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墓場まで持っていきたくもないし死後に残したくもないモノたち-振り返る必要も無い醜い私の残骸

ふと。

書類棚の整理を思い立った。

書類棚には、そのとき要るか要らないかの判別が付かない書類や、日付の古い保険証券などが溜め込まれているだろうと思ったのだ。

予想通り。

書類棚の半分は要らないモノだった。

かつては「絶対に捨てられない」と思ったものでも、時が経てば必要ではなくなるモノって結構多い。

書類でも。
人間関係でも。
想い出でも。


夫2とは17年間婚姻関係にあった。

6年半前に別居し。
半年後から離婚調停を1年半。
4年半前ようやく調停で離婚が成立した。

1年前に和解し、いまは連絡も取り合える仲になった私と夫2だが、当時は最悪の状態だった。

離婚したい私と、離婚したくない夫2。

精神的に追い詰められた夫2は別人のように荒れた。

暴言、家庭内暴力、自殺未遂、ストーカー行為。

その恐怖体験から、私は夫2の姿を遠くに発見するだけで、身体が震え動けなくなるほどに精神的に弱っていた。

だが。
いま振り返ると。
追い詰めた私にも非がある。

あの頃の私はさぞ醜かっただろう。

どうにかして夫2に勝とうと躍起になって証拠を集めていた自分を思い返すと身震いがする。

当時は必死だったのだろうが…。
浅はかだった。

夫2は、根本的には悪気がなくて陽気な気の良いおっさんなのである。
それが一転、自殺未遂からのストーカーである。

人間を追い詰めて良いコトなんて絶対に無い。

窮鼠猫を噛むとは良く言ったモノだ。

後にも先にも、あれほど恐ろしい体験をしたことはない。


書類棚の中にあるモノを端から引っ張り出して中身を確認する。

その中には、離婚調停に使った「証拠」が山のように残されていた。

夫2名義の通帳や保険のコピー。
脅しの言葉が散りばめられたメールやショートメッセージがプリントアウトされたもの。
暴言の数々を文字で起こしたモノ。
暴言を録音した記録媒体。
私を追いかけて追い詰める画像が入った記録媒体。
警察官に来てもらったときの証言内容。
毎日の記録として残された日記。

あのころは。
あんなに大切だった数々の「私を守るモノ」たち。

一瞬、読み返そうかと思ったけれど…。

やめておいた。

振り返る必要も無い醜い私の残骸だ。

そう思った。


半世紀を生きて。

残された人生の時間は確実に減って。

過去を振り返る時間も惜しいと思うようになった。

私は今まで一生懸命に生きてきた。
その一生懸命に生きてきた記録が残されていなくても別に構わない。
私が一生懸命生きたってことは私が一番良く知っている。
そうして一生懸命生きてきた証が今ここにいる私なのだ。

私は今の私が大好きだ。
そうして、明日からの私のことも大好きだ。

墓まで何かを持っていくことはできない。
死後に残したいこともない。

ましてや調停で争った醜い私の心など後世に残したくもない。

要らないモノは全部捨てて、あの世に旅立ちたい。

あ、まだ死ぬ予定はないけど。笑

そして明日からもずっと幸せに生きるつもり。