【Vテイマー01から】『デジモンアドベンチャー02』のデーモンの真の目的は何だったのかを徹底考察！暗黒の種を用いて何がしたかったのか？最後のセリフの真意も解説【Decodeまで】
『デジモンアドベンチャー02』のデーモンは一乗寺賢の中に植えつけられていた「暗黒の種」を目的に人間世界に出てきましたが、賢を拉致して暗黒の種を手に入れた後で何を目指していたのかは劇中での明確な描写がありません。
しかもスペックの上ではどう見てもラスボスのベリアルヴァンデモンより遥かに上であるにもかかわらず、何故だかラスボス戦の前哨戦みたいな形で出てきて本気を出さないまま終わったので、ここだけ浮いて見えてしまいます。
そのくせ最後だけ「後悔することになる」という意味深なセリフを残したまま何も触れられておらず、「Tri.」「ラスエボ」「ビギニング」でもその辺りの真相は謎のままです。
今回はこの点について深掘りして考えてみましょう。
まずデーモン自体がボスとして主人公の前に立ちはだかったのは私が確認できるところたった3回で、1つ目が漫画『デジモンアドベンチャーVテイマー01』、2つ目が「02」、そして3つ目が『デジモンワールド Re:Digitize Decode』の策謀の魔王編です。
奇しくもブイモン系列のパートナーデジモンを持つ主人公が登場する作品ばかりで、「Vテイマー」と「Decode」がアルフォースブイモン、そして「02」がインペリアルドラモンという風にブイモン系テイマーはどうやらデーモンとの因縁がありますね。
ここまで似たような現象が複数発生しているともはや前世の業（カルマ）ではないかとさえ思えてきますが、おそらくデーモン関連に関してはそれこそ断念してしまった漫画とアニメをリンクさせる計画の名残だったのではないでしょうか。
明らかに「02」の中でデーモン関連だけ浮いて見えるんですよね、基本的にデジモンカイザーがらみで話が動いている中でデーモン関連だけは何の伏線も脈絡もなく登場したので、明らかに設定周りが練られていないのが丸わかりです。
なので、「02」だけではなく「Vテイマー」や「デコード」も込みで考えますが、単に暗黒の種を狙うだけなら別にデーモン直々に出向いて一乗寺賢とワームモンを拉致する必要はないはずです。
問題は「暗黒の種を用いて何をしたかったのか？」になりますが、結論から言えば「暗黒の花を咲かせてそのエネルギーを全て吸収してデーモン超究極体に進化しようとした」ではないでしょうか。
「Vテイマー」の描写を見ると、デーモンは彩羽ネオにアルカディモンを育成させていましたが、そのアルカディモンは成長期の時点で究極体相当の力を持つというとんでもないチートデジモンでした。
アルカディモンに近い設定といえばデーモンと同じ七大魔王のルーチェモンがそうですが、デーモンは一度そのアルカディモンに自分を食わせてネオにデジモンを使ってアルカディモン超究極体まで進化させます。
しかし、ここで大きな誤算があり、それこそが八神タイチがゼロマルをアルフォースブイモンに進化させたことであり、アルカディモン超究極体すら上回ってしまうほどの実力を手にしていたのです。
とうとうデジメンタルの効果すら切れてしまいデーモンはこの時彩羽ネオを洗脳から解放して見捨てるのですが、アルカディモン超究極体のエネルギーを己の中に吸収してデーモン超究極体まで進化しました。
ここまではおそらくデーモンの計画通りで、デーモン超究極体はアルフォースブイモンですら苦戦するレベルでしたが、彩羽レイがデジメンタルを輝かせてアルフォースブイドラモンフューチャーモードへ進化させたのです。
これによってデーモンの計画は失敗に終わったのですが、Vテイマー→無印→02という流れで考えていくと、デーモンはおそらくこの時の教訓を基に同じ失敗を繰り返さないように用意周到な計画を練ったのではないでしょうか。
デーモンの誤算は八神タイチとゼロマルという規格外の勝率100％コンビを相手にしたこと、そしてもう1つが彩羽レイとデジメンタルという切り札が隠れていたことであり、この時から古代種デジモンとデジメンタルを危惧するようになった可能性があります。
だから彩羽レイのデジメンタルを基に紋章とタグ、そして02デジメンタルが開発されていくわけですが、デーモンは早い段階で黒い歯車や暗黒の球を用いてデジタルワールドのほぼ全域を染め上げるところから始めたのです。
要するに「将を射んと欲すればまず馬を射よ」であって、なおかつその中で聖なる紋章である奇跡と運命をあらかじめ奪って抹消することにしたのでしょう、何故かって野放しにして彩羽レイという伏兵にやられたから。
そしてホストコンピューターのゲンナイに暗黒の球を植え付けて老人化させたことで暗黒側の手先にしたことにより、太一たち無印組にウィルス種＝闇＝悪という価値観を植え付けることに成功します。
その上で案内人になり得るはずのなっちゃんの不在に守護者であるはずのデビモン・エテモン・ナノモン・ヴァンデモンを太一たちに倒させて彼らを破壊者に仕立て上げ、最後は「デジタルワールドの解放」という名目で紋章とタグを手放させます。
これによってデーモンの暗黒の儀式の第一弾は完了です、無印組は所詮「Vテイマー」でいうところのエイリアス3枠でしかなく、デジタルワールドにとっては敵でしかないので信用がなく、弱体化に成功しました。
