雍 天備宮
呂不韋「ここは かつて 時の秦王 恵公が独り国造りの思案を深くめぐらすために建てた宮とのこと
雍城一高き所に建てたのは天の啓示を受けたいがためとか…
ハッハ そういう場所を対話の場に選ばれる大王様のご趣味は 嫌いではありませぬ
よもや 席も対等とは」
嬴政「あえてそうした
咸陽の戦いによって明日どちらが玉座に座るかが決まる
ならば これが最後の対話
対等に座して語ろうではないか
俺もお前に話したいことは多くある」
呂不韋「……… …では 私の方からさっそく宜しいか 大王
ずっと妙な噂を聞く
“中華統一”という馬鹿な噂だ
天人にでもなるおつもりか
夢想の中の物語りならばよしとするが
本気なら およそ血の通った人間の歩む道ではござらぬぞ」