ヘックスの紹介

この記事は『東大ボドゲサークル Weeple Advent Calendar 2024』の14日目の記事です。東大のボドゲサークルのメンバーがそれぞれボドゲやサークルについていろいろなことを思うがままに書いていきます。


こんにちは!初めまして、東大ボドゲサークル Weeple 1期の今村です。
今回の記事は、僕が最近ハマっているボードゲーム「ヘックス」の紹介です!


ヘックスとは


パーカー・ブラザーズが販売していたヘックス

ヘックスは、いわゆるアブストラクトゲームに分類される二人用のボードゲームで、ゲーム理論などで知られる数学者のジョン・ナッシュが考案したものです。

このゲーム、どこかで聞いたことがある気がするなぁ?と思っている人も多いかもしれません。というのも、このゲーム、Nintendo switchのゲームソフト、世界の遊び大全51に収録されているゲームのうちの一つです。
配信者がやってるのを見たことあるかもしれないですね

ルール


ヘックスの盤

このゲームは上の画像のような、11×11の六角形のマスがある盤面のマスに、交互にそれぞれの色(赤と青であることが多い)のコマを置いていくゲームです。
各プレイヤーは、盤の向かい合った自分の色の辺同士を自分の色のコマで繋げることができれば勝ちとなります。

この場合、青の勝ち


ルールの説明は以上です。

とても簡単なルールですよね?ただこのゲーム、数学者の考案なだけあって、とても奥が深いんです。

基本戦術


まず、上の画像のように角同士を向かい合わせ、一マス離して設置していくと、間のマス(今回の場合はE3やF3)に相手に置かれたとしても、もう片方のマスに自分のコマを置くことで必ず繋ぐことができるので、実質的に繋がっているものとして扱うことができます。
これを用いることで、直接コマ同士を繋げるよりも早く自分のコマを実質的に繋げることができるので、基本的にはこれを用いて自分のルートを作っていきます。

これを応用していくことで、ここまで置けば必ず辺に繋げることができるという形がいくつも存在します。例えば、


赤が必ず辺に繋げられる例

このような場合、赤側は青側にどこに置かれても下の辺まで9Dを繋げることができます。
(一例として、10B、11C、10Eの内青に邪魔されかった場所に置くことで実質的につながった状態になります)

同様にして、8E、8F、8Gに置いた場合も下辺と繋げられることが確定しますし、実は7G、7Hの場合も確定しています!!

ここだけ聞くと、これらの確定する場所と、そこからの置き方を覚えておけば簡単に辺同士繋げられそうだなと感じるかもしれませんが、実際はそこまで簡単ではありません。

ヘックスの特徴について

まず、このゲームには引き分けが存在しません。もちろん同時に青と赤の辺がつながりませんし、どちらもつながらずに終わってしまう盤面は存在しません。全てのマスにコマが置かれた時、片方の色に、向かい合う辺へ繋がるルートがないということは、それを分断している反対側の色のルートがあるということなのでどちらかは必ず勝利します。
零和ゲームであるということですね。

次に、このゲームでは、攻めと守りが同時に行われます。
これはどういうことかと言うと、赤色がある場所でコマ同士を繋げようとしているとき、青側がそれを防ぐことは逆説的に青側がその場所を青のコマで繋げることと同値であるからです。


例えば上図のような場面において、青側はJ2に置くことで、赤のルートを防ぐことができ、それと同時に青側のルートが作られます。
基本的にヘックスにおいてはほとんどの行動が攻めと守りを同時に行なっているので、自分では攻めているつもりでも、どのようにしたら自分のルートを繋げることができるかだけ考えていると、気づいたら相手のルートができていると言うことも少なくありません。
大局的に盤面を見ながらやることが重要です。

このゲーム、終盤はここにおいたら勝てるという詰みを探していくことになるので、詰め将棋のように、ヘックスパズルを作ることもできます!例えば以下の盤面において、次が青の手ばんだとして、どこに置くのが最善手でしょうか?


この場面においては、D8にある青から左端へ繋げられることはほぼ確定していますし、F4の赤も上の辺へ繋げられそうで、右下の部分でどちらがルートを作ることができるかで勝負が決まります。

右下において、赤側は、10K-9J-7Iというルートが完成しているので、そこから下辺へ繋げることができれば勝ちという状態なので、青側はそれを防ぐため、J11に置くのが良いと考えるかもしれませんが、それは間違いです。もしJ11に置いてしまうと、赤がI11に置くことでI11-9Jでルートができ赤の勝ちが確定してしまいます。

ここでの青の最善手は10Jです。攻めの観点からみると10Jに置くことで、11I-10Jのルートができ、、次に9K、もしくは11Jに置くことで青の辺とも必ず繋ぐことができるので青の勝ちになります。
この手は守りという観点から見ると、J9-11Iのルート、J9-K10のルートの二つを同時に邪魔する手であり、赤は右下で下辺に繋げることができなくなる手です。

攻めと守りが同時に行われているというのはこの例からもよく分かるのではないでしょうか。


このゲームをオススメする理由

1.ルールがシンプルで分かりやすい

ルール自体は、向かい合った辺を自分の色のコマで繋げれば勝ちという、とても分かりやすいルールで、説明もとても簡単です!!
Weepleアドカレ12日目にインスト下手人の反省文()が出てましたが、このゲームならインストが下手な人でも簡単にゲームのルールを紹介することができます

2.戦略的

このゲーム、実際にやってみるとわかるのですが、相手のルートをうまく邪魔しつつ、自分のルートを作っていくゲームで、何手先も考えることが重要になってきます。
オセロや将棋などの他のアブストラクトゲームと比べ、このゲームは自分のコマが消えたり変わったりすることがないため何手先かの盤面がイメージしやすいです。そのためあまりこのゲームに慣れていなくても思考力があればどこに打つのが最善手か考えやすく、相手の手を考えたりするのが好きな人に特におすすめです。

3.短時間で終わる

このゲームは、プレイヤーがどのくらい長考するか次第ではあるのですが、基本的には1試合5分程度で終わります。ヘックスはBGA(board game arena)にも収録されており、BGAで、無料でできるので、友達と空き時間にやったりすることもできます!


まとめ

というわけで、自分は結構ヘックスにハマっていて、友達とやったりしたのですが、あまりヘックスは人気のあるゲームではありません。ぜひ皆さんもやってみてください!

余談ですが、アソビ大全のCPU「やばい」は収録されているどのゲームにおいてもかなり強く、ヘックスのCPU「やばい」もそこそこ強いので、このCPUに勝てるようになるまでやるだけでも、ルールや戦い方はかなり理解できますし、友達やる時の練習になると思いますのでぜひやってみてください!

おまけ

このゲーム、明らかに先手の方が有利です。実際、数学者によってこのゲームは先手必勝であることが証明されているらしいです。しかし、先手必勝手順は見つけられていないという状態です。
そのため、BGAにおいては、先手側がまずコマをおき、その後、後手側は先手の置いたコマを自分の色に変えて始めるか、別の場所に置き、始めるか選択することができます。いわゆるパイ・ルールが採用されています。
先手後手の有利不利の無くしたいのであれば、友達とアソビ大全でヘックスをやる際も、このルールを採用した方が良いかもしれませんね。




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