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『デジモンアドベンチャー02』の第4話の本宮姉弟の不仲説論争に関する解釈〜実は本宮姉弟が一番「人を見る目」「人間性に対する信用残高」がシビアなのでは?〜

『デジモンアドベンチャー02』を語る上では様々な問題点がありましたが、その1つが未だにファンの間で論争の火種となっている第4話の本宮姉弟の不仲説論争です。
これは本当に未だに大輔ファンにとってもそうでない人にとっても間違いなく禍根を残した回であり、大輔&ブイモン推しの私は当然彼ら視点で物語を見ますから当初ヤマトとヒカリが大嫌いでした
逆に無印ファンにとってはブラコンを拗らせているヤマトとヒカリの前であんな辛辣な態度を取ってしまった大輔を嫌いな人が多かったそうで、しかもその後のフォローも一切ないという理不尽と不条理の塊みたいな回です。
これが関弘美をはじめとする作り手側の意向だったかどうかは今や知る由もないですが、まあとにかく子供向けアニメとして明らかに放送すべきレベルではない描写であったことは間違いないでしょう。

今回はこの件に関して個人的見解というか考察をしてみます、やはり大輔&ブイモン推しの中で絶対避けては通れない話題の1つはこれだと思いますので。
あ、言っておきますが、ヤマトやヒカリに対する批判は書きますが誹謗中傷は書きません、なぜ彼らがあんな酷い態度を大輔に対して取ってしまったのかももう私の中で消化しています。
確かに無印組のことは未だに「坊主憎けりゃ袈裟まで憎い」レベルで大嫌いですが、だからといってここでまでそんな態度を取るほど私も別に鬼畜ではありません。


4話の本宮姉弟の不仲説論争の問題とは結局何だったのか?

まず、4話の本宮姉弟の不仲論争を巡る解説はめんどくさいのでpixiv大百科やその他「シティ・ザ・エメラルド・デジタル」などデジモン専用の感想サイトの解説をリンク貼っときますのでご覧ください。

さて、その上での個人的見解ですが、4話の何が問題かって本宮姉弟の不仲を拗らせて引っ張った挙句に、それをヤマトとヒカリに批判させてさも大輔が客観的に間違っているかのような脚本・演出の流れです。
あの場合明らかにおかしいのは大輔ではなくヤマトとヒカリの方です、何故かってその2人はそれぞれ弟と兄に対して重度のブラコンを拗らせた問題児であり、そんな人たちが一方的に本宮姉弟の関係をろくすっぽ実態を知りもせずに偉そうに口出ししているから。
これって本当に大輔に限らず誰であっても同じような思いをするでしょう、私も次男で長男とは不仲でその不仲を直し切らないまま完全に疎遠になっているので、立場としては大輔に近いところがあったんですよね。
だから尚更ヤマトやヒカリみたいに上辺の情報だけで大輔に対して「お前が俺の弟だったら殴っている」だの「身内の悪口を言う人は嫌い」だの言われたら、十中八九「他人の家庭事情に偉そうに口を挟むな」って言い返します。

その上でいちばんの問題はそんな理不尽な扱いを受けた大輔に対して一切のフォローを公式側が入れていないことにあります、4話の中でもその後の話でも「あの時はあんな態度取ってしまって済まなかった」の一言すらないんです
私が引っかかっているのはここであり、大輔もヤマトもヒカリもそれぞれの話の前提の擦り合わせが行われないまま主観だけが拗れに拗れてああなったわけですから、本来なら間を取り持って冷静な話し合いをしなければなりません。
それすら行わずに脚本と演出の方向性でヤマトとヒカリのようなブラコンを拗らせている人たちの方が客観的に正しくて大輔の方が間違っているかのような持って行き方をしてしまい、何のフォローもないままであることが未だに違和感として残ります。
まあ当時のデジモンスタッフは取り敢えず何かあれば人間関係で修羅場を発生させればそれが高尚なドラマになるという勘違いを拗らせた人たちの集まりなので、こういう頓珍漢な話を作ってもおかしくはないなと思いますが。

