アイ
僕は心理学部の大学4年生。ここは図書館前。
僕「あれ、ハルちゃん。夏休みなのに大学で会うなんて運命みたいだね」
ハル「こんにちは、先輩。運命って大げさな。ちょっと読みたい資料があって、図書館に用事があったんです」
僕「そうか。せっかくだから少し話そうか。この前に話した、催眠のレビュー論文をざっと読んだんだけど、なかなかおもしろかったよ」
ハル「わたしも機械翻訳で少し読みました。わからないところもありましたけど、面白いと思いました」
僕「論文の中には、『予測符号化理論』による催眠の説明もあったね。僕が持ってるPCで翻訳しながら、夏休みだし自由研究的に、生成AIで僕らの会話を作ってもらおうかな」
ハル「面白そうですね」
僕「じゃあ、AIで翻訳してもらって……さらに、予測符号化理論による催眠についての会話を作ってもらってと……できた」
ハル「おー、なんか、わたしたちっぽいです。けど、やっぱりちょっと違いますね」
僕「そうだね、違和感はあるね。あとは、この説明がどの程度合っているのかがわからないという怖さがあるね。すごくそれらしい内容だけど、本当にそうかはわからない。文章を作ったりまとめたりする力があるのはよくわかるけど、最終的なチェックは人間がしないとだめな感じがしたね」
ハル「それでも、おもしろかったですね」
僕「この論文をさっと読んでいて、結局、催眠を説明できる完べきな理論はないということがわかるのと同時に、催眠という現象がそもそも単一理論で説明できないものである可能性が何回も指摘されていると感じたね。複数のメカニズム、複数の現象を僕らが催眠と呼んでいる可能性が高い」
ハル「わたしもなんとなくそれを感じました。だから、結局、催眠のどの部分に焦点を当てるかが大事になってきますね」
僕「そのとおりだね。そこらへんは、また話そう」
ハル「はい。夏休みなのに、ありがとうございました」
ハルちゃんは出口に駆けていった。