【楽曲分析】Nick Drake / River Man 第2回
では、第1回の基礎データや構造の分析に続いてコードを詳細に見ていきましょう。
イントロ
前回述べた通り、CマイナーキーであるにもかかわらずイントロはCメジャー系コードから始まります。
ギターのフォームで言うと、3フレットにカポタストをしているのでA系の押さえ方です。
そこに9thのテンション(3弦4フレットの「レ」)を加え、
5thにあたる6弦開放(「ソ」)も弾きます。
なので、フォームは002420、コードネームはCadd9/Gとなります。
ヴァース
突然空が翳り出したのように、
イントロのコードの3rdが半音下がって(002410)、
Cmadd9/Gで始まります。
完全にCマイナーキー、ハ短調の世界です。
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とすると、続くコードはbVIIになりそうですが違います。
押さえ方は33033xで、その次のAb(=bVI)のセカンダリードミナントコードでしょう。
ということで、コードネームはEb7sus2/Bbとしましょう。
またもやベースが5th!
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そして、Abが来てイントロのCadd9/Gに戻ります。
ドミナントコードからメジャー化したトニックに向かう所謂ピカルディ終止ではなく、bVI→Iなので長調のクロマティックミディアントのような響きになっています。
summer timeの不協和音
偶数回のヴァースの末尾が拡張されているのは、前回述べました。ヴァース2の歌詞でいうとsummer timeのところです。
その部分のコードは、002040というフォームになります。
構成音は下から順に、ソドソシ♭ファ#ソ。
C7に#11のテンションを加えたものですが、コードネーム以前に1弦と2弦が短2度で思いっきりぶつかってます。
流石に1弦を鳴らすのは5拍目だけですが、なかなか強烈な不協和音となっていますね。
まとめ
イントロ
(4小節)002420
ヴァース(奇数)
(2小節)002410 → (2小節)33033x
(2小節)13321x → (2小節)002420
2回繰り返し
ヴァース(偶数)
(2小節)002410 → (2小節)33033x
(2小節)13321x → (2小節)002420
(2小節)002410 → (2小節)33033x
(2小節)13321x → (4小節)002040
間奏
(3小節)13321x → (2小節)002420
(3小節)13321x → (4小節)002420
アウトロ
002040
以上です。
以前に書いたエリオット・スミスと共通した語法があるので、比較してみるのも面白いかもしれませんね。
Son of Samの歌い出しのコードについて|Hayado|note