八神兄妹と高石田兄弟のブラコンシスコンを超えた、今風に言う「クソデカ感情」を拗らせたあの感じが異常なのであって、よく言われることですが一般的には本宮姉弟の喧嘩なんてごく普通のレベルなんですよ。
「兄弟(兄妹)だから仲良くしなければならない」なんていうのは単なる幻想であって、ヤマトはおそらく共感性が高く、そして逆にヒカリは共感性が低いからこそ本宮姉弟の不仲が信じられなかったのでしょう。
だから客観的に見れば別に大輔があそこでああいう態度を取ることはおかしくも何ともないのに、それを先代補正で「無印組の方が先輩だから正しい」みたいな変な縦社会文化を持ち込んでしまうからややこしいことになるんです。
それにも関わらず、ヤマトもヒカリもそんな辛辣な態度を大輔に取ったことに対して詫びの言葉一つも入れずに相変わらず大輔を面白おかしくいじる描写が多いせいで、余計に彼らに対するフラストレーションのみが鬱積してしまっています

私は別に兄弟が仲良くすべきだなんて欠片も思っていません、同年に放送されていた『未来戦隊タイムレンジャー』の浅見親子の確執とか『侍戦隊シンケンジャー』でも取り沙汰されていた侍たちの家庭の修羅場を見ればわかるでしょう。
いくら家族でも兄弟でも、生まれたその瞬間から違う性格や個性を持った独立生命体なんですから、仲良しである必要なんてないのに、日本人の変な集団主義の押し付けで「家族の絆」とかいうのが美徳とされるのが私は疑問でした。
とまあ、ここまでで4話の本宮姉弟の不仲説論争の問題点は明らかになりましたが、ただこの後の描写を見ると本宮姉弟に関しても色んな見方ができます。

「大輔は憧れのヒカリに咎められたからジュンの悪口をいうのはやめた」説は本当か?

上記で紹介した「シティ・ザ・エメラルド・デジタル」の02終盤の感想で管理人の大山シュウは「大輔は憧れのヒカリに咎められたからジュンの悪口をいうのはやめた」説を唱えていたのですが、これはある1点においてのみ正解で後は間違いです。
ある1点とは何かというと大ヒカフラグがあそこでボッキリ折れてしまったということです、その点においては確かにあそこでヒカリから「嫌い」という言葉をもらったことは間違いではありません。
しかし、だからと言って「ジュンの悪口を言うのはやめた」のかというと別にそうではなく、例えばキメラモン決戦編の後にジュンがキャンプにやって来てヤマトたちにしつこくダル絡みを行う一幕があります。
ここで大輔はヤマトとヒカリが目の前にいるにも関わらず姉のジュンに対して辛辣な態度を取っていますが、4話と違ってブラコン2人は決してそんな大輔の塩対応を嗜めることはしませんでした

それに本宮姉弟の喧嘩だってその後解決した描写もなく終盤に入っても相変わらず普通に喧嘩してましたので、「大輔は憧れのヒカリに咎められたからジュンの悪口をいうのはやめた」説は明らかな間違いです。
というか、そもそも大輔自身が言うほどヒカリのことを好きだったことが「言葉」だけならともかく「行動」として感じ取れたことは私が見た中で一回もありません
10〜11話のデジモンカイザーにアグモンが囚われて暗黒進化させられる話のくだりでは、ヒカリをドンと押しのけて太一に一丁前に意見する一幕があるのです。
本当に心の底から好きな人だったら押しのけてまでそんな態度は取りませんし、いわゆる浦沢脚本のおしっこ進化の妄想だって完全なギャグとしてしか扱われていません。

しかも「Vテイマー」でのタイチとの共演回然り、後半の一乗寺賢とのジョグレス進化しかりウォレス然りなっちゃん然り大和田ルイ然り、大輔が成長するきっかけとなったのは明らかに八神ヒカリとは全く無関係な人たちです。
逆に言えばそれはヒカリの方もそうで、例えばダゴモンの海の回では兄の太一と本質的に似ているタケル、そして後半のジョグレス進化の京然り大輔とは全く関係ないところで事が進んでいます
でもこれって考えて見ればおかしな話であり、大輔って八神兄妹にストレートな憧れを寄せてマンセーしているかと思いきや、実は彼らを一度も自分の家にも部屋にも入れたことがありません
にも関わらず、ジョグレスパートナーにして最大の親友である一乗寺賢はたった2〜3ヶ月程度の付き合いで自分の部屋に入れているのですから、これには流石の私も驚きました。

