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Mちゃんのこと。
Mちゃんは身体に障害を持っていました。
私は小学生のときに現在の実家に引っ越してきたので、
Mちゃんのことを良く知りませんでした。
Mちゃんとは高校まで同じだったのに、
同じクラスになったこともありませんでした。
知っていたことは、
Mちゃんには知的障害を持ったきょうだいがいること。
心臓が悪いから体育の授業は見学していること。
お父さんがいないこと。
そして、
イジメられていたことでした。
理由は「臭いから」という理由でしたが、
接点のなかった私にはわかりませんでした。
話をしたこともありませんでした。
私が18歳のときに大学を勝手に辞めて家を出てからは、
実家に帰ったのは数回だけです。
家出したくせに、仕送りまでして貰い、
バイトも掛け持ちして、
友達も出来た私にはとても楽しい時期でもありました。
流行っている口紅を友達と買いに行ったり、
好きなアーティストのライブにも行ったりしていました。
あるとき、
実家に帰省した際に、
電車の中でMちゃんに偶然会いました。
Mちゃんは気がついていなかったようでしたが、
私はすぐにMちゃんだと気がつきました。
私と違い、高校を卒業してから就職したMちゃんは、
中学生時代の制服だったスカートを履いて、
高校時代のブラウスを着ていました。
その瞬間、
自分が凄く恥ずかしいような気がして、
私はMちゃんから見えない場所に移動していました。
私ときたら、ダメージジーンズにお臍が出るようなタンクトップ姿で
それがとてつもなく恥ずかしく思えたのです。
電車から降りて、Mちゃんは違う方向へ歩いて行きましたが、そのときに思い出したのです。
まだ中学生だった頃、
友達と自転車でお揃いのハンカチを買いに行ったときに、
一緒にいた友達が、
『あそこ、Mちゃんの家だよ』と教えてくれたのです。
だけど私は、ハンカチが売り切れていないか心配で、接点のないMちゃんの話には関心がなかったのです。
今から思うと、
彼女の家は、家と言われたら家に見えるような、
小さな、小さな建物でした。
あのスペースにお風呂があったのか、と問われると、
どう考えてもお風呂があるお家には見えませんでした。
働いているのに、自分の服すら買わずにいるMちゃんと、
バイトで買ったとはいえ、
好き放題生きている自分が恥ずかしく感じました。
中学生時代の制服はテカテカに光っていて、
ブラウスもサイズアウトしているのに、
それでもきちんと働いているMちゃんには敵わないと感じたからでした。
Mちゃんに会ったのは、それが最後でした。
彼女が現在どうしているのか私にはわかりません。
だけど、
実家に行くときには、
一番地味な服を着ていくようになったのは、
それからです。
今度Mちゃんに会ったら、堂々と
「元気だった?」と話かけられるように。
初めてMちゃんと話す私を
受け入れて貰えるように。
今日も読んでくれてありがとう(^^)