【おこるでしかしぃ#24】アパートの鍵開きます(1)

あれはな、わしが毎晩毎晩クラブで飲んだくれとった頃の話や。クラブゆうてもホステスのねえちゃんがおるようなとこちゃうで。踊る方のクラブや。

ある日のこっちゃ。どこぞのクラブでひっかけてしばらく付きあっとった女が部屋に泊まっとってな。わしは次の日仕事やったんやけどな、その女は「まだ寝てるぅ、昼頃家に帰るね」言いよったからしゃーないから残して出かけてん。出がけにな、

「アパートの鍵、玄関の外に置いてある傘ん中入れといてな。頼むで。」

って念押しといて会社行ったんや。

その日も一日働いてからクラブでパーティーやってな、朝方まで遊んどったんや。

その頃のわしにはめっちゃかわいい気に入ってた女がおったんや。会うたびに口説いてたんやけどなかなか落ちへんかってんけどな。で、その女がパーティーに来てたもんやからな、懲りずにまた朝まで口説いとってん。

なんでかわからんけどその日は、積み重ねてきた努力の結晶ちゅうんか、アパートに連れ帰ることになってな。「よっしゃっ、ラッキー」って友達にタクシー代借りて2人でタクシー乗ってわしのアパートに向かったんや。

「さあ、鍵は傘ん中にあるはずやよな」

思いながら傘ひっくり返してんけどなんも出てけえへん。ばさばさ振ってみたけどなんも出てけえへん。前の日泊まっとった女が入れてあるはずの鍵がないねん。

あれ。えっ……。まさかな……。

おそるおそるドアノブを捻ってみたら開くねんな、これが。
中覗いてみたら電気ついとんねんな、これが。
部屋入ってみたら昨日泊まっとった女が全裸でベッドに寝とんねんな、これが。

おのれは、「家帰る」言うてたやんけっ、なんでわしの部屋で寝とるんじゃあ。
玄関先に待たせてある女どないするんじゃっ、ぼけええええええええええええ。

ピンチは続くよどこまでも、とか言うてみたりしてな。