら戦うギンガマンと好対照をなす形になっています。
何者をも寄せ付けない圧倒的強者のオーラがわかりやすく伝わるキャラクターデザインで子供達に恐怖感を与えているのです。

最初から最後まで変わらない圧倒的な戦闘力

2つ目に、ゼイハブは最初から最後まで変わらない圧倒的な戦闘力を有しており、他の特撮やヒーロー作品にありがちな最終回限定の強化形態や変身・進化もありません。
普通の作品だったら途中でテコ入れが入ったり作戦変更したりして強さの値が変わりがちですが、ゼイハブについてはそういうあざとい視聴者受けを狙ったことはしないのです。
それがなかったとしても最後までギンガマンと黒騎士を圧倒し続け、最後にある方法で形成逆転されるまでは圧倒的な余裕を保ったままボスとして君臨しています。
武器は腰に差している剣、左手のフックとそのフックを外した時に仕込まれている大砲、更には口から吐き出す破壊光線などですが、いずれもが破格の威力を誇るものです。

第一章ではギンガマンで「最強」の象徴であるヒュウガを容易く地の底に沈め、その剣は黒騎士の弟クランツを真っ二つにし、ブクラテスやヒュウガにも致命傷を負わせています。
更にはヒュウガとブクラテスがゼイハブ対策として編み出した新武器でさえも破壊してしまい、ダイタニクス決戦編では閃光星獣剣でギンガレッドを串刺しにしているのです。
直接的な対決自体は少ないものの、その中でどんな相手だろうと歯牙にも掛けない強さを誇示しており、全く隙がない空前にして絶後の完成度ではないでしょうか。
単純にスペックだけなら他にいくらでも強いラスボスはいますが、修行や強化せずとも素のスペックだけで他を圧倒する一定した戦闘力は他に類を見ません。

どんな攻撃を受けてもビクともしない不死身の肉体

そして圧倒的な戦闘力を支えているのはどんな攻撃を受けてもビクともしない不死身の肉体であり、これがあることでゼイハブは一人になろうとも終始優勢を保っていられるのです。
特撮作品というのはスーパー戦隊シリーズに限らず、ライダーシリーズにしろウルトラシリーズにしろ、敵側が毎回負け通しで組織としての威厳と風格が失われて行きます。
しかし、「ギンガマン」でその印象が全くないのはゼイハブこそが不死身の肉体でヒーロー側を圧倒し続けているからであり、この特徴は物語を大きく支えた屋台骨となりました。
次々とバルバンの幹部連中や魔人たち、そして魔獣が倒されようとゼイハブが倒れるまで地球に平和が訪れないという図式を保つことで、緊張感をしっかり維持したのです。

例えば前二作(「カーレンジャー」「メガレンジャー」)のラスボスは終盤で大幅強化がされたりボスが余裕を失ったりしていましたし、次作『ゴーゴーファイブ』もやはり終盤で急激な強化がされていました。
しかし、本作ではそれに頼らないことで短期的な目先の「量」ではなく長期的な「質」において悪の首領がヒーロー側を圧倒し続けていたという、ありそうで意外と中々ない展開なのです。
ではなぜゼイハブがそんな不死身の肉体を持ち得ていたのか、そしてどうやって逆転したのかに関しては重要な物語の核に絡むので、敢えて有料で後回しにします。
まあとにかく、終始優勢を保って最後までラスボスとしての威厳と風格が崩れることなく保たれていたことがとてもポイント高く、今でも語られ続けているのではないでしょうか。

ゼイハブの内面的な魅力

外見だけでも十分に悪役としての要諦を満たしているゼイハブですが、彼が悪のカリスマたる真の理由は何と言ってもその内面にあります。
江戸っ子口調による横柄な口の利き方と圧倒的な戦闘力・不死身の肉体の裏にはどのようなキャラクター性が描かれているのでしょうか?

