心理学ガール #32

チャレンジ

 僕は心理学部の大学4年生。ここは学生会館2階のいつもの席。今日も僕はハルちゃんと催眠について話をしている。

ハル「先輩。催眠の最新の研究とか知りたいんです。いい本とかありますか?」

僕「最新の情報は海外の論文を読むのが一番だと思うよ。いろんな研究をまとめた研究、レビュー論文っていうんだけど、催眠理論のレビュー論文があれば読んでみるといいかもしれないね。ちょっと、オンラインで読めそうなのを探してみようか」

ハル「お願いします!」

僕「おっ、この論文はどうだろう。Redefining hypnosis: A narrative review of theories to move towards an integrative model (催眠の再定義:統合モデルに移行するための理論のナラティブレビュー)とHow Hypnotic Suggestions Work – A Systematic Review of Prominent Theories of Hypnosis (催眠暗示はどのよう作用するのかー重要な催眠理論の体系的なレビュー) というレビュー論文だね。機械翻訳で、それぞれ概要を訳してみようか」

ハル「はい!」

催眠は古くからある心身への介入法であるが、ここ10年の間にその臨床的有効性を証明する研究が急増し、再び関心を集めている。しかし、理論的な論争や誤解が理論家、臨床家、一般市民の間に蔓延しており、催眠の理解、受容、再現、利用を妨げている。臨床および研究の場における催眠の導入と採用を促進するためには、誤解を払拭し、よりバランスの取れた見解を促すような適切な情報を提供することが必要である。本総説では、歴史を通じて催眠の概念化とそれを取り巻く理論的論争を再検証し、その出会いと臨床的意味合いを明らかにする。二項対立はあるものの、催眠鎮痛効果、主要な構成要素、および語彙に関しては、理論的アプローチ間で幅広い一致がみられる。さらに、各理論は催眠反応の重要な要素を強調している。例えば、社会理論が社会的・文脈的変数を強調するのに対し、状態理論は生物心理社会的メカニズムと個人的要因を強調する。理論に基づき、催眠療法や臨床催眠という用語は、それぞれ心理療法的および医学的文脈における催眠の治療的使用を指すことが推奨される。この総説は、さまざまな理論とエビデンスを統合し、催眠を複数の手順、現象、影響因子を包含する複雑な多面的介入として提示するモデルで締めくくられている。この総説は、催眠に対する理解を深め、研究および臨床の場面で催眠をより迅速に導入し、適切に実施することを促進するとともに、エビデンスに基づく催眠の実践へと研究を導くことを意図している。この総説は、催眠術の手順、現象、影響因子に関する知識の進歩に貢献することで、研究上および臨床上重要な意味を持つことができる。

ここ数十年、催眠はますます科学的研究の主流になり、今日では国際的に協調して研究されている。 催眠暗示や後催眠暗示は、行動学、神経認知学、臨床研究、介入において頻繁に用いられ、成功を収めている。 行動、知覚、認知、主体性を変化させる暗示の有効性については多くの報告があるにもかかわらず、これらの変化を促すメカニズムに関するコンセンサスは存在しない。 本稿では、催眠暗示に対する主観的、行動的、神経生理学的反応の発生を扱う、競合する理論的説明をレビューする。 科学的思考の現状と将来への道筋を最もよく表していると思われる催眠理論の広範な状況を体系的に分析する。 まず、催眠、暗示、催眠可能性についての手続き的な説明から始め、次に系統的に選択された催眠理論の比較分析を行う。 著名な理論的観点が催眠のさまざまな側面を強調していることを考慮すると、我々のレビューでは、それぞれの観点が顕著な長所、限界、発見的価値を持っていることが明らかになる。 現存する理論を再検討し、催眠についてエビデンスに基づく新たな説明を構築する必要性を強調する。

僕「これは、なかなか良さそうなレビュー論文だね。オンラインで読めるし。これを翻訳して読んでみると勉強になるんじゃないかな?」

ハル「結構な量がありますよね」

僕「機械翻訳で訳してみ、気になる部分だけ、自分で再確認してみるくらいでいいかもしれないね。この内容を理解して説明できるようになったら、日本で一番催眠に詳しい大学生っていえるかも」

ハル「えっ、日本一ですか? それはちょっとなってみたい気もします。とりあえず、やってみます!」

僕「今度、僕に教えてね」

ハル「はい! あれっ? わたしが先輩に教える!?」

僕「うん」

ハル「なんかちょっと騙されたような」

僕「これぞ催眠かもね」

ハル「勉強は大事ですから、頑張ります」

僕「うん。やってみよう」

ハル「はい。ありがとうございました」

ハルちゃんは出口に駆けていった。