Dancing on the Highwayに関する覚書
エリオットスミスの未発表曲の一つ、Dancing on the Highwayについて少し。
とても美しいメロディです。
今回はヴァースの部分について気付いたことを簡単にメモしてみました。
コード進行は、
|C|Am7|B7|F|Dm DmM7|(を繰り返す)
という感じです。
(今回は実音で表記しています。ギターは1音下げっぽい)
VII7→IV?
さて、CからAm7へとI→VIm(7)のノスタルジックな響きで進み、
その次がB7?Iの半音下なのでとりあえずVII7ということにします。
それに続くのがサブドミナントのF。
VII7→IV??…えっと、何ですかこれ?
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(ここからは仮の話です。)
これがもし、Cを7th化したC7→F(I7→IV)だったら分かります。
FをトニックとしたらC7がドミナント7thですから。
C→Am7→C7→F
つまり、(C:) I→VIm7→(F:) V7→I=(C: IV)→…
下属調への部分転調を含む進行ということになりますが、月並みにも程があります。
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ところが、そうではなく半音下にずれてB7になっているため、意外性のある響きを生み出しています。
そして、何事もなかったかのようにそのままサブドミナントへと続いているという感じです。
字余りな5小節目でクリシェ進行を裏切る
この曲の大きな特徴をもう一つ。
多くの楽曲は4小節を1つの単位としていますが、この曲のヴァースはもう1つ足して5小節単位です。
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それだけでも字余りな感じですが、
コード進行はDm(レファラ)からDmM7(レファラド#)へと、レ→ド#という半音下がる動きを含み、クリシェ進行を予感させます。
半音ずつ4回下がって、
Dm→DmM7→Dm7→G7
みたいな進行を普通は期待するのではないでしょうか。
ところが、レ→ド#→ドと半音ずつ3回下がると、次の5小節の冒頭にあたるトニックのCに戻ってしまってます。
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このじれったい感じが続いてコーラスへ行くとすっきりするかと思いきや、Emから始まるのですが…(ネット上にここをE<メジャー>と間違ってるコード譜があるので注意)
まとめ
やっぱりただきれいなだけの曲ではなくて、どこか小さな違和感があってそれが楽曲を非凡なものとしています。
そう言えば、この楽曲の作り方は少しジョンレノンっぽい気がします。
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2020/10/28 少し補足を追加。