部下を平気で捨て駒にする冷徹さ

まず目立つのは目的のためなら部下を平気で捨て駒にする冷徹さ・卑劣さであり、これが近年の悪役に最も足りていないと思しき要素ではないでしょうか。
江戸っ子口調での容赦ない罵詈雑言はもちろんのこと、特に2クール目のブドーと3クール目のイリエスが退場する時にその冷徹さが端的に垣間見えるのです。
例えばブドーがギンガの光を見つけるという大手柄を立てたのに裏切りを食らって失敗した時、船長は敢えてそれすら作戦の一部として利用しました
かと思えば、そのブドーを陥れた張本人であるイリエスとブクラテスが船長に謀反を起こそうとした時には、後ろからバッサリ切り倒してイリエスの魂をダイタニクス復活に利用したのです。

そう、単純に腕っ節が強くカリスマ性やキャプテンシーがあるだけではなく、組織内外の人間関係すらも的確に把握する洞察力と対応力の高さがあるのが素晴らしいところでしょう。
ゼイハブにとってあくまで目的は「魔獣を復活(誕生)させ地球を食らって宝石に変えること」であり、その目的を達成する為ならどんな手段も厭わないのです。
かといって情がないかというとそうではなく、右腕のバットバスにはそれ相応の評価をしていたり、操舵士シェリンダに対しては特別な感情を抱いていたことが窺えます。
しかし、そこで情に流されて大局を見失うバカな真似だけは決してせず、死に際まで一貫して非情であり続けたのが今日でもなお語られる所以です。

利食いと損切りの使い分けができる頭の回転の速さ

1つ目に書いた2クール目のブドーと3クール目のイリエスが退場する時もそうですが、ゼイハブは投資における利食いと損切りの使い分けができる頭の回転の速さがあります。
これもまたゼイハブの恐ろしさを象徴しており、特にダイタニクス決戦編の後の最終決戦においてそれが如実に表れているのではないでしょうか。
あそこでゼイハブは三千年も封印されていた影響でダイタニクスの肉体が腐っていて使い物にならないと分かるや否や、荒くれ無敵城を背中から切り離します。
そして敢えて弱体化したダイタニクスをギンガマンたちに倒させ、その破片を地中に染み込ませて星の力によって新たな魔獣を誕生させたのです。

そう、ダイタニクスが使えないことに対して不平不満を並べて立てて拘泥することなく、角度を変えて「新たな魔獣を誕生させればいい」という柔軟性があります。
この大局を見据えた適切な経営判断ができるかどうかもまた大事であり、ゼイハブは悪に身を窶さなかったらビジネスオーナーや投資家のセンスも十分にあるのです。
経営者自体もどこかサイコパスな部分がないとやれないので、それが仲間たちとの絆を大事にしながら戦うギンガマンの価値観とは極めて対照的なものとして描かれています。
単に冷徹であるだけではなく、その中にも適切な判断力・柔軟性があるという隙のなさもまたゼイハブの大きな魅力に繋がっているのではないでしょうか。

欲望を知性で抑制できる胆力・精神力の高さ

そして何と言ってもこれが大きいのですが、バルバンの中でも欲望を知性で抑制して戦える胆力・精神力こそがゼイハブの船長たる所以です。
バルバンの幹部連中もその眷属である一般の魔人たちもとんでもない戦闘力を持っていますが、大体において最期は欲望に執着して自滅しています。
No.2として存在していたシェリンダですらその最期はギンガグリーン・ハヤテとの一騎討ちに執着した挙句の自滅という末路を辿りました。
しかしゼイハブは欲望によって自滅することは一切なく、己の欲望をしっかり知性で抑制して強大な壁として立ちはだかり続けたのです。

悪の組織が滅ぶ時は大体トップが何かしらの理由で自滅してしまい、その隙を突かれて負けてしまうわけですが、ゼイハブにはそれがありません。
ゼイハブがギンガマンと黒騎士に負けた理由は有料で解説しますが、悪の首領が往往にして陥った負けフラグとは違う理由でゼイハブは負けたのです。
またそれがあることで自分が戦うべき時と後ろで見守るべき時の区別・メリハリがしっかりつけられていたのではないでしょうか。
これが星を愛し星を守る戦闘民族ギンガマンとの大きな対比となっており、その価値観の拮抗が物語の中で大きく作用しました。

ゼイハブの圧倒的な強さの奥底に隠されたバルバンの「悪」の本質とは?