私が大輔ファンが支持する王道カップリングに挙げられる大ヒカが全くピンと来ない理由はそこであり、そもそも大輔とヒカリってそれぞれが成長する出来事に全く関連性がないんですね。
でも考えて見ればそれも当然の話で、八神ヒカリはあくまでも「太陽=光」の側であり闇を嫌悪する側ですが、大輔はどちらかと言えばヤマトやミミのような友情・純真といった「想い」を重視する側です。
その上で彼自身にしかない要素として勝率0%の無理ゲーをひっくり返して勝率100%にする「奇跡」の要素が特質としてあるので、そこにヒカリが関連する描写が一切ありません。
それは姉のジュンの方も同じで、アズマケイさんもご自身の小説で本宮姉弟の不仲を深掘りしていますが、実はこの辺りをよくよく見ていくと本宮姉弟の不仲説に関して面白い説が出て来ます。

本宮姉弟は建前と本音が真逆に出ている

本宮姉弟はいわゆる「ツンデレ」とは真逆の「デレツン」であり、特に大輔がそうですけど表向きには凄く「いい奴」で通っていてクラスの人気者タイプでありながら、その実人を見る目が結構シビアで強かです
例えば太一とヤマトが「喧嘩しなければ友達にもなれない」と言いましたが、前半でよく喧嘩した大輔とタケルは親友になれなかったのに大輔と賢は喧嘩せずとも親友になっています
しかもその関係性が決してテレビシリーズのみで終わるのではなく、「ディア逆」「ラスエボ」「THE BEGINNING」といずれにおいても大輔と賢のツーカーぶりは徹底されているんですよ。
あんだけ「太一先輩」「ヒカリちゃん」なんて憧れを口にした八神兄妹に対しては表面上デレデレしているくせに、彼らに対して大輔は自分の本音を漏らして相談したことなんか一回もありません

それに対して例えば行きずりで共闘することになった「Vテイマー」のタイチや賢に対してはいつもの明るさとは違った静かなトーンで自分の本音を口にして相談することがあります。
特に「THE BEGINNING」の大輔は幼馴染の京やヒカリなど他の仲間のいうことには耳を傾けないのに、親友にしてジョグレスパートナーの賢の言うことだけは素直に耳を傾けているんです。
もはや親友通り越して恋人・夫婦にすら思えるのではないかと思うほどで、京がそんな2人の関係性に嫉妬していちゃもんつけてましたが、これが大輔の意外と侮れない一面でしょう。
普段がわかりやすく明るいムードメーカータイプの人って一見能天気・楽天的なようでいて、実は奥底でめちゃくちゃシビアに人間関係を見て本音を打ち明ける人を決めているんです。

一方でそれは姉のジュンも似ていて、ジュンは劇中だと石田ヤマト然り城戸シュウ然り、憧れの人や好きになる人の基準が一見ミーハーなようでいて実はそうではありません
ヤマトにしてもシュウにしても、人間性の部分で大輔と似ている人を好きになっていて、ここが実は本宮姉弟を理解する上での大きなポイントではないでしょうか。
よく言われることとして02組は形だけを継承した1個目のデジメンタル(勇気・愛情・知識)よりも精神面を継承した2個目のデジメンタル(友情・純真・誠実)の方が彼らの個性に合っているというのがあります。
これは実際その通りで大輔は根明な石田ヤマト京はテンションが高くてそそっかしい太刀川ミミ、そして火田伊織が融通の利かない根暗な城戸丈にしか見えません。

