【おこるでしかしぃ#15】憂愁の微熱(1)
あれはわしが大学4年生のとき、就職活動中のことや。
そん頃の就職協定ではな、解禁日は8月1日やったんや。せやから、8月1日には企業からの内定をやな、学生が最終決定するんがふつうやったんやわ。もちろんバブル末期のことやねんけどな。
で・な、わしはな、8月1日の時点でな、内定が出とった会社が気に入らんかったからや、就職浪人覚悟で持ってた内定全部蹴り倒したったんや。しかもまだ部活は続いとってな、8月半ばに最後の大会があってん。
で、その大会の最終日のことや。最後の試合が終わってやな、わしも4年間続けた部活を引退するわけやし、ちょっと泣いてもうたりしてやな、後輩たちも「おつかれさまでした……」とか言うてぐぐぅっとなってたわけや。
でもな、なんや試合中にぶっけた左手下腕がやけに痛なってきてん。でこ触ってみたら、熱もあるみたいやねん。せやから病院行ってレントゲン撮ってもうたんや。
「ヒビいっとんな、これ」やて。最後の試合なもんやから気合い入りまくって、試合中は気づかんかったわけや……。くぅう、なんちゅう美しい話や……。
って、
就職活動まだ終わっとらんのに、これからどないするんじゃああああああああ。
左手吊ってもうたら、スーツも着られへんやんけえええええええええええええ。
こないな時期まで部活させんなっ、ぼけえええええええええええええええええ。
まー、まだ、左手でよかってんけどね。
つづく。
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