【Nick Drake "Road" 研究】第3回 モード
第2回の譜面でお気付きかと思いますが、調号がついていないにもかかわらず、ギターリフが(「ド」ではなく)「ソ」に終止していました。
つまり、長調ではなくモードなのですが、今回は「Road」のメロディに使用されている音階を検証してみましょう。
音階
こちらが1st Verseの譜面になります。
2nd及び3rd Verseも基本的に同じで、末尾のリズムと繰り返し回数のみ異なります。
(クリックorタップで拡大)
使用されている音階は、
「ソ・シ・ド・レ・ミ・ファ」の6音階です。
第2音「ラ」が使用されていないのが特徴で、ギターパートでも「ラ」の使用頻度は低く、間奏の一部でのみ使用されています。
モードの特定
まず、長短を決める第3音には、
Major 3rdが使用されている=メジャー系モード
であり、そして長音階ならばMajorになるはずの第7音に
minor 7thが使用されている=ミクソリディアンモード
だと言えるでしょう。
(上の譜面のマーキングを参照)
このモード特有の浮遊感が楽曲の性格を決定づけているのではないでしょうか。
ミクソリディアンが使われている楽曲
ミクソリディアンモードはロックと親和性が高く、キンクスの「You Really Got Me」のような使い方ができる一方で、異国情緒や浮遊感を表現できるモードだと思います。
「Norwegian Wood」、「Tomorrow Never Knows」等レノン作のビートルズの楽曲にその特徴が顕著に表れていると思います。
浮遊感と言えば、マイルス・デイヴィス「In a Silent Way」の「Shhh」もミクソリディアンです。
2000年代前半にはフアナ・モリーナがしばしばニック・ドレイクとの近似性を指摘されていましたが、アルゼンチン音響派の楽曲でもミクソリディアンモードが頻繁に用いられていた印象があります。
フアナなら「El desconfiado」がそうですね。フラノフなら「Pasando El Mar」とか…(当時ドハマりしてたので、私はこの界隈のオタクでもあります笑)
今回は以上です。
まだまだ余裕で続きます。