Elliott Smith "St. Ides Heaven"のリフについて

久しぶりのエリオットスミス研究です。

私がコロナ禍の暇つぶしに書き始めた乱文のシリーズを再開します。
エリオット・スミス楽曲分析|Hayado|note

今回はSt. Ides Heavenのヴァースのリフを取り上げます。

私が採譜してみたのがこちら。(チューニング:DGCFAD)

Elliott Smith "St. Ides Heaven" Verse

「(x)0X(xxx)」と表記したところは、きちんと開放弦とミュート音を鳴らすという意味ではなく、軽く弦を抑える左手を緩めるイメージです。(※1)
リズム面では、メロディに合わせてギターも拍の頭に休符が入るのが特徴的ですね。

さて、ここからはコードの話を。
まずFメジャーキーの下属音Bbに3rdを重ねた「(x)32(xxx)」は明らかにサブドミナントコードのBbです。
その次はベース音が半音上がって「(x)42(xxx)」となります。
そしてもう一度Bbに戻り、トニックのFに解決します。

このふわっとする「(x)42(xxx)」って何!?
という話をしたかったのです。
結論から言うとこのコード(というか重音)はシ・レ・ファ・ラのBm7b5(※2)の省略形ではないかと思っています。

度数で書くと#IVm7b5となります。リディアンモード由来のコードで、トニック(I6b5)の代理になるようです。(※3)

こちらも着地点だけど、安心して戻るべき場所ではないどこか…
印象論になってしまいますが、このリフを聴くと現実・非現実を行ったり来たりしているような雰囲気を私は感じます。
そしてそれはアルコールかアンフェタミンのせいなのでしょうか?


※1
以下、弾かない弦を()内のxで表記します。

※2
譜面ではハーフディミニッシュの記号で表記しています。

※3
Fメジャーはファソラシ♭ドレミファですが、
Fリディアンはファソラシドレミファと♭が付きません。

ベース音が半音上がったのは、大袈裟に言うとFメジャーからFリディアンの世界に行ったということですかね。

F6b5はファ・ラ・シ♮・レなので構成音が同じだから代理という理屈ですね。

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