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【おこるでしかしぃ#16】憂愁の微熱(2)
それでや、その大会終わって家に帰ってきたんや。
で・な、家のポスト開けてみたらな、なんとやな、けっこう希望しとった会社の役員最終面接の通知が来とった。腕の骨にヒビいってても就職活動せんならんわけや。
で、役員面接の当日の朝や。わし、一人暮らしやろ。シャツはどうにかこうにか腕通せてん。ギブスがかさばるさかい、一番上までボタン止められへんかったけどな。ネクタイ、片手で結べるわけないやんけ。スーツの上着、腕通されへん。肩から羽織るだけや。
そないな自分の姿を鏡で見てみたらやな、なんや、「北国旅情湯けむり殺人事件 狙われた美人OL三人旅」いうタイトルの、土曜の夜にやっとるサスペンスドラマに出てくる犯人にやられてケガしてもうた刑事みたいな感じやな。
しゃあないから、そのいでたちで役員面接に行ったわけや。会社に着いて、呼びだされて面接室に入ったらな、役員がずらああっとむすううっとした顔で並んどんねん。そないな場所で、わしはひとり、チンピラ風刑事みたいな格好なわけや。
そんな格好のわしが気に入らんかったらしくてやな、真ん中に座っとった社長がな、
じろおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお
っとメンチ切ってくんねん。関東弁で言うところの「ガンつける」ちゅうやっちゃな。
せやから、
なんか文句あるんやったら、かかってこんかいっ、ぼけええええええええええ。
こっちはケガしとんねんからしゃあないやろっ、あほんだらああああああああ。
社長やからって、偉そうにメンチ切んなっ、ぼけえええええええええええええ。
ってな、わしが思いきりメンチ切りかえしたら、その社長ビビッて目そらしよってん。
なんやようわかれへんけど、後日その会社から合格通知が届いてんけどね。
まだちょっとつづく。