しかし、問題は「02」でまさかの本宮大輔とブイモンという「彩羽レイの継承者」がキメラモン戦で優しさの紋章を、抹消したはずの奇跡のデジメンタルに変化させるという確変を起こしたことなのです。
これはデーモンにとって彩羽レイとデジメンタル以来の誤算だったことでしょう、しかもその後大輔とブイモンはかつて自分を倒した張本人である八神タイチとゼロマルその人に出会ってしまいました。
そうして大輔は後半に向けて彩羽ネオを継承すべき存在だった一乗寺賢とワームモンを説得して味方に引き入れ、更にジョグレス進化まで起こし四聖獣のチンロンモンを解放してインペリアルドラモンへ究極進化させます。
デーモンからしたら完全な誤算です、ほぼ王手寸前の段階でまさかのブイモンテイマーが予想外の確変を見せてバグを起こし、敵だったものを次々と味方につけるという奇跡を起こしているのですから。
「02」はヴァンデモンが事の元凶にして黒幕みたいに描かれていますが、ヴァンデモンは所詮闇の眷属の一角でしかなくデーモンらに利用されているだけのアホデジモンなので、さして脅威ではありません。
ましてやあれは太一たち無印組がお台場霧事件できちんとヴァンデモンの魂を浄化しなかったことから発生した負債でしかないので、無印組のやらかしを02組が尻拭いしているだけのことです。
だからこそデーモンは直々に自分が出向いたのでしょう、「不味い、このままでは負けてしまう」と……一乗寺賢と暗黒の種を狙って再度彼をデジモンカイザーに仕立て上げアルカディモン超究極体の流れを再現しようとしたのではないでしょうか。
もしこの段階で大輔たちがインペリアルドラモンパラディンモードへ進化させるか、もしくはアルフォースブイドラモンとそのテイマーを同伴させてマグナモンと揃い踏みしていたら、正に「Vテイマー」の神話が再現されデーモンは負けたはずです。
暗黒の種は基本的に本宮大輔や井ノ上京のような健全で前向きな心の持ち主には何の効果もないものですが、一乗寺賢や及川悠紀夫のような心に闇を抱えている人間には効果抜群のものであり、だからこそデーモンは賢を狙いました。
はっきり言えば彩羽レイ≒本宮大輔はベリアルヴァンデモンやデーモンら暗黒側にとっては存在自体が罠カードに等しいのであり、他人に対して純粋な心で接するが故に暗黒耐性が抜群であり暗黒堕ちする要素が一切ありません。
暗黒側にとって本宮大輔とブイモンとはそれほどに脅威であり、だからアズマケイさんの小説ではいきなりファイル島の段階で「一歩でも選択肢を間違えたら全滅・バッドエンド」という超難関のなっちゃんという試練が大輔とブイモンに課されていました。
デーモンやベリアルヴァンデモンにとって誤算だったのは暗黒側の想定を本宮大輔とブイモンの純粋なる底なしの優しさが上回って確変を起こしたことであり、だから彼らの存在は言うなれば不可侵の領域なのです。
だからデーモンにしろベリアルヴァンデモンにしろ、そしてそいつら暗黒側に洗脳されていたデジモンカイザー＝一乗寺賢にしろ、どれだけ追い詰めても全く弱音を吐くことなく諦めない大輔とブイモンの凄まじい生命力の前に圧倒されています。
大輔とブイモンの一点の曇りを感じさせず光も闇もないあの目に見つめられるだけで暗黒側のデジモンたちは自身の生命力が削られるような思いがしたのではないでしょうか、特にベリアルヴァンデモンはその辺りの反応が顕著です。
だから「02」の面白いところってキメラモン戦にしろブラックウォーグレイモン戦にしろ、デーモン戦もベリアルヴァンデモン戦も、そしてアーマゲモン戦も全て暗黒側の方が常に有利なのに大輔とブイモンが起こす奇跡にやられているところです。
正にこれこそ「勝率0％の戦いを100％に塗り替えて逆転する」なのですが、それを無自覚にやってのける大輔とブイモンを中心にした02組のあり方に全く御都合主義の感じがしないのは暗黒側の方が腰が引けているからでしょう。
デーモンもだからこそ口では「後悔するぞ」なんて言いつつ、実際それは「Tri.」という「選んではいけない最悪の未来」という形で実現していながら、大輔たちに対して有効打を出すことなく負けてしまいました。
確かにあの時の大輔たちは勝利の鍵が不足していたためにデーモンを倒すことができなかったのは事実ですが、完全敗北という形にならなかったのはデーモンが奥底で大輔とブイモンを恐れていたからだと考えられます。
邪なるものは聖なるものには触れることすらできないと言います、例えば新興宗教に洗脳されている信者などは神社などの神聖なパワースポットには立ち入ることすらできないのですが、大輔たちと暗黒側の関係性もこれに近いでしょう。
最後のセリフの真意ですが、実際「後悔するぞ」の言葉通りに「Tri.」では大輔たち02組が最初にやられていますし、しかもそのデーモンの因果が「デコード」の四ノ宮リナとブイブイという「八神タイチとゼロマルを継承するもの」にまで降りかかります。
しかもバルバモンとルーチェモンまで総動員する訳ですから大輔とブイモンの時よりはるかに容赦がありません、逆に言えばリナとブイブイも大輔とブイモン抜きでよく勝利できたなあと思えてなりません。
デーモンの因果はどうやら「末代まで呪われる」という言葉がふさわしいくらいデジモンシリーズにとって切っても切り離せないものなのかもしれませんね。