ジュンがヤマトのファンであることを何だかんだやめていないのもその辺りに理由があって、単なるイケメンだからではなく「人間性が弟と似ているから」と考えると筋が通ります。
また、その後一目惚れした丈の兄のシュウですが、こちらもその理由が「弟の大輔をきちんと見送ってくれたいい人だから」であり、行動から人間性を見て好きになっているんですよね。
尚且つ、シュウ自身も丈の兄だけあって自分の好きな分野に向かって一直線という向こう見ずなところがあり、そういうところも含めて大輔とそっくりです。
だから、本宮姉弟って実は不仲なようでいて一番の仲良しではないかとも思えますが、八神兄妹や高石田兄弟とは違って建前と本音の出し方が真逆に現れています。

八神兄妹や高石田兄弟が外に冷たく身内には優しいツンデレだとするなら、本宮姉弟はその逆で外には優しく身内には割と厳しいデレツンだと私は思うのです。

本宮姉弟は「人を見る目」「人間性に対する信用残高」が実は途轍もなく厳しい

このように見ていくと、本宮姉弟というか本宮一家って実は「人を見る目」「人間性に対する信用残高」が途轍もなくシビアではないかと思えてきます。
特に大輔なんかそうですけど、一見わかりやすく友情を示して賢・なっちゃん・ルイにも手を差し伸べるストレートな優しさを持つのに、本音を明かした相手はタイチと賢しかいません
さらにその中で自分の家まで上げた人は賢だけなのです、京や伊織などご近所付き合いしている幼馴染もいて、さらにはサッカーで八神兄妹と仲がいいにも関わらずです。
大輔もジュンも実は無意識に建前と本音の使い分けを行っていて、本気で付き合う人となると相当に基準値が高い人になってしまうのではないでしょうか。

そう考えると、実は本宮姉弟こそ一見不仲なようでいて実はお互いのことをめちゃくちゃ大好きで、下手すれば八神兄妹や高石田兄弟以上のブラコンシスコンかもしれないのです。
ただ、年齢が6歳と離れていますし、何より男と女という根本的に作りが違う生き物ですから、趣味なども全く違うのでそういう関係性にはならなかったものと思われます。
実際に海外では本宮姉弟の近親相姦ものの二次小説を描いている方もいるくらいなので、何だかんだ表向きに不仲な姉弟として描写されているだけでしょう。
細かく解像度を上げて見ていくと、大輔もジュンもきちんと相手の人間性の本質を見極めて動いていることがご理解いただけると思います。

というか、だからこそ大輔が世界中にフランチャイズのラーメン店を持つ実業家になったのではないかと思われます、ビジネスで一番大事なものは「人間性に対する信用残高」なので。
私もビジネスを勉強中の身なのでわかりますが、基本的に実業家や経営者になるような人ってそういう「人に対する目利き」がないと仕事ができません
その中でもほんのひと握りの人たちがいわゆる資産家・超富裕層の仲間入りを果たすわけで、大輔もそこに仲間入りを果たしてメンバー1のお金持ちになっているはずです。
だから、あれだけ色んな友達・仲間がいながら自分の本音を明かす人は慎重に選んでいるので、私が大輔とブイモンを推している理由は決して単純な熱血主人公だからではありません。

そしてこれは幾許か個人的な妄想も入りますが、姉のジュンはおそらく父親と似た出版関係の仕事をしているのではないでしょうか、日本海外を問わず世界で活躍するレベルの。
02最終回のニューヨークタイムズの表紙を大輔とブイモンが飾っていましたが、その雑誌でインタビューと雑誌の編集をしたのが姉のジュンではないかと思っています。
ちなみに、大山シュウさんもそうですが、デジモンファンで「大輔とマサル兄貴が意気投合しそう」という意見を見かけますが、個人的にそれには賛同しません
確かに初対面では意気投合するかもしれませんが、マサル兄貴は典型的なレベルを上げて物理で殴る脳筋タイプであり、大輔はそういうタイプとは本音を交わす仲にはなれないでしょう。

大輔とウマが合うのはどちらかといえば賢や光子郎、あるいはタイチやリナのような知的好奇心が強いエリートタイプだと思いますし、その中で理想の女性に完璧に合致するのは四ノ宮リナだけです。
個人的に大リナ以外で大輔が幸せになる世界線が想像できないというのも、この辺りのことまで考えてのことだというのはあり、深くまで突っ込むと本宮姉弟は面白いことがわかるかと思います。

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