こうして見ていくと、ゼイハブの圧倒的な強さとカリスマ性の奥底に隠されたバルバンの「悪」としての本質は「際限のない欲」です。
ゼイハブだけではない他の幹部連中も眷属たちもこの「欲」をかいてギンガマンに足を掬われて負けるというのがほとんどでした。
因みにこの「際限のない欲」は同じ小林脚本の「タイムレンジャー」「シンケンジャー」「仮面ライダーOOO」辺りにも共通しています。
ギンガマンと同じ星の力で戦っていながら、己の欲の為なら平気で無辜の者を傷つけ殺し、美味いものを食って美味い酒に酔う獰猛な存在です。

小林女史の脚本と高寺Pの細かなこだわりによって美しい物語の構成になっているので気づきにくいですが、装飾を剥いで本質を見ていくとバルバンは歴代でも屈指の野蛮な存在でしょう。
彼らには最初から「話し合い」も通用しないし「地球征服」という覇権争いでもなく、最初から地球を守れるか滅んで宝石になるかのどちらかしかないのです。
この「悪」の形は高寺Pら当時の作り手が大真面目にスーパー戦隊シリーズの「王道」を突き詰めて考えに考え抜いて徹底的に詰めた結果ではないかと思われます。
ギンガマン側が一切スレたところがなく、星に感謝し星とそこに生きる人々を愛して戦うのとは対照的であり、非常に考え抜かれた悪の組織の設計ではないでしょうか。

ゼイハブが不死身ながら敗北した理由

さて、ここからはネタバレ全開となりますが、ゼイハブがこれだけ隙のない完成度を誇りながら、不死身である理由は何なのでしょうか?
そしてそんな不死身の肉体に対してギンガマンはどのように立ち向かい、どのようにしてゼイハブは敗北したのかを考察します。

不死身なのは星の命を埋め込んでいたから

ゼイハブが不死身なのはゼイハブの故郷の星の命を右胸に埋め込んでいたからであり、この時ゼイハブへの埋め込み手術を担当したのがブクラテスでした。
星の命に関しては第二章の冒頭で説明されているように、魔獣ダイタニクスが星の命を食らって宝石にしたものであり、いわば星の力を凝縮したものでしょう。
例えるならこれはギンガマンのアースや自在剣機刃と同質のものであり、実はギンガマンとバルバンは全く同じものを力として戦っていることになるのです。
4クール目でブクラテスがゼイハブに反旗を翻してヒュウガにアースを捨てさせ、ナイトアックスで星の命を砕く練習をさせていたのもこの為でした。

しかし、そんなブクラテスの考えなどお見通しと言わんばかりに、ゼイハブは右胸にあったはずの星の命を中央に埋め変えていたのです。
この徹底ぶりも素晴らしく、しかもブクラテスとヒュウガの努力も虚しく星の命を砕くための3ヶ月の努力が水の泡となってしまいました。
逆説的にいえばこれは突発的に得た力ではゼイハブに勝てないことの現れでしたが、そんなゼイハブの星の命は最終的に砕かれてしまうのです。
そう、リョウマとヒュウガのダブル炎のたてがみによって打ち砕かれたのですが、果たしてそこにはどのような意味があったのでしょうか?

星への執着故に星に見放された皮肉な末路

ゼイハブがダブル炎のたてがみで負けた理由は「星への執着」であり、それゆえに最期は星に見放されたという結末が示されています。
リョウマの「ゼイハブ!星を傷つけるお前から星が離れたんだ!」に象徴されているように、ゼイハブもまた己の中にある「星への執着」を見落としていたのです。
ゼイハブは確かに隙のない完璧な悪のカリスマでしたが、そのカリスマ性の高さ故に欠点がないのがかえって仇となったということではないでしょうか。
執着はどんなものであれそれが行き過ぎると己の身を蝕む毒になりますが、ゼイハブとてまた例外ではなかったのです。

そう考えると何とも皮肉なものですが、どれだけ強き力を持っていても、真っ当な心がないと闇に陥ってしまうという結末を示していたのかもしれません。
ゼイハブの悪の美学というか、徹底した戦略と戦術は一目置く所はありますが、そうはいってもやはり根っこは極悪人です。
無辜の者を殺しても全く心を痛めず、それが星に生きるあらゆる者を大切にする戦闘民族ギンガマンとの大きな差となりました。
しかし、最期までブレずに美学を貫き通したゼイハブこそ私は数ある悪の首領の中でも桁違いの完成度と魅力を誇る名悪役だと断言します。

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