頭の中の検閲官
私の恋人は、私とは全然違う。
私は文系で、彼は理系。
生い立ちもキャリアも趣味も違う。
そして決定的に違うのが感性。
私は昔から神経質で繊細な人間だったので、他人が自分の言葉をどう受け取ったとか、表情がどのように変化するのかに敏感である。と自負している。
しかし彼はその辺のセンサーが違う。
先日インプロ(即興劇)のワークショップに参加した際に聞いた、「頭の中の検閲官がはたらいている」という話。
大人になるにつれ、何か言葉を口にする前に、今この言葉を発して良いか、場に相応しいか、相手にどう思われるか、などを頭の中の検閲官がチェックするようになるらしい。
検閲官がYESと言わない限り、その言葉は飲み込むこととなる。
私の中ではこの検閲官が仕事をし過ぎていて、自由に何でも話してみてねと言われてもなかなか難しい。
しかし彼は違う。
検閲官が休んでいるかもしくは不在で、思った事を全てストレートに口に出す。
先日彼の職場でこんな事があった。
彼はよく「他人に興味がなさそうだね」と言われるようだが、その日もミーティング中に女性の上司から同じことを言われていた。
そして上司からついに「もう少し他人に関心を持った方が良い。試しに私ってどんな人間?ちょっと特徴を挙げてみて」と言われた。
それに対して彼が返した答えが
「顔が丸いと思います」
えーーーーーー
無論上司もとても機嫌を悪くしたそうだ。
ちなみに彼の言い分はこうである。
まず大前提として丸顔は彼にとって褒め言葉。たしかに日頃から、丸顔で小柄かつ色白の女性がタイプだと口にしている。
なので、彼の中の検閲官は丸顔という言葉は褒め言葉であり検閲対象外と認識している。
そして第二に、特徴と言われて思い浮かぶのは外見的な要素であり、内面的な部分を含んで問われている事が理解できていなかったようだ。
上記はほんの一例で、彼と一緒にいるとこういう事はよくある。
とはいえ私は私で検閲官を働かせすぎて疲労を蓄積する為、バランスが取れるようになりたい。
どちらが良いという訳では無いが、他人がどういった意味で言葉を発しているのか、受け取る工夫も必要なのだと日々感じている。
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