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【おこるでしかしぃ#13】言語の迷宮市場

あれはな、わしがモロッコをぐるぐるぅっと旅しとったときのこっちゃ。

マラケシュっちゅう街があんねん。まあけっこう、ラビリエンスとか言われとって有名なとこやねんけどな。ムチャクチャ細い曲がりくねった路地だけで街全体ができとるような、異国情緒たっぷりの場所やわ。

ミントの匂いがぷんぷん漂っとる路地をぷらぷら歩いとったら、いきなり後ろからパコン、パコンっって荷物運びのロバが通過してくような感じや。現地のガイドがおらんかったら絶対に迷うぐらい混みいっとる。もちろん日本人にはぜんぜん会えへんようなとこやわ。

でな、モロッコ言うたら観光収入がごっつい国やろ。せやからな、日本人が歩いとったら、お土産もんの売り子が近づいてきよんねん。たいがいしつこいからな、最後には「Don't touch me!!」って怒鳴らんとな、ぜんぜん離れよれへんのや。まあ、たいがい英語も通じへんねんけどな。アラビア語とフランス語がメインやさかい。路地の両側の店からもバンバンかけ声が飛んでくんねん。

「やっぱり、こういうとこはむっちゃおもろいわなあ」言うて、異国情緒にひたりきって歩いとったときのこっちゃ。店の売り子のにいちゃんがこない叫びよった。

わしはほんまに自分の耳をうたごうたで。

「おかちまちプライスっ、おかちまちプライスっ!」

こないな日本語教えたんは、どこのどいつじゃああああああああああああああ。
わしのせっかくの浸りきった気分は、どないなるんじゃああああああああああ。
ここはアメ横ちゃうっちゅうねん、ぼけえええええええええええええええええ。

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