転生
ふと、私の前世が童貞のまま死んだサブカル趣味の男だったらと考えてみた。モテキを観ていて思ったのだが、頭の中はほとんど同じである。細かく言うと、あれの性欲抜きといったところだ。相手からの返事に固執したり、コミュニケーションの不得意さ(特に、異性に対する)、普通に、優しくされると勘違いしてしまう。その優しさの大体は性欲によるものではあるけれど。とにかく共感を得た部分がいくつかあった。私は、そういう行為がしたいわけではない。ただ、愛されたかった。抱きしめられたかった。それは、女性ではだめだった(以前、された時に嫌悪感が上回った)。少し前に、女風を使ってまでも、男性に抱きしめられにいこうとしたことがあったが、「まだ若いし、可能性もあるのに、そんなのに頼ったらおしまいだよ」と母に言われ、やめた。普通のJKJDならば、男に抱きしめられることなど日常茶飯事なのだろう。なんなんだ。私だって、小綺麗にはしていたはずなのに。コミュニケーションが下手で、不器用なため、苦笑いされてばかりの人生だった。ゆえに、いまの今までろくに恋愛してきたことがなかった。自分に自信がない。とても。確かに、挙動不審な女性よりも内側から自己肯定感が見えている女性の方がいいだろうな…… とにかく、私はこの歳まで得てよかった愛を、与えられる機会を失ってきた。だから、段階も段階、"他人から好かれる"それだけでいいと思っている。高いプレゼントは用意しなくていい。そばに居てくれさえすればよかった。でもどうしても、その段階に行くまでにしくじってしまう。ほんとどうしようもない。そういえば、ほとんど友人が居ないのも、終わってるな。聞く相手が誰もいないんだから。でも、私はここで終わりたくない。もし、前世が童貞のまま死んでしまった男なら、得られるはずだった愛されを享受する日まで、期待しようじゃないか。